天井の高さを変えることで、部屋の印象は大きく変わります。3年半前にハウスメーカーで2階建ての家を建てた日刊住まいライターは、リビングの天井の中央部分を高くした「折り上げ天井」を採用。すると照明の陰影で室内に高級感が。天井が低い部分の畳コーナーにはおこもり感、また高くなるダイニングには開放感が生まれました。詳しくレポートします。

実用性も兼ねたリビングの折り上げ天井

筆者は妻と子ども2人の4人家族。3年半前にハウスメーカーで延床面積38坪、総2階の注文住宅を建てました。

上は1階の間取り図です。LDKは、奥行きが出て広く感じられるよう斜めに配置。リビングからもダイニングからもアクセスしやすい場所に、畳コーナーをつくりました。

 

リビング（8畳）の天井は、中央部を高くした「折り上げ天井」にしました。上の写真のように、中央の折り上げ部分の天井高は260cm、周囲は40cm折下げています（天井高220cm）。

ネットで調べてみると、折下げ部分が10〜20cmという例が多く見受けられました。それと比べるとかなり高めです。じつはわが家の場合、この40cmの下がった部分にダクトが通っているのです。

 

筆者の家は全館空調を採用しており、家じゅうに全館空調のダクトが通っています。リビング周辺にもダクトが複数通っており、折下げ部はその通り道になっているというわけです。

この折り上げ天井は、全館空調のダクトの通り道としてだけでなく、リビングにとてもいい影響を与えてくれました。40cmという高さの折下げ部のおかげもあってか、リビング天井に奥行きがでて、8畳という広さ以上に開放感があります。

ダウンライトで折り上げ天井に高級感が

また、折り上げ天井のリビングには、どことなく高級感があります。筆者はその秘密が照明にあると考えています。

ちなみに筆者宅のリビング照明は、ダウンライトを採用しています。このダウンライトをつけると、折り上げ部分の内側にライトの陰影の模様ができるのです。この模様がちょっとした高級感につながっている模様。

 

折下げ部分を活用して落ち着きのある畳コーナーに

リビング天井の折下げ部は、そのまま隣の畳コーナーまで続いています。

和室は基本的に床に直接座って過ごすので、天井高は洋室よりも低くした方が落ち着くといわれています。実際、折下げ部の高さが、和室ととても合っているように感じます。

さらに筆者宅の畳コーナーは、10cmほど小上がりにしているので、畳コーナー部分の天井高は210cm。この天井高が絶妙、ベージュ色のアクセントクロスも相まって、畳コーナーはとても落ち着いた空間となっています。

ダイニングは折り上げ天井と同じ高さにして開放感アップ

リビングとダイニングはひとつなぎの空間ですが、その間にリビングの天井の折下げ部があり、ゆるやかに仕切られています。

ダイニングルームは6畳と決して広くはありません。しかし、天井高はリビングの中央部の天井高と同じ260cm。40cmの折下げ部をはさんだ凹みのある天井により、ダイニングにも開放感が生まれました。

 

実際にリビングからダイニングルームを見ると、ダイニングの天井の一部が隠れて見え、実際よりも広い空間に感じます。

折下げ部分を20cm程度にしていたらもっとよかった

「折り上げ天井」を取り入れたことにより、リビングとその隣のダイニングに、実際の広さ以上の開放感が生まれました。また、落ち着いた雰囲気の畳コーナーをつくることもできました。

しかし、ちょっと気になる点も。天井高を40cm下げることで、圧迫感もあるのです。冒頭で言ったたように、この折下げ部分には全館空調のダクトが通っています。このダクトを通すのに、本当に40cmの高さが必要かどうか、ちゃんと設計士に聞けばよかったと、ちょっと後悔しています。

実際に暮らしてみると、折下げ部分は20cm程度が正解だったように思うからです。それくらいにしていたら、折り上げ天井の開放感と、折下げ部の包まれた感じのバランスがとれて、もっと魅力的な空間になったのかもしれません。