今週の日経225先物は、28日に予定されるエヌビディア の決算に市場の関心が集まりやすく、日経平均型優位の展開からトレンドを強めてくるかが注目される。23日の米国市場は、主要な株価指数が上昇した。ジャクソンホール会議でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演し、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利下げを強く示唆した。

 予想通りの内容ではあったが、発言を受けてNYダウは一時4万1200ドル台を付け、7月18日に付けた取引時間中の高値(4万1376ドル)が射程に入ってきた。また、米長期金利が低下し、為替市場では円買い・ドル売りが強まり、23日の円相場は2円近く変動し、1ドル=146円台から144円台前半へと円高に振れている。この影響によりナイトセッションの日経225先物は日中比130円安の3万8280円と下落して終えた。

 週明けの日経225先物は売りが先行しそうだが、積極的なショートの動きは手控えられそうだ。ドル・円は円高に振れたものの、8月5日に付けた1ドル=141.70円までは円高に振れておらず、一段の円高を想定した動きは限られよう。また、8月の急落局面でヘッジファンドは持ち高をいったん解消しているとみられる。すぐに以前のポジションに戻す戦略変更は考えにくいが、調整局面でロングを入れてくる可能性はあろう。

 日経225先物はナイトセッションで3万8140円まで売られる場面もみられたが、週末の日中安値(3万8040円)を上回っている。上値は75日移動平均線(3万8620円)が抵抗線として意識されているが、足もとのリバウンドでは下値切り上げのトレンドを継続している。3万8000円を下回ってくると、短期的にロングの解消が強まる可能性はあるものの、25日線(3万7180円)と200日線(3万7060円)処での押し目買い意欲は強いだろう。

 一方で、75日線を明確に上放れてくると、短期のショートカバーを誘う流れが強まりやすく、ボリンジャーバンドの+1σ(3万9080円)のほか、4万円の大台が射程に入ってくる。13週線(3万8550円)、26週線(3万8680円)なども75日線近辺に位置しているため、これら抵抗線を捉えた場合、上へのバイアスが強まろう。

 そのきっかけとして期待されるのが、エヌビディアの決算である。AI(人工知能)向け次世代製品「ブラックウェル」の生産遅延が警戒されているが、足もとでの指数インパクトの大きい値がさハイテク株の値動きをみると、既に織り込まれていると考えられる。生産遅延が発生したとしても、AIの成長が続くなかでは旧型製品の売上増につながる。決算後のアク抜けも意識される可能性があろう。

 そのため、日経225先物は3万8000円処での底堅さが意識されるなか、75日線突破を狙ったスタンスになりそうだ。オプション権利行使価格の3万8000円から3万9000円のレンジを想定する。エヌビディアの決算がネガティブ視される局面では、その後のカバーを狙った押し目狙いのロングでの対応に向かわせよう。

 米国では9月FOMCでの利下げがほぼ確実となったが、利下げ幅に対する思惑が金利や為替動向に大きく影響する可能性がある。そのため、26日の米7月耐久財受注や27日の6月ケース・シラー米住宅価格指数、米8月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、米8月リッチモンド連銀製造業指数、29日の米4-6月期GDP改定値などが注目されそうだ。

 なお、23日のVIX指数は15.86(前日は17.55)に低下した。先週はジャクソンホール会議でのFRB議長の講演を控え、22日には18.06まで上昇する場面もみられた。ただし、足もとで低下傾向を続けて支持線として意識される75日、200日線辺りまで下げてきたことで、いったんは反発が意識されやすいタイミングでもあった。不安心理が高まるとされる20.00を下回って推移するなかでは、ショートは仕掛けづらい。