NHK紅白歌合戦の会場になるNHKホール。2023年は韓国勢の台頭が目立った

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2023年11月13日に発表されたNHK紅白歌合戦の出場歌手からSMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)所属歌手が姿を消す一方で、台頭が目立ったのがK-POP勢だ。

NHKが例年、紅白出場者の選考基準として挙げているのが「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」の3つ。これに加えて、韓国メディアからは日韓関係の改善が後押しをしたとの見方も出ている。

「K-POPスターが抜けるのがむしろおかしい、という雰囲気が醸成」

出場するK-POP関連グループは6組で、そのうち初出場が3組。男性8人組グループ「Stray Kids」と13人組グループ「SEVENTEEN」、女性グループ「TWICE」の日本出身メンバー3人が組んだユニット「MISAMO」だ。

女性グループ「LE SSERAFIM」は、22年に続いて2回目の出場を決めた。

K-POPの仕組みを使って日本国内で発足した「汎K-POP」と呼ばれるグループも出場する。女性グループ「NiziU」が4回目、男性グループ「JO1」が2回目だ。

東亜日報によると6組の出場は「史上最多」。K-POP勢が多数出場する理由について「日本国内でのK-POPの高い人気を示すという解釈がある」と指摘している。記事では、22年まではSNS上で「なぜ韓国歌手が出るのか」といった反発の声もあったが、「最近の日韓関係改善、韓流ブームなどでK-POPスターが抜けるのがむしろおかしい、という雰囲気が醸成された」と分析している。

さらに、視聴率低下を背景に

「韓流ファンを引き付けなければ視聴率がさらに下がるという現実的な判断も作用した」とみている。

日本人の対韓感情の改善は、世論調査でも表れている。日本の言論NPOと韓国の東アジア研究院(EAI)が23年8月から9月にかけて行った「日韓共同世論調査」によると、韓国に対して「良くない」印象を持つ日本人の割合は22年の40.3%から32.8%に減少する一方、「良い」印象を持つ人は30.4%から37.4%に増加。11回目の調査で初めて「良い」が「良くない」を上回った。

日本人が韓国に「良い印象」を持つ理由を複数回答で聞いたところ、突出していたのが「Kポップやドラマなどの韓国のポップカルチャーに関心があるから」(47.1%)、「韓国の食文化や買い物が魅力的だから」(34.2%)の2つだった。

「3つの選考基準」繰り返したNHK

これまでも、日韓関係が紅白の人選に影響するとの指摘はたびたび出てきた。11年はKARA、少女時代、東方神起が出場したが、12年は3組とも出場せず「韓流枠」がゼロになった。この年は、李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)が8月10日に島根県の竹島(韓国名・独島)上陸を強行した上、8月14日には教育関連行事のあいさつの中で、天皇陛下による謝罪を要求し、日韓関係が冷え込んだ。

18年には、人気男性グループ「防弾少年団」(BTS)について「出場内定」したという報道もあったが、結局落選。原爆がデザインされたTシャツをメンバーが着ている写真が同年10月から拡散され、批判が相次いだことが影響したとの見方も出た。

12年も18年も、NHKは「3つの選考基準」を繰り返し、日韓関係の影響について言及を避けていた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)