故・細木数子さん(C)日刊ゲンダイ

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 東京・五反田の元旅館の土地を巡って、積水ハウスが約55億円を騙し取られた詐欺事件をモデルにした、オリジナルドラマ「地面師たち」が大ヒット中のNetflix。今度は「六星占術」で知られる占い師の故・細木数子さん(享年83)をモデルに、女優・戸田恵梨香(36)の主演でドラマ化されると「NEWSポストセブン」が報じている。

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 ドラマはすでに極秘で撮影がスタートしているとも漏れ聞こえている。

 “地獄に堕ちるわよ!”のフレーズで一世風靡した番組「ズバリ言うわよ!」(TBS系)などで、歯に衣着せぬ発言でお茶の間のスターとなった細木さん。だが、テレビで触れられることがなかった「負の側面」についてどこまで描き切れるかに注目が集まっている。

「細木さんは辛辣な中にも愛情のある発言や、忖度なくものを言うところが多くの視聴者から支持されましたが、一方で、暴力団との交際など少なくないトラブルが報じられています。ドラマ『地面師たち』で、豊川悦司が積水ハウス事件の主犯格のカミンスカス操をモデルにした役を演じていますが、カミンスカスの外国人女性好きがドラマではまったく描かれていません。細木さんの生涯にどこまでリアルに迫れるのか疑問ですね」(芸能ライター)

 細木さんは全盛期の2000年代、ゴールデンタイムのレギュラー番組2本に出演し、高視聴率を記録。占い界の第一人者ともてはやされたが、08年に姿を消すこととなる。細木さんがテレビに出なくなった原因として挙げられるのが、ノンフィクション作家の溝口敦氏との裁判だ。

■“こんな品性下劣な記者に初めて会った”と罵倒され
 
 溝口氏は2006年に「週刊現代」で連載された「細木数子 魔女の履歴書」の中で、細木さんと暴力団の深い関係や過去の売春斡旋、占いの盗作疑惑などを告発。それを受けて、細木さんは版元の講談社を相手取り6億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。しかし、細木さんは2年後に訴えを取り下げている。
 
「細木が訴えた後も連載は続き、日本最大の暴力団の幹部を使って連載を潰そうとしてきたと溝口氏から暴露されている。テレビ局としても暴力団との交際が明らかになったからには使うわけにはいかない。その後、テレビで彼女を見ることはなくなりました」(当時の週刊誌記者)

 筆者は細木さんに接触したことがある。きっかけは、13年に亡くなった歌手の故・島倉千代子さん(享年75)の借金トラブルだった。
 
 島倉さんが10億円を超す多額の借金に見舞われたのは、62年の出来事が発端となった。ファンが投げた紙テープの芯がステージの島倉さんの目に直撃し、あわや失明かと思われたが、治療を担当した眼科医によって適切に処置された。

 しかしその後、島倉さんと恋仲となったその眼科医が、芸能プロダクションを立ち上げるなど方々に借金を作り、島倉さんがその保証人になったことが借金地獄の始まりだった。当時、島倉さんに借金の片をつけると近づいたのが、占い師として表舞台に立つ前の細木さんだった。

 筆者は、島倉さんが暴力団幹部と交際していた細木さんに利用されているという話を、島倉さんの大ヒット曲「人生いろいろ」をプロデュースした音楽プロデューサーの故・山田廣作さんから聞いていた。筆者が細木さんを直撃した際、愛人とされる暴力団幹部について「昔なら人別帳に載ってないから」と話した内容をそのまま記事に書いたことに激怒。“こんな品性下劣な記者に初めて会った”と罵倒されたことは、今でも忘れられない。

 21年に他界した細木さんは、15億円を超える財産を遺したと言われている。
 
「細木さんは17歳で水商売の世界に入って、銀座や赤坂のクラブを経営。その後、自身の著書『六星占術』がベストセラーになった。しかし、その裏では暴力団幹部と交際したり、墓石販売で暴利をむさぼり、客とトラブルになっています」(前出・芸能ライター)

 これら細木さんの負の側面をドラマはどこまで描き切ることができるのか。

(本多圭/芸能ジャーナリスト)

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