1万円に何を求めるか。「CMF Buds Pro 2」レビュー
NotingのサブブランドCMF by Nothingがこの夏リリースした最新イヤホン「CMF Buds Pro 2」。リリース前からダイヤルが注目されていました。いざ発表されると、このダイヤルで音量調整や曲送りなどができることが明らかに。初代から大きくデザイン変更され、充電ケースがリモコン感覚で使えるというギミックが特徴です。
日本の販売価格は1万1000円。デュアルドライバー搭載のHiFiサウンド、2端末接続可能、バッテリー持ちは再生最大43時間（イヤホンと充電ケース）にCMFらしいデザインのよさが加わり、ギズモード編集部では好印象。ただ、米Gizmodoは辛口評価しています。ガジェットサードウェーブのCMFだけに、期待が大きいのかもしれません。
1万円のイヤホンに何を求めるのか、その優先順位は人それぞれ。以下、米Gizmodoのレビューです。
ここ最近の注目株といえばNothing。4ヶ月そこそこの間に2つもスマホを出し、さらに編集部の今月のベスト・ガジェット（4月）に選ばれたEar (a)までリリース。カール・ペイ氏が手がけるNothingに、その姉妹ブランドとしてバジェットガジェットを手がけるCMFに、飛ぶ鳥を落とす勢いを感じています。
そのCMFの新型イヤホンCMF Buds Pro 2。ビビッドなオレンジを見た瞬間から触るのを楽しみにしていました。機能をカスタマイズ設定できるダイヤルは、昨今大きなトレンドとなってるレトロバイブスを感じます。イヤフォン自体はTeenage Engineeringのようなデザイン。価格は60ドル。
見た目：デザインはいいが高級感はない
なによりも目立つのがCMF Buds Pro 2のビビッドなオレンジ。CMF Buds Pro 2には、他にダークグレー、ライトグレー、ブルーがありますが、メインビジュアルはやっぱりオレンジ。そう言えば、AI端末で注目されたRabbit R1もSamsung Galaxy Watch Ultraもオレンジです。今年の色ってビビッドオレンジで決まりかな。
カラバリはいいのですが、46gのプラスチックケース、これ見た目も手触りも高級感はありません。頑丈さも感じないかな。イヤホンそのものもチープな印象あり。可動パーツなしで作る自体は悪くないのですが、単純に高そうな感じはないぞという話。作りでいうと、見た目のデザインを優先してか、ペアリングボタンがうまいこと隠されていて探しにくかったです。
デザインの肝となるダイヤル。これは装飾ではなく機能あり。スマートダイヤルとして、専用のNothing Xから機能をカスタマイズで設定できます。イヤホンについているあるある機能を、こちらのダイヤルに持ってきたと思えばOK。
操作性：イヤホン操作のほうが早くない？
充電ケースで操作ができる。これが好きかどうかという話。充電ケース自体は軽いし小さいしで、手の中に収まるし、ポケットに入れても邪魔にはなりません。なりませんが、そこに存在はするわけで…。イヤホン以外にもう1つ持ち歩くものが増えるという見方もあります。
個人的には、長電話で歩き回ったり、ランニングするときは、ケースは置いていきたい派。そうなると、いくら小さくて軽い充電ケースでも邪魔です。タイトなデニムやふんわりした生地の服だと、ポケットに入れても出っ張りが目立ちます。
ケースのダイヤルも、いざ使ってみると個人の好みでかなり意見がわかれると感じました。専用アプリNothing Xから、ダイヤルに機能を好きに設定することができます。シングル押し、ダブル押し、3回押し、長押しに加え、ダイヤルを回す動作に、音量操作、音楽再生、停止、通話を受ける、モード切り替え、音声アシスタント発動など、いろいろ設定できます。
カスタマイズで設定できる動作、機能が多いのはいいのですが、実際の使い勝手がイマイチ。これも人によりますが、個人的には押しではなくタップに慣れちゃってるんです。
イヤホンを触って操作する、ワンタップ・ダブルタップ的な操作に慣れていると、充電ケースのダイヤルを物理的に押すという操作の使い勝手が悪くて…。つい、タップだけして機能発動されずアレ？ってなっちゃうケースが多発。イヤホンのステムをスライドして音量調整するほうが早いじゃんって思ってしまい、ダイヤルによる直感的な操作という謳い文句を素直に受け取れず。これは慣れなのかな…。
ChatGPT搭載：ぼちぼちです
今年新しくでるガジェットはAI機能が注目。60ドルという安価帯のイヤフォンなのにChatGPTが乗っています。が、載っているだけで使い勝手がいいかは別。
