ロシア首都モスクワ郊外のコンサートホールが銃撃された翌日、市内を移動するロシア国家親衛隊(2024年3月23日撮影)。(c)TATYANA MAKEYEVA / AFP

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【AFP=時事】ロシア首都モスクワ郊外のコンサートホールが銃撃され、テロ事件として過去20年間で最多の犠牲者を出したのを受け、反体制派からは、西側諸国が2週間前に警告していたにもかかわらず治安当局は阻止できなかったとして、非難する声が相次いでいる。

 反体制派指導者、故アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏の政治団体「反汚職基金(FBK)」を運営するイワン・ジダーノフ(Ivan Zhdanov)氏はテレグラムで、「驚かされるのは、わが国の治安当局が壊滅的に無能な点だ」と指摘。「連邦保安局(FSB)は政敵の殺害や国民に対するスパイ活動、反戦を訴える人々の訴追など、本来の任務以外の活動に追われている」と批判した。

 ソ連国家保安委員会(KGB)の元職員で、後継機関のFSBの長官を務めたことがあるウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領にとって、情報活動における失態は痛恨の極みと言える。

 プーチン政権への批判を強めているドミトリー・グトコフ(Dmitry Gudkov)元議員は治安当局について、「犯罪政権を市民から守るだけで、市民を犯罪者から守ることはしない」と非難した。

 元石油王で、2013年まで10年間収監され、現在は英ロンドンで亡命生活を送っているミハイル・ホドルコフスキー(Mikhail Khodorkovsky)氏もソーシャルメディアで、今回の襲撃事件で情報機関は「無能ぶり」をさらけ出したと指摘した。

 ナワリヌイ氏の側近、レオニード・ボルコフ(Leonid Volkov)氏は23日、テレグラムへの投稿で、FSBは「架空のテロリストをでっち上げるのに夢中で、本物のテロリストに対応する時間がない」と皮肉り、「FSBは重大なテロ攻撃の阻止に専念すべきなのにそれができていないが、いまさら誰も驚かない」と批判した。

【翻訳編集】AFPBB News

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