ホーム&ビューティ家電ブランドのキャノピー(Canopy)が、初の香りのコラボレーションでシャワーのルーティンをレベルアップさせようとしている。

創業3年となるキャノピーは、8月に発売されたフィルター付きシャワーヘッドに続き、フレグランスブランドのバイ・ロージー・ジェーン(By Rosie Jane)と3種類の香りのコラボレーションを行い、プレミアム製品としての同社の地位をさらに向上させている。これはキャノピーのローンチ以来初めてのパートナーシップであり、バイ・ロージー・ジェーンにとっても初のコラボレーション商品となる。

香りのフィルター付きシャワーヘッドでブランド拡大を狙う



バイ・ロージー・ジェーンにとっては、ファインフレグランス以外へのブランド拡大を意味する重要なコラボレーションだ。バイ・ロージー・ジェーンは2012年に初めてローンチし、2021年にボディケアをデビュー、セフォラ(Sephora)、サーティーンルーン(Thirteen Lune)、ノードストローム(Nordstrom)、アンソロポロジー(Anthropologie)で販売されている。キャノピーとのコラボレーションは、キャノピーのeコマースサイトでのみの扱いとなり、単品で150ドル(約2万2410円)で販売されるシャワーヘッドには、15滴のフレグランスが必要なフェルトのディフューザーが付属している。バイ・ロージー・ジェーンのコラボ商品は、90日ごとに40ドル(約5980円)という割引価格でフィルターと香りを定期購入できる。

キャノピーのチームはバイ・ロージー・ジェーンにコンタクトを取り、コラボレーションの機会を探った。バイ・ロージー・ジェーンの創業者でCEOのロージー・ジェーン・ジョンストン氏によると、 両社の間に金銭的なやり取りはなく、収益分配は予定されていない。キャノピーはすでに四半期ごとに加湿器の香りのコラボレーションをローンチしており、フィルター付きシャワーヘッドもその計画である。

ブランドパートナーシップによる新規顧客で成長を牽引



この3年間でシャワーの習慣は、ビューティキャビネットや#Shelfiesに匹敵するほどソーシャルで取り上げられる機会が着実に増えている。ハッシュタグ#EverythingShowerは、精巧で洗練されたシャワー用品やルーチンを詳しく紹介する人々の動画にリンクされており、TikTokでは4億2800万ビューを超えている。

キャノピーがフィルター付きシャワーヘッドをリリースしたとき、ちょうど他社も独自のバージョンでこの分野に参入していた。ハイ(Hai)、スプリッグ(Sprig)、リファ(ReFa)、ジョリースキンコー(Jolie Skin Co.)は2022年後半から自社製品の発売を開始している。キャノピーによると、フィルター付きシャワーヘッドの顧客の70%以上がブランドの新規顧客だという。キャノピーの共同創業者でCEOのジャスティン・セイデンフェルド氏は、加湿器製品ではすでに強固なコラボレーション戦略をとっており、それが売上成長を後押ししていると語った。パートナーには、パーソナルケアブランドのキュリー(Curie)、インフルエンサーでポッドキャスターのスキニーコンフィデンシャル(The Skinny Confidential)のローリン・ボスティック氏、ヘアケアブランドのプローズ(Prose)などがいる。

「私たちの成長は、ブランドとのパートナーシップを通じてキャノピーを新たなオーディエンスに知ってもらうことに牽引されている。またそれは、新しいカテゴリーやオーディエンスとのブランドエクイティを確立するための効果的な手段でもある」とセイデンフェルド氏は語った。

急成長中のカジュアルフレグランスブランド



カジュアルフレグランスブランドであるバイ・ロージー・ジェーンは、ジョンストン氏いわく、「ウェイク・ザ・ファ*ク・アップ(Wake the F*ck Up)」や「カーム・ザ・ファ*ク・ダウン(Calm the F*ck Down)」といった不遜な名称の香り付きボディケア製品で知られている。バイ・ロージー・ジェーンは11月7日に香りのボディケア「チル・ザ・ファ*ク・アウト(Chill the F*ck Out)」を発売する予定だ。キャノピーのために作られた3種類の香りは、シンプルに「ウェイク(Wake)」「カーム(Clam)」「チル(Chill)」となっている。ジョンストン氏によると、ボディケアはブランドの売上の20%を占めており、同ブランドには25歳から55歳までの幅広い顧客層がいるという。

「(ボディケアへの参入は)戦略的なものにしたかったし、異なるフレグランスのセットと、これまでとはまったく違う体験を提供したかった」とジョンストン氏は言う。「フレグランスは気分を高めてくれると考えられているため、多くの人にとってフレグランスは興味の中心となっている」。

バイ・ロージー・ジェーンは、「インク(Inc.)」誌が米国の非上場企業の中でもっとも急成長している5000社をリストアップした「2023年インク5000」で2297位にランクインしている。同社は2023年までの3年間で240%の収益成長を遂げた。

製品のアピールに最適なメディアはペイドソーシャル



キャノピーは、第2四半期から第3四半期にかけて、同社のフィルター付きシャワーヘッドが非直販チャネルで200%の売上成長を記録したことを明らかにした。キャノピーの小売パートナーには、Sephora.com、ベイビーリスト(Babylist)、ザ・コンテイナー・ストア(The Container Store)、Amazonなどがある。全体として、2023年の売上は前年比50%増を見込んでおり、アクティブサブスクライバー数はすでに前年比60%増となっている。

キャノピーは加湿器のためにペイドおよびアンペイドメディアをすでに持っており、シャワーヘッドにもそれを利用している。キャノピーのCMOであるエリック・ネハー氏は、ペイドソーシャルはシャワーヘッドの利点を説明するのに最適なメディアであるため、特に強力だという。よく知られているナラティブのひとつは、フィルター付きシャワーヘッドに「トレーディングアップ」することで、ユーザーはシャワーの習慣をレベルアップし、シャワータイムに自分をいたわることになるというものだ。

Metaの広告と数十人の無報酬のインフルエンサーによるペイドおよびアンペイドソーシャルポストが、主にインスタグラム経由での香りのコラボレーションのマーケティングにおける焦点となるだろう。キャノピーはまた、有名皮膚科医のデンディ・エングルマン医師とヘアカラーリストのジェナ・ペリー氏をペイドソーシャルコンテンツに起用し、eメール、SMSテキストメッセージ、自社のソーシャルチャネルを通じてこのパートナーシップを予告している。

「私たちの消費者は、さまざまなパートナーブランドのカテゴリーにまたがる香りに関心を寄せている。とても単純に聞こえるが、私たちにとって(大きな)学びとなっているのは、最高の香りとは消費者を興奮させる香りであるということだ」とネハー氏は語っている。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: Why Canopy is betting on scented shower experiences to drive growth]

EMMA SANDLER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)