人生のチャンスを掴むには何をすればいいか。韓国の弁護士YouTuber・キム・ユジンさんは「明け方は夢を叶えようと努力できる人生のボーナスタイムだ。私は朝4時30分に起きて有名人や尊敬する人にメールして人生を前進させることができた」という――。

※本稿は、キム・ユジン(著)、小笠原藤子(訳)『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』(文響社)の一部を再編集したものです。

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■明け方を、会ってみたい有名人や尊敬する人々に連絡する時間に

朝4時30分に起きるだけで、私の人生は変わった。

単に夜できることを早朝に片付けられるからではない。私は睡眠中に夢を見るのではなく、明け方に起きて夢を叶えようと努力できるようになったのだ。

夢に一歩近づくさまざまな方法のうちの1つは、私が進みたい道をすでに歩む人々と、直接やりとりすることにある。

こうすることにより、目標に到達することに必要な実質的なアドバイスだけでなく、彼らのようになるには、絶えず努力しなければならないという前向きな心の刺激をもらえるのだ。

ただ、その人たちの多くは私を知るはずもなく、まずこちらから連絡しなければならない。

もともと会ってみたい有名人や尊敬する人々に、やみくもに連絡をする。特に米国のロースクール時代、一週間に2日程度、普段から興味を持っていた人々にメールを送った。

その相手は主に尊敬する法曹界の人、いつか会ってみたいと思う弁護士たちだった。公開されているメールアドレスが見当たらない場合は、直接手紙を送ったりもした。

初めは、こんな行為が失礼にあたらないか、私が彼らと比較してあまりにも劣りはしないだろうかと心配した。しかし私は学生であり世間知らずなのは明らかで、先方が多忙であれば勝手にメールを無視するだけだから余計な心配だった。

■「明朝6時30分にレストランに来られるか」という返事

それからは、いくら相手が有名でも、返信が来なくても、たいして意に介さなかった。むしろ学生という身分を利用し、バカみたいに見えてもお構いなしで、常日頃訊いてみたかったことを思いきり質問した。

何の意味もないかもしれないが「どんな人がいるかわからないから」と、いつどうやって芽が出るかわからない種を少しずつ蒔いた。

驚いたことに、メールに返事をもらうこともあった。しかもコーヒーチャット(コーヒーを飲みながら会話する時間)を快諾してくれたり、メンターになってくれたのはもちろん、知人を紹介してくれる人まで現れた。

しかし、実際に彼らに会って話をしてみると意外な事実がわかった。これほど有名な人たちは、普段学生たちからアドバイスを請うメールをたくさん受け取っているだろうと思っていたのだが、そうではないと知ったのだ。

時には想像以上のチャンスを得られることもあった。会ってみたかったある弁護士に、少し時間をいただけないかというメールを送ったところ、意表を突く返信が届いたのだ。

「明朝6時30分までに、ダウンタウンのレストランに来られますか?」

6時30分とは、私がメールを読み間違えたのかと思ってこのように訊き返した。

「もしかして、夕方6時30分のことをおっしゃっていますか?」
「いいえ。午前6時30分です」

翌日、朝の6時30分に約束の場所に到着した。「えっ? これはなんの会合?」

早い時間にもかかわらず、その場所には私が連絡をやりとりした弁護士だけでなく、管轄の裁判官や検察官、そして別の法律事務所の弁護士の人たちまで集まっていた。その瞬間、場所を勘違いしたのかと思ったほどだった。

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■本では決して知り得ない実践的な教えの機会に

実は、その日は女性法曹たちが周期的に設けている集まりの日だった。出勤後はそれぞれ多忙を極めるため時間の調整が難しく、朝の時間を活用して会うことにしていたのだ。

メディアでだけ知っていた人々と朝食できるなんて、何ともないふりを装っていたが、実際は緊張しドキドキが止まらなかった。

今もどうしたらあんな幸運が舞い込んできたのかわからない。普段から試験に合格した暁には一緒に働いてみたかった法律事務所の代表である弁護士にメールを送ったのがすべてだった。

そして朝6時30分までに約束の場所に行けるという理由だけで、ずっと憧れていた人たちと話をする幸運に恵まれたのだ。会合メンバーの一人が私に言った。

「朝に起きるのが大変じゃないなら、いつでもいらっしゃい。この集まりの他にも集まりは多いの。1つは朝7時にスタートよ」
「はい。これからもぜひ参加させてください!」

私は自信たっぷりに答えた。当時午前8時あるいは9時から授業があったため、6時30分の集まりに参加することは、全く無理ではなかった。

そうして週に1、2回、この会合でいつも雲の上の存在だった法曹たちの生活がどんなものかを直接聞き、学ぶことができた。本では決して知り得ない実践的な教えだった。

■多くの成功者はすでに一日を始動

ロースクール卒業後、司法試験に受かるまで裁判所で働きながら、会合メンバーたちとより親しく過ごすことができた。もう学生としてではなく社会人、そして法曹として出勤前に共に集まりコーヒーを飲み、朝食もとりながら多くのことを共有した。

仕事が多く忙しさに追われても良好な関係は途切れず、今でもアドバイスをもらったり、助けを請うたりできる先輩後輩の間柄だ。

このように、明け方には想像以上に多くのことが起きているのだ。世間知らずな私が眠っている間に、ある人は私が望んでいる目標を叶えるために一生懸命勉強し、ある人は私が望んでいる地点にもう到達し、また新しい目標に向かって走りはじめている。

彼らにとって明け方は睡眠時間ではなく、活動時間なのだ。

疲れているからとずっと寝転んでいたら、変化することも、遠くへ行くこともできない。反面、重い体を起こして新しいことに挑戦すれば、想像以上のチャンスが巡ってくる。

そんなとき、しくじったらどうしようと恐れる必要はない。明け方に起きたという事実だけでも他の人々より一歩先にいるからだ。

誰にでも与えられる一日を、どのように使うかは自分の選択次第だ。そしてその決断によって人生は変わる。

■夢と目標に果敢に挑戦したいなら明け方起床の実践を

私は韓国で就職するまで、いつだって仕事と勉強を両立してきた。たった一度でも勉強だけに専念したことはなかった。韓国で大学に通っていたときは、キャンパスでアルバイトをし、米国のロースクールに通ったときは、パートタイムで法律事務所に勤務した。

ロースクールを卒業し、司法試験のための勉強に励んだときも裁判所で働いた。もちろん楽にできたわけではなかったが、これらのことを全部やり遂げられた秘訣は、思えば明け方の積極的な時間活用だった。

今の仕事、あるいは自分の専攻と全く無関係なことをしてみたいと思ったことはないだろうか? 趣味の範囲を超え、何かを真剣に始めてみたいと思うことは?

今していることをやめる勇気はないが、適当な時期を見計らっているうちに、絶好のチャンスを逃してしまわないかと心配になるケースがきっとあるはずだ。

このように夢と目標に果敢に挑戦したいのに、家族や職場などの事情を無視できない状況なら、明け方起床の実践をぜひとも勧めたい。

明け方起床で確保できる時間は、人生のボーナスタイムだ。会社の業務や学校の課題のように、この時間に絶対やらなければいけないことなど何もない。

だからこの時間はどんなことをしても失うものは何一つない。つまり明け方は、自分があえてする必要のない、したかったのに無理だと思っていたことをただ実行に移してみる時間なのだ。

■日が昇るのと同時に近づいてくるチャンスが見えてくる

いつもなら想像で終わったこと、本当に時間が余っているのでなければあえてしなかったようなことを明け方にやってみよう。日が昇るのと同時に近づいてくるチャンスが見えてくる。その幸運をただつかむだけでいい。

写真=iStock.com/peemadech bangsiri
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思い起こせば、私も明け方にさまざまなことに挑戦していた。思い通りに成功を収められなかったときもあったが、奇跡のような結果に至ったことも多い。

以前、ロースクールに通っていた頃、経歴を積むためのサマーインターン選びにひどく苦労したことがあった。切に希望した法律事務所がいくつかあったが、そこは私の成績と志望書では戦意喪失するほど競争率が高かった。

学校のキャリア・アドバイザーも私がその法律事務所に志望することは時間の無駄だとし、合格する可能性のある他の事務所をリストアップしてくれた。

経歴を積める事務所がどこにもないのではと恐れた私は、結局キャリア・アドバイザーの助言に従っていくつかの法律事務所に、履歴書と自己紹介書を作成し提出した。だが、その中には本当に行きたい事務所は1つとしてなかった。

もちろんそこでも学べることは多かっただろうが、私が高い関心を持っていた訴訟分野は、当時志望した事務所では扱われていなかった。

志望書を提出したのちも「ロースクール2年生が訴訟専門の法律事務所で働くのはたやすいことではない」というキャリア・アドバイザーの言葉が耳に残った。

成績優秀で訴訟分野に経歴がある学生にだけ機会が与えられるというものだった。キャリア・アドバイザーは「現状では書類審査で落とされる可能性が高い」と私をなだめた。

■一週間後に届いた2つのメール

結局、私は夢見てきたチャンスを自ら作ろうと心に決めた。午前も午後も授業に出て宿題をし、面接を受け、息つく間もない中、日常に支障がないギリギリのところで別途、当時の夢に挑戦する時間を捻出したのだ。

そして2週間程度、毎朝、米国全域で私が一緒に働きたいと思う法律事務所の弁護士にメールで直接志望書を提出しはじめた。駄目元だった。

当然、該当分野に合わせて履歴書と自己紹介書を修正しなければならない煩わしさもあったが、この程度の投資の価値はあると思えた。

実力不足なのに志望するのが内心恥ずかしくて、明け方にそっと志望書を書き送ったのかもしれない。それでもプラスアルファの時間にしていることなんだから、落ちても仕方ない、と考えるようにしていた。

そして一週間が経ち、驚かされた。なんと2箇所からメールが届いたのだ。1つは、書類審査に合格したから面接に来られる時間を教えてほしいという内容で、もう1つは担当弁護士直々の返信メールだった。

私が志望した法律事務所を出て、新しい事務所を設立する計画があるので、そこで一緒に働いてみる気はないかという打診だった。不思議でならなかった。

行動を起こしていなかったら決して来ることのないチャンスだった。無理だろうと思いながらも失うものはないと過度な期待はせずに挑戦してみたら、新たな門が開かれたというわけだ。

■確たる見通しもなく試したことが、期待以上の実を結んだ

結論から言うと、両方の面接を受け、再度連絡を受けた弁護士と働く光栄に浴した。そうして私は最高の師匠と出会ったのだ。

そこで良い経歴も積むことができた。民事訴訟から各種刑事事件まで、顧客ミーティングはもとより書類作成、証拠調査、裁判所参席など経験しないことはないくらい、あらゆる過程をマンツーマンで学ばせてもらった。

ロースクールの学生が、サマーインターンでこのような実務を直接経験できるケースはめったにないため、いっそう懸命に学んだ。

キム・ユジン(著)、小笠原藤子(訳)『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』(文響社)

それが報われたのか、夏休みが終わってからも引き続きその弁護士と働かせてもらえることになり、この経験をもとにロースクール卒業後、連邦裁判所でまた違う経歴を重ねることができた。

あのとき一緒に仕事をした弁護士は、米国大統領に指名され、米国ジョージア州連邦検事長に就任した。あんなに立派な方と共に働けたということほど光栄なことはなく、今でも大きな誇りとなっている。

みんなが不可能だと言ったことだった。私でさえ、内心ある程度そう思っていた。でも「どっちみちプラスアルファの時間にすることだ」という考えから確たる見通しもなく試したことが、期待以上の実を結んだのだった。

どうせうまくいかない、忙しいという理由であきらめていたら、今とは違う人生を生きていたかもしれない。

最近も私は明け方を利用することを思い出し、挑戦する時間を設けている。もちろん早起きし、新しいことに挑戦するのは骨が折れる。目的地が見えないときも多いだろう。毎回成功を収められるわけではない。

それでもボーナスタイムに失敗したからといって、メインゲームまで失敗するわけではない。残りがどれくらいなのか考えることなく、一歩、二歩、黙々と歩いてふと振り返れば、自分でも気づかないうちに遠くまで来ていたという事実に気づけるに違いない。

そしてこの事実がわかった瞬間、いっそう前進する力が湧いてくるだろう。これがまさに明け方起床の魔法なのだ。

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キム・ユジン(きむ・ゆじん)
YouTuber弁護士
米国ニューヨーク州、ジョージア州2州の弁護士資格を持つ弁護士。韓国生まれ、ニュージーランド育ち。韓国の大学を卒業後、米国ミシガン州立大学で学士号を取得。エモリー大学ロースクールに進み、卒業後、難関である米国司法試験への合格を果たす。学生時代から現在に至るまで、早朝に起き、時間を有効活用することで挫折を乗り越え、多くの目標を達成してきた。その早起きルーティーンをYouTubeで公開したところ、累積アクセス数1000万、フォロワー20万人を獲得。韓国国内に「早起きブーム」を起こし、パワーインフルエンサーとなる。現在は韓国国内の大手企業で社内弁護士として活動中。
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(YouTuber弁護士 キム・ユジン)