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キリスト教系宗教団体「エホバの証人」の元信者らでつくる3団体は5月22日、こども家庭庁を訪れ、声明書を提出した。教団側が、国の要請を受けて「児童虐待を容認していないと信者に周知した」などと公表したことに対し、不十分だと反論する内容となっている。

3団体によると、教団は信者に向けて「最新の法律を知っておくように」と周知しているものの、ムチの存在には触れていないという。厚労省は虐待の定義を示したQ&Aで「ムチで打つこと」も明記している。

団体の1つ「JW児童虐待被害アーカイブ」代表の綿和孝さん(仮名)は「内部からの改革は無理。やりなおしが必要です」と語気を強めた。

●輸血拒否についても踏み込まず

3団体は、輸血拒否など医療上の決定についても踏み込みの甘さを指摘。周知文では「輸血を含め、どんな治療を受けるか自分で決めるよう教えている」としているが、輸血拒否の徹底を示した内部文書「S55」は撤回されていないという。

また、輸血を受けさせると判断した信者の処分についても記載がなかったという。綿和さんは高校生時代に、自身の父が長老として排斥したある家族に言及した。通信制高校に通いながら熱心に活動していた女性だったが、一家離散になったという。

「どんなに悲惨なことか間近で見てきました。教団は自浄作用がまったく利かず、内部からの改革は無理です。こうして外から訴えることで、中にいる子どもたちを守ってほしい」

●私たちの世代で終わらせたい

3世の夏野ななさん(仮名)は「一般社団法人スノードロップ」代表として会見に出席した。教団について「いまだ謝罪も、改善もしていない」と批判。組織的虐待に対する法整備を求めた。

「宗教2世問題ネットワーク」代表の団作さんも会見場に駆けつけた。声明は「子どもたちの権利や命が『信教の自由』のもとに奪われてきました。この問題は私たちの代で終わらせなければなりません」と締めくくっている。