『まぶたが赤い』原因・考えられる病気はご存知ですか?医師が徹底解説!

写真拡大

まぶたが赤いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

「まぶたが赤い」症状で考えられる病気と対処法

「まぶたが赤い」という症状が出た時には、まぶたに炎症やアレルギー反応などが起こっていると考えられます。
まぶたが赤いだけのこともありますが、痛みやかゆみなどの他の症状を伴う場合もあります。今回は、まぶたが赤い時の原因や対処法、何科を受診するべきか、について解説していきます。

まぶたが赤い症状で考えられる原因と対処法

まぶたが赤いという症状を呈する場合には、眼瞼炎が起こっていると考えられます。
まぶたが刺激され、赤く腫れ、かゆみや痛みなどの症状がでることもあります。
眼瞼炎では、感染性のものと非感染性のものがあります。
非感染性のものでは、アレルギー反応、また全身性疾患が原因となっています。
例えば、ものもらい(麦粒腫:ばくりゅうしゅ)、霰粒腫(さんりゅうしゅ)、接触性皮膚炎(かぶれ)、花粉や点眼薬などへのアレルギー反応、結膜炎、また多発性筋炎・皮膚筋炎といった全身性疾患などがあります。
まぶたの赤みにかゆみや痛みが伴っているかどうかによって、診断をしていきます。
まぶたの赤みに対する対処法は、その原因によって様々ですが、基礎疾患の治療や抗菌薬の軟膏または点眼薬、抗ウイルス薬、ステロイドの軟膏、人工涙液、またはその組み合わせを投与します。

まぶたが赤くかゆい症状で考えられる原因と対処法

まぶたが赤く、かゆい症状がある場合には、接触性皮膚炎(かぶれ)や、アトピー性皮膚炎といった病気が考えられます。
接触性皮膚炎では、化粧品や植物、消毒薬の他、点眼薬が原因となりアレルギー反応が起こります。
赤みに加えて、かゆみやヒリヒリ感を伴うことが多いです。
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。
皮膚が赤くなったり、小さな点々としたぶつぶつができたり、また皮膚がカサカサむけたり、逆に皮膚が厚くなるといった症状が現れます。
アトピー性皮膚炎の場合、冬場の肌の乾燥によって皮膚の症状が強く現れます。
小児の場合はまぶたの皮膚炎が強く現れ、角膜や結膜の炎症は軽いです。
一方、成人の場合には、角結膜炎を合併し、アトピー性白内障などの他の病変を併発することもあります。
これらのまぶたが赤くなりかゆみもある、という場合には、皮膚科での診察や治療を受ける必要があります。
さらに、眼の周りに赤い斑点があり、かゆみや痛みの症状がでる場合には、水ぼうそうや帯状疱疹の可能性もあります。
早めに皮膚科や眼科の受診をお勧めします。

まぶたが痛くないが赤い症状で考えられる原因と対処法

まぶたが痛くないが赤い症状で考えられる原因の一つに、多発性筋炎・皮膚筋炎という、膠原病が挙げられます。
筋肉の炎症により、力が入りにくくなったり、疲れやすくなったり、また痛んだりする病気です。
筋肉の症状の他に、さまざまな皮膚症状を呈するものを皮膚筋炎と呼びます。
その中に、上まぶたの腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)があります。
このまぶたの赤みには、かゆみを伴うことも多いです。
まぶたが痛くはないが赤みを伴うという症状に、倦怠感や疲労感、食欲不振などが伴う場合には、内科を受診することをおすすめします。

まぶたが赤く腫れている症状で考えられる原因と対処法

まぶたが赤く腫れている症状で考えられる原因には、霰粒腫(さんりゅうしゅ)や麦粒腫が考えられます。
霰粒腫は、まぶたの奥にある脂腺(しせん)が吹き出物やできもののように腫れ、脂腺の開口部、つまり出口が塞がるために起こります。
通常は痛みのないできもののことが多いです。
一方、麦粒腫(ものもらい)はまつ毛の毛包の感染症で、ブドウ球菌という細菌感染によって起こり、まぶたの縁が赤くなる・痛みがでるといった症状が、時にまぶたの下や全体に起こります。
麦粒腫は、マイボーム腺に感染する内麦粒腫、まつ毛の毛根などに感染する外麦粒腫があります。
症状を和らげるためには、温湿布を当てることが有効である場合もありますが、感染症である麦粒腫では温湿布を当てても改善しないことがあります。
医療機関での排膿が必要となるため、皮膚科あるいは眼科を受診しましょう。
また、まぶたにニキビができることも、まぶたが赤くなり、痛みを伴う原因となります。
市販薬でケアすることも可能ですが、早く治すためには皮膚科の受診をおすすめします。

