●エセ関西弁で惑わしてくる山田裕貴と赤楚衛二

山田裕貴主演のTBS系金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(毎週金曜22:00〜)で、関西人のムードメーカー、米ちゃんこと米澤大地役を演じているなにわ男子の藤原丈一郎にインタビュー。関西弁での演技や役作り、俳優業について話を聞いた。

『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』で米澤大地役を演じている藤原丈一郎

都心へと向かう電車の一両が、いきなり未来の荒廃した世界にワープしてしまい、乗客たちがそれぞれの知恵を駆使して、過酷なサバイバル生活を乗り切るという本作。カリスマ美容師・萱島直哉役を山田が、正義感溢れる消防士・白浜優斗役を赤楚衛二が、高校の体育教師・畑野紗枝役を上白石萌歌が演じている。

現場の雰囲気について藤原は「作品自体はシリアスだったり、緊張感が漂ったりするシーンもありますが、現場でカットがかかった後は、劇中で本当に大変なサバイバルをしているのか分からなくなるくらいのわちゃわちゃ感はあります」と語る。

「最近はよく、山田さんや赤楚さんが僕の関西弁を違うイントネーションで言ってきて惑わしてくるので、ちょっとクレームを言いたいぐらいです(笑)。2人は愛知県出身なので、どちらかといえば関西弁を話しても全然違和感がないのですが、変に僕の台詞を真似してくるんです。本番が始まるギリギリまでずっとエセ関西弁を言ってくるので、めっちゃつられそうになります(笑)」

過酷なサバイバルが描かれる本作での米澤は、コメディリリーフ的な役割も担っている。

「例えばみんなが10落ち込んでも、僕はその10に合わせず、半分ぐらいで留めておくというか、常に現場を明るくしようとは意識しています。だからこそ、米澤がほんまに落ち込んでいたら、ほんまに深刻なんやと、視聴者の皆さんに伝えられるかなと思うので、そこは1話から気を付けて演じています」

○■「まさかフリップ芸をすることになるとは!」

いつも明るい米澤は、まるで藤原にあてがきされたかのようにしっくり馴染んでいる。

「本読みの段階で、脚本の金子(ありさ)さんから『本当にごめん。関西弁は任せていい?語尾も自分の言いやすいようにやって』と言われまして。でも、基本的には、金子さんの台本を忠実に演じているだけです。僕は生まれてからずっと 20数年関西で育っているので、台本を読む時に、こう言おうかなというものはもちろんありますが、あとは明るい部分やよくしゃべる部分は、自分と似ているというか、ほぼ同じなので、そこはぴったりの役なのかなと思います」

劇中では、藤原さながらにフリップ芸を披露するシーンもあった。

「まさかフリップ芸をすることになるとは! でも、あれは米澤が、アニメやゲームなどの専門学校で画を描いているという設定だからかと。ゲームももちろん、自分が普段アイドルとしてやってきた活動が役にも反映できることは、1つの武器なのかなとは思いました。すごくやりやすかったですが、脚本の金子さんが僕のことを調べて入れてくれたのかは、まだ聞いてないです。でも、点と点がつながる部分が多いです」

●なにわ男子メンバーから探り「特にミッチーは…」



なにわ男子のメンバーからの反響については「考察が半端ないです」と笑う。

「特にミッチー(道枝駿佑)は、これまで共演された俳優さんが多く出演しているし、メンバーの僕が出ていることもあり、『どうなるん?』とめちゃくちゃ探ってきます(笑)。こっちはもちろん知っているけど、『まあまあまあ』と濁しています。でも、友達が『見てるよ。毎週金曜日が楽しみ』と言ってくれるのはすごくうれしいです」

では、もし、なにわ男子のメンバー全員がペンディングされたとしたら、どういう行動を取るのだろうか?

「もしも7人で飛ばされたら、現実を受け止められなくて、まずはみんなで笑っちゃいそう。たぶん、帰れないといったことは考えず、帰れた時にどんな話をするのか考えるとか、記者会見の練習をしたりするかもしれない。そしてお腹が空いたら、まずはリーダーの大橋(和也)が毒見して、イケる! となったら、みんなが食べるのかなと。ファーストペンギンは、たぶん大橋やと思います(笑)」

そう言いながらも「僕はグループのなかで最年長なので、先陣を切るかもしれないです」とも語る。「『ペンディングトレイン』に出演したことでマウントが取れるかなと(笑)。『俺はペンディング経験があるけど、お前らはないやろ。なんでも聞いて』と言いつつ、ドラマで得た知識を披露して、みんなで意見交換するかもしれないです」

