「柔厚炙りチャーシューエッグ定食3枚盛」1,790円

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◆松屋で1,790円はアリなのか?
食文化研究家のスギアカツキです。日本の景気に明るい兆しを見つけにくい2024年、怒涛の値上げにも耐えながら、サラリーマンの財布事情は深刻さを増しています。今年6月28日に発表されたある調査(※)によれば、男性会社員のお小遣い額は39,081円、女性会社員は34,921円で、昨年よりも共に減少傾向にあります。この金額を1日換算すると、男性1,302円、女性1,164円になります。そんな中、松屋で8月13日から登場した新メニューの価格に目を疑ってしまった方も少なくないでしょう。「柔厚炙りチャーシューエッグ定食」2枚盛が1,390円、3枚盛が1,790円です。松屋は正気なのでしょうか……?

そこで今回は、このチャーシューエッグ定食を実食。リアルな感想と魅力を正直にお伝えしながら、このメニューにふさわしいターゲットを考察。そして「牛丼チェーンにおいて、リアルな高コスパラインは一体いくらなのか?」について考えてみたいと思います。

◆まずは「3枚盛り」を実食してみることに

販売開始日から2週間ほど経過したある日、東京都心の某店舗に入店。お腹を減らした状態で「柔厚炙りチャーシューエッグ定食3枚盛」1,790円を注文しました。商品説明によれば、肉厚大判チャーシューに甘めのタレを絡め、目玉焼きを2つ乗せた、松屋得意のご飯泥棒メニュー。炙りによって香ばしさが引き立つホロホロのチャーシューに、甘いタレが特徴的な、食べ応え満点の逸品とのこと。松屋のような牛丼チェーンでこの価格を支払う経験はうな丼くらい。いや、うな丼はダブルでも1,390円です!

◆松屋で20分待ったのは初めての経験

そして、しょっぱなから衝撃の出来事がありました。支払い完了後に席で待っていたところ、いっこうに呼ばれないのです。10分経っても呼ばれません。ついに20分経過して、さすがにそわそわした私は、カウンターに注文確認をしに行くことに。「ごめんなさいね、ちょっと慣れていなくて……」との返答をいただくことに。どうやら発売後ほとんど注文を受けないようで、この状況に対する感覚は人それぞれではあるものの、松屋でこれほど待ったのは初めての経験でした。

確かに周りを見渡すと、同じ新商品の「鶏のバター醤油炒め定食880円」を注文するお客はちらほらいるものの、自分と同じ商品を注文したであろうお客を見つけることはできませんでした。このような状況下でしたから、「こんなに待ったし、いいお値段なんだから、感動のおいしさに違いない!」と、期待度が勝手に高まってしまったのは正直なところです。

◆目玉焼きをめくると、2センチ弱ほどの厚切りチャーシューが

さあ、念願のチャーシューエッグ定食をいただきます。そもそもこのメニューは、松屋の紹介文にはないものの、愛媛県今治市のソウルフード「焼豚玉子飯」にそっくりの構成。今治の有名店における価格は800円程度になっています。目玉焼きをめくると、暑さ2センチ弱のチャーシューが3枚並んでいます。

食べてみると、確かにホロホロと柔らかく、チャーシューというよりは薄めの豚角煮を食べているような感じ。豚バラの脂身も程よく楽しむことができ、濃いめの甘辛味と白ごはんの相性は抜群で、肉をがっつり食べたい欲求は満たしてくれそうです。シンプルにおいしかったこともありますが、女性の私でもペロリと完食してしまいました。

ここで感じたのは、食べ応えはあるものの、“ザ・男飯”という看板に応えるようなロマンを感じるボリュームなのかは意見が分かれそうであること。そして肝心の満足度を冷静に考えてみることにしました。

◆1790円で食べられる料理は? 牛丼チェーンの高コスパラインはいくらなのか?