大手半導体メーカーのNVIDIAが開発する生成AIモデルや大規模言語モデル(LLM)を構築・カスタマイズ・展開できるフレームワーク「NVIDIA NeMo」が、著作権で保護された書籍を許可なく使用したとして、書籍の著者3人から訴訟を提起されました。

Nvidia is sued by authors over AI use of copyrighted works | Reuters

https://www.reuters.com/technology/nvidia-is-sued-by-authors-over-ai-use-copyrighted-works-2024-03-10/



半導体メーカーのNVIDIAはAI特化のGPUを開発・販売しているだけでなく、AI関連のさまざまなツールやフレームワークも開発しており、その中のひとつがAIモデルを構築・カスタマイズ・展開できる「NVIDIA NeMo」です。このNVIDIA NeMoのトレーニングに著作権で保護されているコンテンツを利用したとして、NVIDIAが訴えられました。

訴訟を提起したのはブライアン・キーン氏、アブディ・ナゼミアン氏、スチュワート・オナン氏という3人の作家。訴訟によると、NVIDIA NeMoが通常の書き言葉を学習するために使っている約19万6640冊のデータセットに、3人の書籍が含まれていたそうです。なお、著作権侵害報告により、3人の書籍は2023年10月に当該データセットから削除されています。

訴状では「データセット上から我々の作品が削除されたことは、NVIDIAが当該データセットでNVIDIA NeMoをトレーニングし、それにより著作権を侵害していたことを『認めた』ようなものだ」と指摘されています。



原告側は、過去3年間に著作権で保護された作品がNVIDIA NeMoのトレーニングに利用された不特定多数のアメリカ人クリエイターに対して損害賠償を支払うよう求めました。

なお、著作権を侵害された作品にはキーン氏の小説「Ghost Walk」、ナゼミアン氏の小説「Like a Love Story」、オナン氏の小説「Last Night at the Lobster」などが挙げられています。



生成AIのトレーニングに著作権で保護されているコンテンツを利用しているとして訴訟を提起されている企業には、チャットAIのChatGPTを開発するOpenAIや、そのパートナー企業であるMicrosoftなども含まれています。

ロイターは「今回の訴訟により、NVIDIAはテキスト・画像・音声などの入力に基づき新しいコンテンツを作成する生成AIを巡るニューヨーク・タイムズをはじめとする訴訟に巻き込まれることとなりました」と指摘しました。

大手日刊紙のニューヨーク・タイムズがOpenAIとMicrosoftを著作権侵害で提訴 - GIGAZINE