○■井之脇海との“ニコイチ”ぶりに赤楚衛二ヤニヤ

また、制作発表会見時から、役柄の関係性に至るまで、植物オタクの大学院生・加藤祥大役の井之脇海との仲睦まじい“ニコイチ”ぶりが反響を呼んでいる。

「海くんとの絆はもちろん、ドラマの中でも加藤&米澤の絆がだんだん深まっていくんですけど、お互いに野球好きなので、撮影の合間には常に野球の話をしています。僕はオリックスファンで、海くんは横浜DeNAファンなので、話していても加藤なのか海くんなのかどっちかわからなくなるぐらい、バディの関係性が深くなってきました。視聴者の皆さんからも『加藤と米ちゃんペアがいいよね』と推していただいているので、今後もそこは楽しみにしていただきたいです」

周りも微笑ましく見ているようで「『2人でめっちゃ仲いいじゃん』と、いつもニヤニヤ見てくるのが赤楚さんです(笑)。休憩中も椅子に座ろうとしたら『加藤さんの横は米澤くんが座るよね』みたいな感じで言われて、逆に僕ら2人が恥ずかしくなってきます。完全にペアですね(笑)」と笑顔を見せる。

●“座長”山田裕貴に惚れ込んだエピソード披露



スケジュール的にもハードな現場だそうだが、藤原は「僕自身、ドラマの経験があまりないので、過酷だと言われても最初はよくわからなかったのですが、周りの人に聞いたら『マジで大変だよ』と言われました。確かにロケ地については『これ、日本で撮ってるの?』と聞いて来る人もいますし、よくこういう場所を探したなとスタッフさんに感心もします。だからこそ、みんなで1つの作品を作っているなと感じています」とやりがいを口にする。

そんな一致団結した現場では、山田の頼もしい座長ぶりにも感心しきりだ。

「僕たち以外にも周りに“レギュラー乗客”の方もいらっしゃって、総勢50〜60人でお芝居をするシーンもありますが、山田さんはそういう時もちゃんと舵を取ってくれます。たとえ自分が出ていないシーンでも、映像をチェックして、もっとこうなんじゃないかというアドバイスをくれることもあります」

さらに、山田に惚れ込んだというエピソードを紹介。「僕がすごく感動したのは、撮影が終わった後、エキストラさんたちを先に帰して、山田さん自身は最後に帰るところです。山田さんは他のドラマにも出演されていて、一番忙しいはずなのに。その時、『うわ! この人かっこいい』と思ったし、男としてというか、人としてめちゃくちゃ尊敬できると思いました」

○■ドラマの現場は勉強と反省の繰り返し

慣れないドラマの現場については「今回は予測不能という言葉がぴったりな物語で、ほんまに僕ら自身もどうなるのかわからないので、よく台本を読むことで、 こういうことをしておけばより演技が際立つのか! といった勉強もさせてもらっています。今は勉強と反省を繰り返しています」と述懐。

さらに、俳優業について「まずは朝が早いので健康的になります。そして同じシーンでも、いろいろなアングルから撮るので、こんなに撮るのか! と、僕はそこまで経験がない分、新鮮に感じる部分もあります。また、台本を読むにつれて、自分の役を理解していったり、もし自分ならどうしてるんやろ? と想像したりもします。それで、実際に現場で撮影した時、相手が自分の考えていた演技と真逆のことをされると、『そういう引き出しがあるんや!』と驚いたりもします。本当に勉強になるし、発見も多いです」と語る。

今後の俳優活動への思いも尋ねると「今、この現時点では次のことなんて全く考えていません」ときっぱり。

「とりあえず米澤大地役のことだけを考えています。だから、今はもっと演じてみたいとかいう欲はまだないのですが、演じることが楽しいという要素は、たぶん今、米澤大地という役に全部注ぎ込まれているので、この作品が終わった時、またやりたいとか、こんな作品に出たいと思えるようになるのかなと。とりあえず、今はその場を楽しんで演じたいという気持ちのみです」

最後に視聴者へのメッセージをもらった。

「米澤は明るい愛されキャラで、回を追うごとにみんなとの絆も深まっていきます。でも、皆さんも日常生活の中で、『こんなことがあるんや!』と思うように、この作品を観ると、ほんまに当たり前が当たり前じゃないということに改めて気づける部分がたくさんあると思うので、毎週金曜日を楽しみにしていただけたらなと思います」

■藤原丈一郎(ふじわら・じょういちろう)

1996年2月8日生まれ、大阪府出身。アイドルグループ・なにわ男子のメンバー。2021年11月12日になにわ男子としてシングル「初心LOVE」でCDデビュー。俳優として舞台やドラマ、映画などにも出演。テレビドラマの近作は『消しゴムをくれた女子を好きになった。』(22)、『生ドラ!東京は24時』第1夜「シンガロング!」(22)など。

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