まず、イヤホンを接続する端末（スマホ）にChatGPTのアプリを入れます。次にNothing Xのアプリで音声アシスタントにChatGPTを選びます。で、音声アシスタント発動のジェスチャーを設定します。簡単なジェスチャーは、音楽再生・停止、受話とかに振り分けているので、私は右イヤフォンのダブルタップからのホールドというジェスチャーにしました。
が、これがうまくいかない…。このジェスチャーをぜんぜん理解してくれないのか、まったく発動されず。左イヤホンに変更したところ、発動率が上がったものの100％でもなくて。スマホはNothing Phone (2a) Plusを使用していましたが、なんなら、ChatGPTではなくGoogleアシスタントが発動されたことも。アプリで設定見直してもちゃんとChatGPTになってるのに、です。これ、アプリとイヤホンを再起動してようやく直りました。
発動までもそんな感じでしたが、実際の使い心地は普通。あれこれ質問したところ、レスポンスまでの時間はアプリやウェブサイトを使うのと大差なし。ただ、被せて話しかけたり、イヤホン操作をしながらだとうまくいかず、つまり何かをしながらAIトークをすることができないということに。これに便利さを感じないので、ならイヤホンにChatGPT飼わなくていいやって気になります。
また、ChatGPTのレスポンスが、左右イヤフォンでズレて聞こえることがあって、こうなるともういないほうがまし。性能がコンスタントではないのがストレスでした。
音とANC：普通の一言
11mmドライバで低音を、6mmのツイーターで高音を。周波数は20Hzから40KHzで、一般的なイヤホンよりも広め。とはいえ、人間の耳に聞こえるのは20Hzから20KHz程度なので、この場合の数字はただのマーケティング要素とも言えます。Nothing Xアプリから好みの音プロフィールをカスタマイズ可能。
Ooyyの『Black Spur』を聞いてみたところ、音の明るさに欠けベースがちょっと重め。ボーカルの強調が不十分で、オーケストラの空間力も足りない印象を受けました。個々の音が聞き取れないというかね。イコライザーの設定をいじると改善はされました。
つまり、純粋にサウンドクオリティだけでいうと、人並み。この価格帯ならこの音は普通。普通。良くも悪くもない、平均的な音です。
ANCも手放しで喜ぶレベルにはありません。空調の音は低減されるものの、キーボードを叩く音（私のタイピングはかなりうるさいほうです）は漏れ聞こえてました。地下鉄で試す機会がなかったんですが、家で試した感じから予想すると、あの騒音を消し去るのは難しそうです…。
バッテリー：1週間はいける！
公式の再生最大43時間は伊達じゃない。レビュー期間中にきっかり時間を測るテストはできなかったものの、日々の使用時間を考えて計算すると…これ43時間いけますね。音楽再生と通話が主な使用で3日間で10時間ほど。バッテリーの減りはフルから3割減。使い方にもよりますが、私は1週間充電なしでもいけそうです。
イヤホン単体でのバッテリー持ちは最大音楽再生11時間、通話だと6時間。ANCを使うと4.5時間から6.5時間ほどに短縮されます。ワイヤレス充電は非対応も、高速充電はあり。10分充電で7時間いけるのはありがたい。
2端末での複数接続は、スマホとノートパソコンで試しました。切り替えシンプル、設定シンプル、問題なし。防水IP55。着脱感知あり。
総評：1万円にどこまで望むか
一言でいうと、特徴的な外観からは想像できないほど非常に平均的な普通のイヤホン。エントリーレベルの安価なイヤホンを探している人向けですが、他社でもっといいやつあるかも。バッテリー持ち以外は大きな強みなし。価格を鑑みてもANCは平均以下かも。同価格帯ならSamsung（サムスン）のGalaxy Buds FEのANCの勝ちです。ChatGPT搭載は強みとなる可能性はあったものの、動きがイマイチでストレスに。
個人的に同価格帯でおすすめするなら、サムスンのGalaxy Buds FEかOnePlus Buds 3。あとは、CMFのデザイン、見た目のうｐさと個性にどれだけ価値を見出すかです。
いいところ：バッテリー持ち。ダイヤルのユニークな触感。2端末接続可能。
残念なところ：イヤホン自体のチープさ。直感的ではない操作性。ダイヤルの機能の使い勝手がイマイチ。搭載されているChatGPTがカクカク。音質もANCも普通中の普通。
Source: CMF
