虎狩りに成功の日本ハム、江越大賀の恩返し弾が新庄監督を喜ばせた「もう一つの理由」とは

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阪神戦の勝利に新庄監督も「今日は勝ちたかった」と満面の笑みを見せた(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 日本ハムが元タイガース勢の活躍で、虎刈りに成功した。昨年オフ、阪神からトレードで新加入した日本ハム江越大賀の恩返し弾もあり、6月9日阪神戦(エスコン)に4−0で快勝。ベンチで見守った新庄剛志監督はじめ、八木裕打撃コーチ、山田勝彦バッテリーコーチらの喜びもひとしおだ。

【動画】江越大賀が古巣阪神に恩返しの第4号ソロアーチ!逆方向に持って行った圧巻の一発の映像

 新庄監督は「タイガースに育ててもらった。今日は勝ちたかった」と満面の笑み。指揮官を満足させたのは、江越の1発の内容だった。3点リードの4回2死走者なし、阪神2番手の西純矢に2球で追い込まれた。3球目、外角直球に軽く合わせたように見えたライナー性の打球が、右翼フェンスを越える4号ソロとなった。

 待ちに待った1発だった。これまで「追い込まれたらペッパーだ」と何度もアドバイスしてきた新庄監督。ペッパーは投手役に軽く打ち返す打法。当てれば、何かが起こる。とくにパワーがあっても空振りが多かった江越のような打者に、ペッパー打法はうってつけ。口酸っぱく言い続け、ようやく日の目を見た。

 本拠地が昨年より狭いエスコンフィールドにかわり、ここまで32試合で日本ハムは23本塁打を記録。そのうち逆方向へ放ったのは野村佑希、万波中正に続き3本目だが、追い込まれてから放ったのは今回の江越が初めて。2ストライクになっても逆方向を意識し、軽打でもスタンドインできる。江越の1発をきっかけに、ポテンシャルの高い若手に意識づけできれば、ホームの利を生かした本塁打への期待がさらに高まる。

 阪神では大器といわれながら開花できなかった江越に対し、古巣が同じ八木打撃コーチはキャンプから意識改革してきた。「バッティングフォームは大事だが、対応力はもっと大事」「限界を感じたところから戦いが始まる」「考え方の前に感じ方を高めること。感じて考えて実行する」などと助言し、新天地での躍動をアシストしている。

 広島に3連敗を喫した前日8日には、山田バッテリーコーチによる「厳罰降格」があった。捕手の清水優心がプレー中にミットを外す緩慢プレーで、相手に追加点を許し「プレー中にミットを外すなんてありえない。あれは教えようがない」と新庄監督とともに即刻二軍落ちを決断した。チームの引き締め効果もあった。

 元虎勢の活躍があいまって、新庄監督が就任2年目で古巣相手に手にした初勝利は、内容の濃い1勝だった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]