殺害された宝島さん夫婦の長女と内縁関係にある関根容疑者(時事通信フォト)

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 ゴールデンウィーク最終日の5月6日夜、男の逮捕の一報をメディアが一斉に報じた。栃木県那須町の河川敷で燃やされた夫婦の遺体が見つかった事件は、発覚から3週間あまりを経て、ついに警察が事件を首謀したとされる“黒幕”を逮捕した。被害者の宝島龍太郎さん(55)、幸子さん(56)夫婦の長女と内縁関係にある関根誠端容疑者(32)だ。身内による残虐な犯行という事件の構図が明らかになり、連日テレビのワイドショーなどで取り上げられている。

【写真】犯行現場と見られる都内の空き家。「修復できないくらい仲が悪くなった」関根容疑者とのトラブルの実態

警視庁栃木県警の合同捜査本部は、指示役、仲介役、実行役の計4容疑者を逮捕した後、指示役の佐々木光容疑者(28)に犯行を持ちかけた主犯の黒幕として、関根容疑者を逮捕しました。上野で少なくとも14店舗の飲食店を経営していた被害者夫婦との間でどのようなトラブルがあったのかはまだ捜査中ですが、関根容疑者は夫婦の長女と交際していた上に、飲食店も複数任されていた身内でした」(大手紙社会部記者)

 全身、そして首筋に和彫りの刺青のある関根容疑者。サングラスに金のネックレスを付けて、上野の繁華街を闊歩する姿が目撃されていた。

「宝島さんのところのマネージャーという立場で、3〜4店舗の経営を任されていました。売り上げをしっかりと上げて結果も残していたようです。強面ですが、陽気な人で特にトラブルを抱えていない我々に対しては、ヤンチャな感じの言葉遣いではあるものの、ちゃんと挨拶もしてくるし、ゴミ出しについて注意したらすぐに対応もしていたし、そこまで悪い印象を持ってはいませんでした」(近隣店主)

「特に奥さんの幸子さんとの関係が深かった」といい、店舗の実質的な運営を担っていた幸子さんと仕事面で多くのやりとりがあったようだ。

 被害者夫妻と関根容疑者と食事をしたことのある共通の知人男性はこう振り返る。

「関根容疑者は“せきね・せいは”という名前から“せはさん”と周囲から呼ばれてました。そんな彼は宝島さん夫妻のことを『パパ』『ママ』と慕っていた。宝島さんは金持ち特有の余裕がある人でどーんとしているんですよ。だから関根のことを気に入っているというよりも、娘が選んだ相手だからという感じでした。昨年、初めて私が関根と会った時にいくつか店舗を持たせているとも言っていて、信頼はしていたんだと思います。

 ちょうど訴訟沙汰になっている近隣店舗の方と揉めていた時も彼に会いました。関根は相手に手を出されたけど、やり返すのを我慢したらしく『むかつくっすよ、これで(相手が)有罪にならなかったら殴られ損だ、殴っておけば良かった』とか言って血気盛んな様子でした」

 派手な見た目の風貌に、ヤンキー口調で話す関根容疑者について、この知人男性は“違和感”も感じていた。

「地元が近い同級生だかなんかで娘さんと付き合っていると聞きました。ああいう見た目ですが、明るい感じもあって女性にはモテそうでした。なんで宝島さんの娘なのかなと思っていたんです。色んな人と遊んでいそうなのに……」

 宝島さんが殺害されたことを知り驚いたこの男性は、報道が相次ぐ中、関根容疑者に対する不信感が募っていたという。

「最初に宝島さん夫妻がむごい殺され方をしたことを知った時に、思い浮かんだ人間の一人が関根でした。ああいう性格だし、ずっと報道がされている中で犯人じゃなければ、『許せない』とか言ってテレビに出てくるようなタイプなのに、そんなこともなかった。なので怪しいと思っていたんです。しばらく姿を見ていませんでしたし」(同男性)

「パパ」「ママ」と呼んでいた相手だったのにもかかわらず、なぜ大金を報酬に、殺害する計画を立てたのだろうか。

「修復できないくらい仲が悪くなっていたんだと思います。例えば『店やりたいから1000万円出して』みたいな、ちょっとやそっとのお金なら宝島さんは渋らない。トラブルの果てに、関根を切るみたいな話になって殺したんじゃないでしょうか。

 結局、中国人でもない関根が、養子みたいに入り込んだのはやっぱり店が欲しかったというのが一番だろうから、それができなくなったことくらいしか動機は思いつきません」(同男性)

 飲食店の仕事をする上で、龍太郎さんよりも幸子さんとの付き合いが深かったという関根容疑者。夫妻の死因は窒息死だが、幸子さんの遺体だけ頭蓋骨が骨折していたことが判明している。

 誰がどのように、夫妻を殺害したのか。捜査の更なる進展に注目が集まる。