アニポケ25周年記念ベストアルバム『ポケモンTVアニメ主題歌 BEST OF BEST OF BEST 1997-2023(通常版)』(ソニー・ミュージックレーベルズ)

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いよいよ2023年が終わりを迎えようとしているが、今年のエンタメ業界を振り返ってみると、いわば“世代交代”の年だったように思えてならない。さまざまなコンテンツにおいて、長年続いてきた体制が大きな変化を迎え、「卒業」や「終了」といった言葉が飛び交っていたからだ。

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たとえば人気テレビアニメ『ポケットモンスター』(テレビ東京系)シリーズといえば、サトシが不動の主人公としてお馴染みだった。しかし昨年、「ポケモンワールドチャンピオン シップス」で優勝し、初の世界王者に輝くと、今年3月には“アニポケ卒業”という形で長い旅路にピリオドが打たれることに。最終回には、懐かしの仲間やポケモンたちが続々と登場したほか、シリーズ屈指の名曲「タイプ:ワイルド」が流れ、26年間の集大成にふさわしいラストを飾った。

今もなおアニメ『ポケットモンスター』は放送されているが、主人公はサトシからリコとロイの2人にバトンタッチ。ちなみにピカチュウは継続して出演しているものの、“サトシの相棒”とはまったく別の個体“キャプテンピカチュウ”へと変わっている。

また、同じく3月には、『いないいないばあっ!』(NHK Eテレ)の“うーたん”も番組を卒業した。うーたんは音楽の国で生まれた妖精であり、「うーたん げんき げんき!」の掛け声でもお馴染み。2003年から約20年にわたって番組に出演してきた人気キャラクターだ。

卒業後には、ステージショーの「ワンワンわんだーらんど」にのみ出演する形になる予定。うーたんの後任は、頭のカラフルなぽんぽんが特徴的な“ぽぅぽ”というキャラクターが務めており、はやくも子どもたちを夢中にさせている。

いつかは訪れる世代交代だったとはいえ、いずれも20年以上にわたって愛され続けたキャラクターだっただけに、SNS上では「ロス」を訴えるファンが続出。先日、イー・ガーディアンが発表した「SNS流行語大賞2023」にも「サトシ引退」と「うーたん卒業」がノミネートされていたあたり、話題性の大きさがうかがえるだろう。

さらに2023年には、ほかにも至るところでファンをざわつかせる世代交代が起こっていた。

まずアニメ界隈では、2014年から始まった『妖怪ウォッチ』(テレビ東京系)シリーズが最終回を迎えた。事実上の最終作となった『妖怪ウォッチ♪』は、第1作の主人公・天野景太(ケータ)がふたたび初代妖怪ウォッチと妖怪ウォッチ零式を使用。OP主題歌には「ゲラゲラポーのうた」の新バージョン「ゲラゲラポーの唄」が起用されるなど、原点回帰を感じさせる内容だった。

懐かしさも相まって好評を博していたが、同番組も2023年3月末をもって終了へ。同時に9年3カ月続いた『妖怪ウォッチ』シリーズが幕を下ろす形となった。

なお、原作を手掛けた「レベルファイブ」の代表取締役・日野晃博氏は2月24日、自身のX(旧Twitter)上で「テレビの妖怪ウォッチはいったんお休みしますが、妖怪ウォッチの流れをくむ、次なるすげえのを考えているので、妖怪好きな人はちょっと待ってて!」と続編を示唆している。

さらに国民的アニメ『サザエさん』(フジテレビ系)では、声優陣の交代劇が相次いだ。今年2月には、放送開始当初からフグ田タラオ役を演じてきた貴家堂子さんの訃報があり、2代目として『とっとこハム太郎』のこうしくん役などで知られる愛河里花子が抜てきされた。

また10月には、花沢花子役を半世紀以上にわたって演じた山本圭子の降板が決定。11月12日に放送された回から、『ケロロ軍曹』のケロロや『あたしンち』の母役などを代表作に持つ渡辺久美子にバトンが渡されたが、その違和感のなさに多くの視聴者が驚いている。

そしてゲーム界隈でも、ある意味世代交代と言えるニュースが話題となっていた。それは、3月28日に実施されたニンテンドー3DSシリーズおよびWii U版「ニンテンドーeショップ」のサービス終了だ。

同サービスは任天堂のハードを対象にしたオンラインストアで、主にダウンロード版や配信コンテンツが展開されている。なかでもニンテンドー3DSシリーズとWii U版は、過去の人気作を購入して遊べるバーチャルコンソールが人気を博していた。

しかし両ハードでのサービスが終了したことで、新たな購入は不可能に。現行のNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)版では代わりの有料オンラインサービスが展開されているが、カバーされていないタイトルも多いため、往年のゲーマーからは「これが世代交代ってことか……」などと残念がる声が続出しているようだ。

他方で、YouTubeをメインに活躍するバーチャル存在こと“VTuber”の界隈でも、大きな注目を集める出来事があった。VTuberブームの黎明期から活躍していた「バーチャルYouTuber四天王」の一角、ミライアカリが3月いっぱいで引退したのだ。その理由は、運営との価値観のズレによるものだという。

ちなみにミライアカリが引退してから数カ月後の11月21日、“元・四天王”を謳うアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノという新人VTuberが彗星のごとく出現。設定はもちろんのこと、デビュー日がミライアカリの誕生日と一致している点からファンをザワつかせているが、はたして……。

アニメからゲーム、VTuberまで、まさしく激動の1年だった2023年。時代の移り変わりに想いを馳せつつ、これから始まる“新時代”に期待していこう。

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