今週のテーマは「プロポーズされる前に相手の実家へ行くのはアリ?旅行を経て、彼氏の態度が変わった理由は…」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:お盆休みに旅行デート。34歳の女性が、彼氏の実家でやらかしたNG行為とは…




彼女である藍とは、真剣に結婚を考えていた。だから僕は関西旅行の際に、実家にも連れて行った。

でもその旅行で、僕は彼女と結婚することに急に不安を覚えてしまうことになる。

「裕樹くん、なにか怒ってる?」

東京へ戻ってから、藍も僕の態度の変化に気がついたようだ。でも自分の中でもまだ答えが出ていないので、僕の返事も曖昧になる。

「全然怒ってないよ」
「それならいいんだけど…」

東京で、楽しく過ごす彼女としてならば藍はいい子だと思う。仕事もちゃんとしているし、外見だっていい。性格もいい。

今年で34歳になる藍が、結婚したいことも知っている。

だからこそ、このまま僕は藍と交際していてよいのかどうか。そもそも結婚するのかどうか、非常に悩んでいる…。


A1:旅行代など、支払いが全額自分持ちなこと。


藍とは昨年の冬から付き合い始めた。マッチングアプリで出会った僕たちは、年齢のこともあったのでお互い結婚を意識していた。

そして交際からちょうど半年経ったころ。夏休みを取れるタイミングが一緒だったので、少し長めに旅行することになった。

「裕樹くん、せっかくだし海外行こうよ」
「行きたいけど、とりあえず国内にする?」
「なんで?高い?」

旅行をする前に、ひとつだけ僕は気になっていることがあった。

基本的に、デート代は全額僕が支払っている。

― さすがに旅行代は、少しくらい払ってくれるよね…?

そう思っていたけれど確証がない。だから急に海外へ行くよりも、まずは身近な国内旅行のほうがいいと思った。

「うーん。それもあるけど、今回の休みはのんびりしたいから移動時間短いほうがいいなと思って」

話し合いを重ねた結果、僕たちは4泊5日で関西へ行くことになった。




ただ関西へ行くとなると、どうせなら実家にも寄りたい。そう思ったので、僕は何気なく藍に尋ねてみた。

「旅行楽しみだね。京都で2泊して、そのあと大阪で2泊して…」
「あのさ…まだ深い意味はないんだけど、よければ僕の実家も行く?」

藍との結婚を考えていないわけではないので、せっかくのタイミングだし先に両親に会わせておくのもいいかなと思った。

でも藍がとても驚いていたので、僕も慌てて首を横に振る。

「…え?」
「いや、無理はしなくていいからね!ただ関西へ行くのに、実家に顔出さないのは親に何か言われそうで…」
「そっか、そうだよね。どうしよう。裕樹くん、私は何を着ていけばいい?」
「藍は何を着ても似合うし、そんなの適当で大丈夫だよ(笑)」

― 特別な旅行になるかも。

そう思っていた。でも、出端をくじかれることになる。

まず品川駅で待ち合わせをしていた僕たち。夏休みシーズンだし混むと思ったので、僕が事前に藍の分まで予約をしていた。

「予約していた新幹線の切符なんだけど…」

もちろんそんな手続きは僕がする。けれどもそこが問題ではなく、藍の考え方に驚いた。

「ありがとう!裕樹くんのアプリで取ってるから、裕樹くんが発券しないとだよね?」
「うん、そうだね。ちょっとここで待ってて。発券してくるから」




藍から「後で払うね」の一言もなければ「いくらだった?」と聞かれることもない。

― これって、どこまで僕が払うんだろう?

そんなことを考えながら新幹線に乗る。でも藍といると楽しいし、新幹線の中も会話は盛り上がる。

「京都、久しぶりだな〜」
「裕樹くん、大学まで神戸だっけ?」
「そうそう学校は西宮にあって。学生時代もたまに京都まで遊びに来ていて」

京都に着き、ホテルのチェックインを済ませたりしているうちに1日目は過ぎていく。

「今夜のディナー、ここ予約しておいたよ」
「ありがとう!裕樹くんって本当に頼りがいがあるよね」
「一応、関西出身だからね」
「裕樹くんに全部任せていれば、安心!」

いろいろと手配するのは苦ではないし、むしろ藍が「これをしたい」とか意見がなかったので、勝手に決めてしまった部分が多く、藍自身が楽しめているかどうかが心配だった。

でもディナーを終えた後、藍はとびっきりの笑顔を向けてくれた。

「本当にありがとう。裕樹くんって最高の彼氏だよね」
「そう言ってもらえて、よかった」

― せっかくだから、切り替えて旅行を楽しもう。

そう思い、京都で楽しく2日間を過ごした。

そして迎えた3日目。僕たちは一度大阪へ移動し、ホテルに荷物を預けた後、僕の実家へ行くことになった。


A2:手土産もないし、常識がないと思った。


念のため、実家へ行く前にもう一度藍に確認を取ってみる。まだプロポーズもしていないし、重いかなとも思ったからだ。

「藍、本当に大丈夫?無理しなくていいからね」
「ううん。裕樹くんのご両親に会いたいから」

こうして、僕たちは阪急電車に乗って実家を目指した。しかし実家のある最寄り駅で降りようとすると、藍が急に声をあげた。

「え…?裕樹くんのご実家って、芦屋なの?」
「うん」

駅前でタクシーを拾って実家を目指す。しかし実家の目の前でタクシーが止まった時に、藍が放った一言に僕は心底驚いてしまった。

「ちょっと。裕樹くんってめちゃくちゃ良いところのお坊っちゃまじゃない!早く言ってよ!手土産も何も持ってこなかったよ…」

― え?マジで?




僕が藍を呼んだので強制ではないが、交際相手の実家へ行く際には…いや、誰かの実家に行くときは、手土産を持っていくのは当たり前ではないだろうか。

― 僕の常識が、世の中の常識じゃないのかな…。

そんな思いを抱えたまま実家のドアを開けると、玄関先で藍は母に挨拶をしている。

「初めまして、井上藍と申します」
「初めまして、藍さん。わざわざご足労いただきありがとうございます」

― きっと、母親もなんか思ってるだろうな…。

そんなことをつい考えてしまう。

両親はマナーとかに厳しかったので、言葉に出さずとも何か思っているに違いない。

それに人の家に上がる時に、素足で上がるのもきっと気になっているだろう。

「藍さんは、ご出身は?」
「私は千葉です」
「そうなのね。お仕事は歯科衛生士さん?でしたっけ。裕樹から伺っております」
「はい」

とはいえ父も母も藍と会えて、また藍もよい雰囲気で話を進めてくれたので穏やかに時間は過ぎていく。

結局2時間ほど滞在し、僕たちは大阪へ戻ることになった。帰りの電車の中でも、藍はずっと両親のことを褒めてくれるし、悪い子ではない。

「あ〜緊張した」
「ごめんね、付き合わせちゃって」
「ううん。裕樹くんのご両親すごく素敵な人たちだね!上品で優しくて」
「そう言ってもらえると嬉しい」

でも、なんだかモヤモヤが残る。




そして最後まで藍は食事代もホテル代も、新幹線代も出すことはなく旅が終わった。

交際するだけならいい。

でもこの先結婚となると、お互いの価値観や最低限のマナーが備わっている人がいい。

旅は、普段デートをしているだけでは見えてこない価値観の相違が、顕著に現れるもの。

34歳になっても、支払いはすべて彼氏負担にする藍の感覚も少し疑ってしまう結果となった。

― こんなことくらいで別れるって僕の器が小さいのかな…。

結局どうすればよいのかわからず、僕は悩んでいる。

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