「スーパーGII」札幌記念は1番人気が不振 穴党記者が大駆けを期待する伏兵2頭とは
夏競馬唯一のGII、札幌記念(札幌・芝2000m)が8月18日に行なわれる。国内外の秋のGI戦線を見据えた実力馬たちがここから始動することも多く、注目度の高い一戦だ。
ただ一方で、意外な傾向もある。日刊スポーツの太田尚樹記者が言う。
「『スーパーGII』と呼ばれるだけあって、GI馬の参戦も多いのですが、1番人気が苦戦するレースでもあります。ここ10年の結果を見ても、2着4回、3着は3回あるものの、勝った馬は1頭もいません。一昨年にはソダシが5着、昨年はジャックドールが6着と人気を裏切っています」
その要因について、さらには今年の1番人気はどうなのか、太田記者が続ける。
「実績馬にとっては、秋の大舞台に向けての叩き台。あくまでもステップレースとして臨んでいるケースが多く、それが思わぬ躓きにつながっているのだと思います。
そして今年は、おそらく連覇を狙うプログノーシス(牡6歳)が1番人気に支持されるでしょう。同馬に昨年と同じパフォーマンスをされては、他馬が逆転を狙うのは厳しいかもしれません。
しかしながら、昨年のレース当日の馬場は、やや重の特殊なコンディションでした。昨年との馬場の違いを踏まえれば、今年も同じ結果になると決めつけるのは早計です」
過去2年、連覇を狙った1番人気が馬群に沈んだことを考えても、リピートが利かないレースのひとつであることは間違いない。
また、特に今年の札幌開催は例年よりも「時計が速い」という声が聞かれる。実際、先週行なわれた2歳馬のオープン特別・コスモス賞(芝1800m)の勝ちタイムは1分49秒2という、過去10年のなかでも2番目に速いタイムが記録された。
となれば、今年も1番人気馬を絶対視するのは禁物か。そこで、太田記者は伏兵の台頭を期待して、2頭の穴馬候補をピックアップした。
「まず気になるのは、ドゥラエレーデ(牡4歳)です。前走のGIIIエルムS(8月4日/札幌・ダート1700m)での2着に、あらためて同馬の地力の高さを感じました。
というのも、調教のパフォーマンスからも、取材の感触からも、体を絞るのに苦労していた様子で、良化途上の印象が強かったからです。レース後、鞍上の武豊騎手(今回は藤岡佑介騎手が騎乗)から聞いた『さすがGI馬』という言葉には、大きく頷きました」
札幌記念での大駆けが見込まれているドゥラエレーデ photo by Eiichi Yamane/AFLO
芝のレースは、昨年9月のGIIセントライト記念(8着。中山・芝2200m)以来、実に6戦ぶりの出走となるが、太田記者はその点についても不安はないという。
「ドゥラエレーデは芝、ダートを問わない、いわゆる"二刀流"。2歳時にGIホープフルS(中山・芝2000m)を制覇した実績からも、芝への適性の高さは疑いようがありません。
札幌・芝では2歳時の未勝利戦(芝1800m)で2着。その時の勝ち馬は、その直後に同地でGIII札幌2歳S(芝1800m)を快勝したドゥーラですから、洋芝での割引も必要ありません。当時からの成長も加味すべきでしょうし、すんなり好位で運べそうなメンバー構成も歓迎です」
太田記者が推すもう1頭は、ノースブリッジ(牡6歳)だ。
「近年のトレンドとして、札幌記念では香港での好走実績のある馬の活躍が目立っています。香港と札幌は洋芝で平坦という共通点があり、求められる適性も同じなのでしょう。
そして、ノースブリッジも前走で香港のGIクイーンエリザベス2世C(4月28日/シャティン・芝2000m)で3着と好走しています。国内の洋芝コースでの出走は今回が初めてとなりますが、クイーンエリザベス2世Cでは今春のGI安田記念(東京・芝1600m)も快勝したロマンチックウォリアーからコンマ3秒差。洋芝適性があるのは証明済みと言っていいでしょう。
今回は帰国初戦となりますが、7月上旬からみっちり乗り込まれており、仕上がりは良好。一発を期待したいですね」
今年も「スーパーGII」と言われるにふさわしいメンバーがそろった札幌記念。はたして、本命プログノーシスを脅かす存在はいるのか。ここに名前のあがった2頭が、その大仕事を成し遂げても不思議ではない。