海外経験が豊富な宮市。自身が目にした豪快伝説の数々を振り返った。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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 日本と海外。当然ながら両者の間では、言語、文化、そしてサッカーのプレースタイルと、何から何まで全く異なる。そんな“異世界”に10代にして飛び込んだのが、アーセナルでプロキャリアをスタートさせ、現在は横浜F・マリノスでプレーする宮市亮だ。

 そもそも1人暮らしが初めてだった彼が、若き日を振り返り、印象的なエピソードを披露してくれた。取っ掛かりとして触れたのは、日本でも徐々にファッションの一部として受け入れられつつあるものの、まだまだ日常ではあまり見かける機会のない、タトゥーだ。

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 お前もタトゥーやれよみたいなのは特にないですけど、文化ですよね。僕はそんな全然、してようがしてまいが、もうそれぞれのパーソナリティみたいなところなので。
 
 ザンクトパウリ時代のキャプテンでクリストファー・アベボって選手がいたんですけど、彼は『ONE PIECE』のルフィーが大好きで、ルフィーのタトゥーを入れてましたね。やっぱり日本のアニメって本当にすごいなって。それで1つ話題ができるというか。だから死ぬ前に会いたいのは、オダ先生(尾田栄一郎/ONE PIECE作者)だって言うドイツ人やイギリス人がめっちゃいました。すごいですよね。誇りですよ。

 今は分かんないですけど、試合が終わってバスで戻る時もビール瓶が置いてあったりとか、結構するんですよ。僕は飲んでなかったですけど。先輩たちが豪快でしたよね。先輩と言っても、僕はJリーグを経験してないから向こうの先輩になっちゃいますけど。

 ドイツ時代とか、リハビリ中にベッドの上でビールを飲みながら治療を受けてる選手とかもいたので。でも男らしさというか、すごいキャプテンシーというか、その選手はキャプテンだったんですけど。チームが困った時には全面的に前に出てきてくれるし、ピッチで揉め事があったら一番に率先して出てきてくれる。男気みたいなのがとてもありましたね。

【PHOTO】キラリと光る笑顔が眩しい!鮮烈カムバック弾直後に敢行した宮市亮インタビュー
 監督だったら、(アーセン・)ヴェンゲルはすごいカリスマ性がありましたけど、僕の中で印象に残ったのは、ロベルト・マルティネス。今、ポルトガル代表の監督をやってますけど、ウィガン時代に一緒にやった監督で。怪我が多くてピッチに立ててない時も本当に気遣ってくれて、ポジティブな言葉を掛け続けてくれた印象がすごくある。

 ベルギー代表でずっと監督をやって、ポルトガルでもすごいキャリアを歩んでるけど、そういう監督なんだろうなって。笑顔が素敵な、良い監督ですし。
 
 あとはケヴィン。ケヴィン・マスカット。今の僕らの監督ですけど、本当に人格者というか、僕が怪我した時にも、真っ先に電話やメッセージをくれましたし、常にポジティブな言葉を掛けてくれた。あの人がいたからこそ、また戻ってこれた部分もあると思います。

 鬼軍曹の監督は…あー、アーセナル時代のU-23の監督。ニール・バンフィールドっていう監督です。彼は本当に鬼軍曹みたいで。僕も一軍にいながら、セカンドチームに帯同したりするんですけど、「お前が一軍に入れるなら、みんな行けるぜ」みたいな。めちゃくちゃ言われた覚えがありますね。でもそれだけじゃなく、良いこともありましたよ(笑)。

※第10回終了(全12回)

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)