まぶたがかゆくないが赤い症状で考えられる原因と対処法

まぶたがかゆくないが赤いという症状の場合には、皮膚の乾燥によるものや、先ほど解説した麦粒腫などが考えられます。
皮膚の乾燥では、痛みを伴うことはありません。
眼の周りの皮膚は、皮膚が薄いので、乾燥しやすいです。
保湿成分を含む化粧水などでのスキンケアを心がけましょう

まぶたの内側が赤い症状で考えられる原因と対処法

まぶたの内側は、結膜と呼ばれる部位です。
この結膜が赤いという症状は、結膜炎が原因となっていることがあります。
結膜炎には、アレルギー性のものや感染性のものがあります。
感染性結膜炎の症状がおさまってきた頃に、角膜(黒目)の表面に、細かい点状の斑点がでてくることがあります。
この際に治療をやめると、角膜が濁り、視力が下がってしまうことがあるので、眼科医の受診のもと、最後まで治療を続けることが大切です。

すぐに病院へ行くべき「まぶたが赤い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

まぶたが赤く、強い痛みがある場合は、眼科へ

まぶたの赤みに加え、痛みや眼球の突出、眼の充血、眼球運動の制限やまぶたの腫れ、発熱といった症状がある場合には、眼窩蜂窩織炎(ほうかしきえん)の可能性があります。
眼窩は眼球が入っている頭蓋骨のくぼみのことです。
多くの場合は、鼻の周りの副鼻腔という空洞から感染が眼窩に広がることが原因です。
眼窩蜂窩織炎は、十分に治療を行わないと重症化し、失明につながることもあります。
早急に眼科を受診しましょう。治療は、一般的には入院し抗菌薬を投与することが必要となります。

受診・予防の目安となる「まぶたが赤い」ときのセルフチェック法

・まぶたが赤い以外に痛い症状がある場合

・まぶたが赤い以外にかゆい症状がある場合

・まぶたが赤い以外に全身にも症状がある場合

「まぶたが赤い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「まぶたが赤い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

眼瞼炎

眼瞼炎は、まぶたの縁の炎症のことです。
まぶたが刺激され、赤くなり腫脹し、灼熱感やかゆみが生じることがあります。
眼科では、目頭を内眼角、目尻を外眼角といいますが、眼瞼炎ではこの眼角に起こるものです。
眼瞼炎を引き起こす病気には、まぶたやまぶたの縁への細菌感染症やウイルス感染症、花粉や点眼薬に対するアレルギー反応、アトピー性皮膚炎があります。
細菌感染やウイルス感染の場合には、抗菌薬や抗ウイルス薬を使用すると改善することがあります。
また、アレルギー性の場合には接触性過敏症の原因と考えられる化粧品や点眼薬を中止します。
症状がなかなか治らない場合には、皮膚科や眼科を受診しましょう。

眼窩蜂窩織炎

眼窩蜂窩織炎は、眼窩内と眼の周囲と後方組織の感染症です。
鼻の周りの副鼻腔などから眼窩という眼球が入っているくぼみに感染が広がることがあります。
症状はまぶたの痛みや腫れ、眼の充血、発熱、眼球の突出、視覚障害、眼球運動障害などがあります。
適切な治療を行わないと失明する危険性がありますので、早急に眼科を受診しましょう。
治療は、入院し抗菌薬を静脈から投与することになるのが一般的です。

霰粒腫

霰粒腫は、まぶたの奥にある脂腺が吹き出物のように腫れ、腺の開口部がふさがるために起こる、感染を伴わない炎症です。
初期症状としてはまぶたの腫れ、軽い痛み、刺激感などが現れます。
これらの症状は数日で消え、まぶたに丸くて痛みのない腫れが残ります。
だんだん大きくなり、ときに眼球を圧迫し、目がかすむこともあります。
ほとんどの場合、霰粒腫は特に治療しなくても2~8週間で消失します。
1日に数回(例:1日2~3回、5~10分ずつ)温湿布を当てると早く消失することがありますが、なかなか良くならない場合には眼科を受診しましょう。

「まぶたが赤い」ときの正しい対処法は?

