【40代以上は必見】医師が教える「大腸カメラ」を受けた方がいいタイミングとは?
大腸がんなどの病気は、初期症状がほとんどなく、検査でしか発見できないものも多いそうです。そこで大腸カメラ(大腸内視鏡)を受けるべきタイミングについて、松井太吾先生(まつい内科医院副院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。
監修医師:
松井 太吾(まつい内科医院)
2008年に東邦大学医学部医学科卒業後、JA秋田厚生連 仙北組合総合病院(現・大曲厚生医療センター)にて初期研修医として勤務。 東邦大学医療センター大森病院消化器内科に入局、社会保険中央総合病院(現・JCHO 東京山手メディカルセンター)や日産厚生会玉川病院消化器内科への出向を経て、2019年から日産厚生会玉川病院 消化器内科にて勤務、現在はまつい内科医院副院長。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)ってどんな検査? どんな病気がわかるの?
編集部
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)について教えてください。
松井先生
一般的に「大腸カメラ」と呼ばれますが、正式には「下部消化管内視鏡検査」といいます。肛門から、超小型の電子スコープを挿入して盲腸から直腸までの大腸全体の粘膜を直接的に観察することができます。
編集部
それは痛そうですね。
松井先生
内視鏡検査と聞くと「痛そう」と苦手意識を持つ方も少なくありません。とくに初めて大腸カメラを受ける方は不安かもしれませんが、実際はそこまで痛みを感じることは少ないと思います。個人差はもちろんありますが、大腸に何かが入り込む違和感や、検査中には動いてはいけない辛さがあり、そうしたことがネガティブなイメージに繋がっているのかもしれません。不安の強い場合は、鎮痛・鎮静剤を使うこともできます。当院の場合、大腸カメラを受ける方のほとんどが鎮痛・鎮静剤を使用しています。
編集部
大腸カメラでどんな病気がわかるのですか?
松井先生
この検査で、大腸ポリープや大腸がん、大腸憩室症、潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性腸炎などの病気を発見することができ、病気によっては治療まで行えます。
編集部
その場で治療もできるのですか?
松井先生
そうですね。「ちょっと怪しいな」という組織があったら、その場で採取して詳しく検査したり、がん化する可能性のあるポリープを切除したりすることもできます。
大腸の病気の症状とは? 症状がなくても検査は必要?編集部
大腸の病気だった場合どんな症状が出るのですか?
松井先生
病気の種類や程度にもよりますが、下腹部痛や下痢、血便などがよくみられます。しかし、早期の大腸がんなどは自覚症状がほとんどありません。
編集部
症状がないこともあるのですね。
松井先生
はい。症状を自覚した時点では、かなり進行しているという病気もあります。さらに、「血便」といっても、初期の場合は量も少ないため、目で見ただけでは気が付かないことが多いと思います。便潜血検査、いわゆる「検便」できちんと検査してはじめて、血が混じっていたとわかるケースもあるので、やはり検査をしっかり受けていただきたいですね。
編集部
では、大腸カメラは症状がなくても定期的に受けた方が良いのでしょうか?
松井先生
大腸がんは、40代以降に増えると言われているので、とくに40歳を過ぎたら一度は検査を受けていただきたいです。便に血が混ざっていた時はもちろんのこと、自覚症状がなくても、定期的に検査を受けることをお勧めします。そこで「異常なし」という結果だったとしても、3~5年置きに検査しましょう。
編集部
検査を受けるのに入院は必要ですか?
松井先生
検査自体は20分程度で終わりますので、鎮静剤を使用したとしても日帰りでの検査が可能です。もちろん、検査の目的や検査後の処置などによっては入院が必要な場合もあります。
大腸カメラ検査前日~当日の流れは? 費用も教えて編集部
大腸カメラ検査の実際の流れを教えてください。
松井先生
当院の場合ですが、検査前日のお食事は、大腸に残りにくい検査専用食を召し上がっていただきます。夕食は21時までに終わらせ、それ以降は絶食となります。水分は、水や薄いお茶、スポーツドリンクなどを多めに飲んでください。
編集部
当日はどのような流れですか?
松井先生
当日の朝は食事を摂らず、水分をやや多めに摂取してください。当院の場合、9時から1時間に1リットルのペースで腸管洗浄液(下剤)を服用していただきます。服用から1時間ほどすると水様便になり、何度もトイレに行くにつれて便が透明になっていきます。なお、検査時に鎮静剤の使用を希望される方は、車・バイク・自転車をご自身で運転してのご来院はおやめください。
編集部
検査後についても教えてください。
松井先生
検査時間は20分程度ですが、生検用の組織採取やポリープの切除などを行う場合、もう少し時間がかかることがあります。検査後はリカバリールームへ移動して、1時間程度お休みいただきます。その後、撮影した画像をご覧いただきながら検査結果を説明し、検査後の注意事項についてもお伝えします。ふらつきなどがなく、十分に回復されたことが確認できましたらお帰りいただけます。
編集部
費用についても教えてください。
松井先生
費用は、保険が適用される場合、3割負担の方で7500円程度となり、鎮静剤などを使った場合はプラス2000円程度かかります。検査でポリープが見つかった場合など、その場で処置を行った場合などは、検査と切除で1万8000円ほどとなります。健診などで自己負担の場合は、医療機関にもよりますが2~3万円くらいかと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
松井先生
多くの自治体では、無料もしくは数百円~1000円程度の自己負担で大腸がん検診を受けることができます。40歳以上の方は、まずそちらを受けていただき、「要精密検査」といった結果が出たら、速やかに専門の医療機関で大腸カメラを受けましょう。早期発見・早期治療を行えば、大腸がんは決して怖い病気ではありません。
編集部まとめ
大腸カメラは、決して強い痛みを伴うものではなく、さらに、病変の状態によってはその場で治療もできるようです。大腸がんの早期発見・早期治療のためにも、40歳以上の方はまず、自治体の検診から始めてみてはいかがでしょうか。
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