今週のテーマは「デートの後半、急に女がスマホを気にし始めた理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:「あの話題はNG!」アプリで出会って初デート。踏み込んだ話はどこまでOK?




マッチングアプリで出会った洸平とは、今日で会うのは二度目。

でも今日のデートの途中から、私はげんなりしていた。

だから食事が終わり、「もう1軒行きますか?」と誘われた時、丁重にお断りをして帰った。

コンサル会社勤務で年収2,000万、高身長だし顔も塩顔で私のタイプ。そのうえ結婚願望もあるらしいから、条件面では最高だった洸平。

それでも、今日のデートで私は「こういう人と付き合ったら絶対に面倒なんだろうな」と悟ってしまったのだ。


A1:「結婚願望はあります」と真面目に答えてくれた点


洸平と出会ったのは、マッチングアプリだった。

真剣に彼氏…その先にある結婚ができる相手が欲しくてアプリを始めたら、想像以上にたくさんの「いいね」が来た。

その中でも、洸平は年収や大学名などの条件がよかった。

「慶應卒で年収2,000万…しかも高身長!」

顔も良いし、マッチしない理由はない。早速「いいね」を返し、何度かやり取りをした後。私たちは『ガーデンラウンジ 坐忘』で会うことになった。




そして当日。待ち合わせ場所へ向かうと、洸平は先に席に着いていた。

「洸平さん、ですよね。初めまして」
「初めまして。花音さん、想像より小さいんですね」

ニコッと爽やかな笑顔を向けられ、こちらも笑顔になる。実際に会う人にこれはよく言われることで、別に身長が低いことを自分自身は気にしていない。

「そうなんです。よく『背高そう』と言われるのですが、実際は全然。身長低くても大丈夫ですか?」
「もちろんです!可愛いじゃないですか」
「洸平さんは、大きいですね」
「僕は逆に180cm くらいあって…」

最初から、楽しく会話が進んでいた。しかし次の言葉に、私はどこか引っ掛かりを覚えた。

「花音さんの職場は、どちらになるんですか?」
「私は大手町になります。総合商社で一般職をしていて…」
「そうだったんですね!プロフィールに“事務職”と書かれていたので、ちょっと気になって」

― 気になって…?

洸平の言い方には、「事務職ってどのレベルの?年収いくらくらい?」という意味も含まれているように聞こえてしまったのは、私の考え過ぎだろうか。

ただこれから先、真剣に交際を考えるならば、気になるのは当然だ。だから私は考え過ぎないことにして、この時間を楽しむことにした。




「洸平さんは、何をされているんですか?」
「僕はコンサルです」

今日が初対面の私たち。でもマッチングアプリで出会っている以上、確認しておかなければならないことがある。

「あの…初回でストレート過ぎるのかもしれませんが、洸平さん、結婚願望はありますか?」

「結婚願望はないです」と言われたら、ここで試合終了だ。私は真剣に交際できる相手を探しているし、ここのゴールが一致しない人と、ダラダラ会い続けるなんてことはしない。

すると、洸平はとても真面目に答えてくれた。

「もちろんあります!次に付き合う方とは、結婚したいなと思っています。遊びで登録していたわけではないですし、真剣に出会いを探しています」

この結婚願望に対する回答がすごく好感が持てたのは、私だけではないはず。

「そうなんですね!良かった」

洸平の真摯な姿勢が素敵だなと思いながら、私たちは次のデートの約束をして解散した。


A2:単純に、デートが早く終わって欲しかった


次のデートは、虎ノ門にあるイタリアンを予約してくれていた洸平。

今日は二度目ということもあり、私も気合を入れて挑む。そしてお互い聞きたいこともたくさんあったせいか、乾杯をしてからひたすら話し続けた。

「花音さんモテそうなのに、どうしてアプリを始めたんですか?」
「最近、彼氏と別れまして…。洸平さんは?」
「僕は友人に勧められて。それに条件である程度絞れるので、効率がいいなと思ったんです」

これは大いに共感できる。マッチングアプリは、とにかく条件が明確化できるし、効率が良い。

チマチマと無駄な食事会へ行って無駄な時間を過ごすなら、その分スマホ上で相手を見極めて会う方が、いい人に出会う確率が高いと思う。

ただ、洸平がいう“条件”が少し私の想像とは違っていた。




「どんな条件で絞ったんですか?」
「年齢と、あとはタバコを吸わない、ある程度の大学卒業…とかですかね。そんなに厳しく設定していたわけではないですけど」
「わかります。便利ですよね、アプリは」
「そうなんですよ。ちなみに、花音さんってタバコは吸わないですよね?」
「はい、吸わないです」
「良かった。僕、タバコ吸う人と酒にだらしない人が本当にNGで」

この辺りまでは、私も理解できた。でも、洸平の話し方が次第に冷たくなっていく。

「お酒にだらしないって、どの程度のことですか?」
「例えば、酔うとやたらと距離が近くなったり?あとは人に迷惑をかけたり。あれをされると、急に冷めちゃうんですよね…」

― この人、他人に厳しそうだな…。

洸平の冷たい言い方と、上から目線で女性を“選んであげている”感じがどうも鼻につく。

「まぁ酒癖が悪い人はみんな嫌いですよね」
「あと束縛が強い人もだめかもです」
「どうしてですか?」
「会食もありますし、友人との付き合いも縛られるのは辛いなと」

そして何より、想像よりも彼の中で女性に対して求める条件が多いのも気になった。

― 厳しいに加えて、面倒じゃないか?

私がそれに気づくのに、時間はかからなかった。




つまらないデートだと思った途端に、時間の流れがゆっくりになる。

好きな人とのデートや女友達とのしょうもないガールズトークの時なんて、秒で時間が過ぎていくのに、何度スマホを見てもまったく時間が進んでいない。

「仕事ですか?出てもらって大丈夫ですよ」
「いえ、大丈夫です」

つい洸平にもそう注意されるほど、私は時間が早く過ぎるのを祈っていたようだ。

「ちなみに花音さんは、どうして前の彼と別れたんですか?」
「うーん…。難しいですよね。一言では説明できないのですが、いろいろあって。洸平さんは?」
「僕は同棲を開始したら、相手の嫌な部分がたくさん見えてきてしまって。出会った時がピークで好きだったな、と」

― 出た。減点方式の男!

この発言を聞いて、私は確信した。洸平は、女性に対して加点方式ではなく、減点方式を取っている男だ。

こういうタイプは、一番面倒くさい。ちょっとでも自分にとって嫌なことがあるとすぐに減点し、「冷めた」とか言い始める。

自分の理想に完全にマッチする人なんて、ほぼいない。多少の妥協は必要だと思うけれど、減点方式の男はとにかく面倒だ。

「うわぁ、それ難しい問題ですよね!」

適当に話を合わせてみたけれど、もう少し優しくて他人に…彼女に対して、寛容な人がいい。

残念ながら今回、私とは合わなかったけれど、「理想的な人が見つかるといいですね」と心の中で声をかけながら、洸平とはこれっきりとなった。

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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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デートが白ける場所があって…