まぶたが赤いときの原因はさまざまですので、早く治したい場合には眼科を受診しましょう。
アレルギーによる症状には冷やすこと、霰粒腫など脂の腺の詰まりが原因の場合は温めると症状が緩和されるといわれていますが、対応が逆となりますので、原因をまずは突き止めることが大切です。
アトピー性皮膚炎などで、乾燥が原因となりまぶたの赤みやかゆみがひどくなっている場合には、市販の保湿薬を塗ることも良いと考えられます。
一方で、眼窩蜂窩織炎のように、眼球にまで強い痛みが生じていたり、眼の見え方にも問題があったり、発熱を伴っていたりという場合には早急に眼科を受診しましょう。
まぶたが赤いという症状に加えて、全身の疲労感や脱力などの症状がある場合には、多発性筋炎・皮膚筋炎などの内科的な全身性疾患の可能性もあります。
この場合も早めに内科または眼科、皮膚科を受診するとよいでしょう。

「まぶたが赤い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「まぶたが赤い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

まぶたが赤いときは何科に行けばいいですか?

木村 香菜(医師)

まぶたが赤い場合には、まず眼科を受診するようにしましょう。
まぶたの皮膚のみならず、眼の病気がないかどうかもチェックできるからです。
一方、まぶたのかゆみや腫れが強い場合には、眼科の医師から皮膚科の受診をすすめられることもあります。

瞼の上がいつもより赤く腫れているときの対処法を教えてください。

木村 香菜(医師)

まぶたの上がいつもより赤く腫れている場合には、接触性皮膚炎やアレルギー反応、眼瞼炎などの原因が考えられます。
こうした原因の場合には、冷やすことやかぶれなどの原因となっているものをやめることをまず試してみましょう。
なかなか良くならない場合は、眼科受診をおすすめします。

ストレスが原因でまぶたが赤くなることはありますか?

木村 香菜(医師)

ストレスが原因で、充血やまぶたの腫れが起こることがあります。
過剰なストレスが自律神経の乱れを引き起こし、免疫力の低下によって感染しやすい状態になると、眼瞼炎などになりまぶたが赤くなる可能性もあります。
休養をとり、ストレスをためないようにすることが大切です。

まぶたが赤いのですがアレルギーなのでしょうか?

木村 香菜(医師)

まぶたが赤くなる原因としては、何らかの物質に対するアレルギー反応の可能性もあります。
新しく使い始めた化粧品がある、などの原因に心当たりがあるのであれば、一度使用を中止してみましょう。
しかし、まぶたが赤いことに加えて、強い痛みを伴う場合などは細菌やウイルスへの感染も疑われるので、早めに受診をすると良いでしょう。

まとめ まぶたが赤いときは痛みやかゆみに注意

まぶたが赤い時にはさまざまな原因が考えられます。
まぶたの赤みの症状は自然に改善する場合もあります。
しかしながら、強い痛みや視力障害が出ている際には早めに眼科受診するようにしましょう。
また、疲労感などの全身症状もある場合には内科疾患の場合もあり、こちらも内科受診をすることをおすすめします。

「まぶたが赤い」症状で考えられる病気

「まぶたが赤い」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

眼科の病気

眼瞼炎

眼窩蜂窩織炎

霰粒腫麦粒腫結膜炎

皮膚科の病気

アトピー性皮膚炎

接触性皮膚炎

自己免疫疾患の病気

多発性筋炎

皮膚筋炎

まぶたが赤い症状は様子見で良くなるケースもありますが、目立つ上にQOLに大きく関わるトラブルです。早めの医療機関受診をお勧めします。

「まぶたが赤い」に似ている症状・関連する症状

「まぶたが赤い」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

目の周りが赤い目がかゆい目の腫れ

まぶたが腫れる

涙袋が腫れる

目のふちがかゆい

ものもらいができた

目が赤いまぶたが重い涙袋が腫れる寝起き 目が腫れる 片目目のふちが痒い

「まぶたが赤い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「眼瞼炎」「眼窩蜂窩織炎」「霰粒腫」「麦粒腫」「結膜炎」「アトピー性皮膚炎」「接触性皮膚炎」などの疾患の可能性が考えられます。赤いだけでなく痛みや腫れを伴っている場合や全身の症状を伴う場合には、早めの医療機関への受診を検討しましょう。

【参考文献】
・霰粒腫(日本眼科学会)
・麦粒腫(日本眼科学会)
・接触皮膚炎ガイドライン2020(日本皮膚科学会ガイドライン)