お金が貯まりにくい人に共通した消費行動はどんなものか。家計再生コンサルタントの横山光昭さんは「貯められない人は、『○○祭り』『プライムセール』『○○マラソン』『お客様感謝デー』といった言葉につられやすい傾向があります」という――。

※本稿は、横山光昭『お金を貯められる人のすごい習慣』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。

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※写真はイメージです - 写真=iStock.com/NoDerog

■「安い」や無料につられやすい

お金を貯められない人の共通点をご紹介したいと思います。PayPayや楽天、Amazon、やYahoo!などでは、「○○祭り」「プライムセール」「○○マラソン」等、定期的にセールが開催されていますね。特にここのところの物価高で、ネットでのセールが安い! と評判を聞き、ネット通販をはじめる人も多いです。ですが、ここにも意外な落とし穴があるので、注意しましょう。

ついつい、「セール=安い」と考えがちです。ですが、注意して見てみると、セール前日の定価とセール当日の定価が異なる場合があります。セール前日まで定価1000円で販売されていたものが、セール当日には定価1200円になり、それが「セール」で1000円になっているという場合もあるのです。「セールで安い買い物をした」と思ったら、実はいつもと変わらない値段だったということも。一見お得なようで、全然お得ではない買い物です。

もちろん、確実に使うものならばそれでもいいでしょう。でも、「セールで安いから買っておこう」と、別になくてもいいものを買ったとしたら、それはムダ遣いになるかもしれません。

円や株の相場と一緒で、安くなったかどうか? はそもそもの値段がわからなければ判断できません。いつも買っている値段と比較して安く買えたらお得だし、高く買ったら損。その仕組みはとてもシンプルです。見た目に振り回されて、「安い!」と飛びつくと支出につながるだけです。すべてのセールが通常より安いわけでは必ずしもありません。冷静に価格を比較することを忘れずに。

■お客様感謝デー――金額にするといくらお得?

スーパーで「お客様感謝デー」「全品5%オフ!」「10%割引デー」と書いてあると、なんだかとても得した気分になりますね。実際、5%オフの日は売り上げがすごく上がるという話も聞いたことがあります。

Wさんも全品10%割引の日を活用しているうちのひとりです。レシートを見てみると、たしかにすべての商品が10%割引にはなっています。ですが、合計金額は決して安くありません。話を聞いてみると「10%割引になるから」といって、普段は買わないワンランク上の日用品を購入していたのでした。ティッシュペーパーも肌ざわりのいい高級仕様のものにグレードアップ。柔軟剤や食器用洗剤も「せっかくだから」と海外のブランドものを選んでいたのです。普段は200円のティッシュペーパーを使っているのに、「安いから」と300円の商品を買ったらどうなるでしょう? 通常より70円も支出が増えることになります。

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また、本当なら1個だけ買うところを、同じく「安いから」という理由で3個買う場合もあるでしょう。200円×1個=200円で済むところを、540円の支出になります。340円支出が増えた計算です。

このように、「割引セール」を見るとついうれしくなって、いつもよりいいものやさほど欲しいわけではないものも買いがちです。「値段」「安い」にばかり目がいき、「本当に必要か?」という価値を忘れてしまうのです。

また、先にも少しお話ししましたが、定価の10%引きよりも特売のほうが安い場合も往々にしてあります。定価200円の10%引き=180円より、特売で178円のほうがお得ですよね。「全品〇%割引」「〇%還元」などのキャッチコピーに惑わされないためには、先ほども少しお話ししましたが、「単価」をチェックすることが大事です。

同じように、ネットのショッピングモールなどで行われているのが「○○マラソン」などのように、いわゆるスタンプラリーのようなイベントです。「3店舗でお買い物をするとポイント5倍」「5店舗でお買い物をするとポイント10倍」などの条件があります。「もう1軒回ったらポイントがアップする!」とついつい回ってしまうこともあるでしょう。ですが、ネットショッピングの怖いところは、お金を使っている感覚があまりない点です。

目の前で貯金の残高が減っていくわけではないので、買ったという意識が薄くなりがちです。後日になって「こんなに買い物していたのか!」とその総額に驚くのです。「安く買い物ができた!」と喜ぶより前に、支払い総額がいくらになるか? を気にしてほしいのです。

コストコ、業務スーパーはエンタメ

コストコや業務スーパーなどで売っている大容量やファミリーパックは、いっぱい入っているから絶対お得と信じ切っている人は、知らず知らずのうちにお金を使っている気がします。先の話にも似ていますが、大容量を買って食べきれずに結局捨てるはめになった、という場合もあるでしょう。

また、単価を見るとそれほど安くはないという場合もけっこうあります。肉も1kg、2kg単位だと迫力がありますね。ですが、グラム当たりに換算すると「激安!」というほどではない場合がほとんどです。「ブランド肉にしては安い」「値段の割に味がいい」というように、安さを追求する店というよりは「ものがいいから」「おいしいから」という理由のほうが大きいような気がします。

コストコの楽しみのひとつは、値段の追求というよりは、いろいろなものが売っていて楽しいという側面が大きいように思います。そういう意味で、私は「コストコはエンタメ」だと思っています。ですが、なんとなく「コストコ=安い」というマジックにかかってしまいやすいのも事実です。

コストコに比べると割安な感じが強いのが業務スーパーですが、ここにも注意が必要です。Mさんは食べ盛りの子どもが多いので、食費を浮かせるために業務スーパーに買いに行きました。ところが、子どもの口には合わなかったのか一切食べず、結局いつものスーパーで食材を買い直すことになったといいます。いくら安く買ったところで、食べずに残ってしまっては意味がありませんよね。

■安売り店の商品――すべて安いわけではない

横山光昭『お金を貯められる人のすごい習慣』(ぱる出版)

そのほか、ドン・キホーテやOKストアなど、安売り店はたくさんあると思います。どこよりも安く売っているものもたくさんあるでしょう。けれど、すべての品が安いというわけでは必ずしもありません。なかにはそれほど安くないものも混ざっています。つい、「ディスカウントストアに売っている商品はすべて安い!」と錯覚してしまいがちですが、買いたい品を普段買っている値段と冷静に比較するシビアな目を持つことも必要です。

「ディスカウントストアは安いものしか売っていない」という思い込みが目を曇らせてしまうことは多いです。どこで買う場合にも、相場との比較を忘れないようにしましょう。

ここがポイント:「値段」より「価値」を重視する常に「相場」との比較を忘れずに

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横山 光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万6000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は90万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)や『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を代表作とし、著作は171冊、累計380万部となる。
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(家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭)