オープンワールドサバイバルクラフトゲーム「パルワールド」が、リリースからわずか4日で累計売上本数600万本に到達しました。





日本ではゲーム配信者を中心に話題沸騰中のパルワールドですが、その人気は海外でも同様で、多くのメディアがパルワールド人気について報じています。ただし、ほとんどすべてのメディアがパルワールドの人気だけでなくパクリ疑惑についても報じており、かなり懐疑的な目で見られていることがよくわかります。

海外テクノロジーメディアのThe Vergeは「最初の20時間(友達とプレイしている場合はそれ以上)はプレイヤーの注意を引くのに十分かもしれませんが、次の20時間がどうなるかは興味があります。このゲームはまだアーリーアクセス段階にあり、Steamページによると正式版のリリースには少なくとも1年かかるようです」「パルワールドはサバイバル、クラフト、モンスター捕獲などの要素を合わせたゲームですが、特に何かのインスピレーションを感じることはありません。しかし、これらの非常に人気のあるゲームメカニクスをまとめたという事実は、ソード・シールド以来まともな栄養を摂取していなかった飢えたポケモンファンの注意を引くのには十分だったのでしょう」と記し、パルワールドの評価については慎重な姿勢を示しています。

Pokémon-like Palworld is a mega-hit, and it’s easy to see why - The Verge

https://www.theverge.com/2024/1/22/24047087/palworld-early-access-steam-xbox-gamepass



また、パルワールドに登場するモンスターの「パル」が、ポケモンと非常によく似ているとしてインターネット上で論争になっていることも紹介しています。





以下はパルの3DCGモデルとポケモンの3DCGモデルを重ね合わせ、パクリを指摘する動画。





ゲームメディアのVGCはパルワールドがポケモンによく似ている点についてゲーム開発者に意見を求めたところ、「モデルをリッピングすることなく別のゲームの複数のモデルと偶然同じプロポーションになるということは決してありません。少なくとも最初にそれらを注意深く追跡する必要があります」という意見をもらったことを紹介。

Palworld Pokémon plagiarism accusations pile up as CEO responds | VGC

https://www.videogameschronicle.com/news/palworld-pokemon-plagiarism-accusations-pile-up-as-ceo-responds/



同時に、開発元であるポケットペアの溝部拓郎代表取締役社長がパクリ論争に対して、「弊社は真剣にゲーム作りに取り組んでおり、当然ですが、他社の知的財産権等を侵害する意図は全く御座いません。法務のレビューも受けており、現時点で他社様から何らかの具体的なアクションを頂いた事も御座いません。インターネットでは様々な噂が飛び交っておりますが、安心してご購入頂ければ幸いです」とコメントしたことも紹介しています。

Windows Centralは「パルワールドが生成AIを用いて開発されている」という指摘に対して、「記事作成時点でパルワールドが生成AIで作成されたという具体的な証拠は存在しません。証拠不足ではあるものの、疑うには十分な材料が存在します」と言及。具体的には、溝部代表取締役社長が過去に投稿した一連のポストの中でゲーム開発におけるAI利用に興味関心を抱いていることがうかがえるためです。なお、パルワールドのリリース直前にSteamが「ゲームがAIツールで作られたかどうかを報告すること義務付ける新しいポリシー」を導入したことを紹介し、パルワールドにはAIツールで開発されたことを記すような記述はないとも言及しています。

Palworld AI controversy, Pokémon plagiarism accusations explained | Windows Central

https://www.windowscentral.com/gaming/palworld-ai-controversy-pokemon-plagiarism-accusations-explained



Ars Technicaはパルワールドの冒頭数時間しかプレイしていないとしながら、「パルワールドが独創的または野心的なことを行っているようには見えません。これは他の無数のゲームの基礎として機能してきた『資材収集』『アイテム作成』『拠点構築』といったサバイバルゲームの基礎に基づいて構築されており、モンスターデザイン以外のアート要素はどう考えても『デフォルトのゲームエンジンアセット』のように見えます」と記しており、パルワールドに対する評価は明らかに低めです。

“Pokémon with guns”: Palworld’s runaway Steam success should be a lesson for Game Freak | Ars Technica

https://arstechnica.com/gaming/2024/01/the-janky-palworlds-success-points-to-hunger-for-an-actual-grown-up-pokemon-game/



また、「パルワールドが生成AIを用いてキャラクターをデザインしているという論争よりも、ポケモンから3DCGモデルを盗んでいるという指摘の方が説得力があるように思える」と記し、パクリ論争についても言及しています。

Polygonもパルワールドのパクリ論争について言及していますが、ポケットペアの公開している開発秘話などを交え、開発元が疑惑を否定していると指摘。

Palworld animal cruelty and Pokémon plagiarism debates, explained - Polygon

https://www.polygon.com/24047254/palworld-pokemon-animal-cruelty-debate-ai-controversy



Game Fileは「パルワールドは地球上で最も人気なゲームであり、最も物議を醸しているゲームのひとつでもある」と報道。Steamでの累計売上本数や同時接続プレイヤー数を挙げ、名だたる人気ゲームよりも好調なスタートを切ったことをアピールしています。

Palworld is red-hot and very controversial (for Pokémon reasons)

https://www.gamefile.news/p/palworld-is-the-hottest-video-game



また、Game Fileはパルワールドのパクリ疑惑について、2008年から2020年まで株式会社ポケモンの法務部を率いてきたというドン・マクゴーワン氏にコメントを求めています。マクゴーワン氏は「私が株式会社ポケモンの最高法務責任者だった頃に年間で何千回も目にしたよくあるパクリのナンセンスなゲームに似ています」とコメントしたそうです。

TheGamerはこれまでにもデジモンやカセットビーストなど、ポケモンをインスプレーションとした作品が多数あったと指摘。しかし、これらの作品がポケモンとは異なるアートスタイルを採用しているのに対して、パルワールドはポケモンに似過ぎている点が大きな問題になっていると指摘。

Palworld May Have Copied 3D Pokemon Meshes, But Will That Change Anything?

https://www.thegamer.com/palworld-versus-pokemon-3d-mesh-copyright-lawsuit/



TheGamerは「パルワールドのデザインにはオリジナリティがないため非常に退屈です」とかなり否定的なスタンスで同作を批評していますが、同時に「PUBGがフォートナイトを訴えることはできなかったのでしょうか?任天堂がカプコンと共にすべてのメトロイドヴァニアを一掃することはできなかったのでしょうか?フロム・ソフトウェアがソウルライクゲームを訴えることはできるのでしょうか?これらの事例と3DCGモデルを盗用することは全く異なります。もしも任天堂がパルワールドに対する訴訟で勝利したなら、ゲーム業界のCEOや弁護士はどのように感じるでしょうか?少なくともインディーズの開発者はゲームシステムの似た作品を開発することを怖がるようになるでしょう」と記し、任天堂には個人的には訴訟を起こしてほしくないという見解を示しました。

Bloombergは「銃を持ったポケモンと呼ばれる話題のパルワールドが、ポケモンファンの怒りを買う」と報道。「ポケットペアは任天堂からの訴訟を心配する必要はない」という弁護士の意見を紹介しています。

Palworld: 'Pokemon With Guns' Game Sparks Controversy - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-01-22/what-is-palworld-pokemon-like-game-with-guns-goes-viral-irks-nintendo-fans



なお、ポケットペアの溝部代表取締役社長は、X上で同社のアーティストに対する誹謗中傷や殺害予告に近い投稿が散見されると言及しています。