まもなく家に届く自動車税の納付書。それを前に、国土交通省を名乗るフィッシング詐欺が横行していると同省が注意を呼び掛けています。自動車行政の一部デジタル化も進むタイミングを見計らった巧妙さもうかがえるものです。

《【国土交通省】重要なお知らせ、必ずお読みください》←サギ!

 国土交通省を名乗るフィッシングサイトが確認された、と同省が注意喚起を行っています。自動車税の納付を迫る内容で、財産の差し押さえを行うと脅しています。


自動車税の納付書。毎年5月初旬に送られてくる(画像:写真AC)。

 国土交通省が確認したフィッシング詐欺は、SMS(ショートメッセージサービス)を通して行われているようです。SMSは相手の電話番号に文字データを送るサービスで、携帯電話会社が通話料金のお知らせなどでも使用しています。心当たりのないメッセージが届いているという国土交通省への通報で、同省が複数のなりすましのメッセージを確認しました。

 SMSの文面は、《【国土交通省】重要なお知らせ、必ずお読みください》のタイトルにURLが書かれたシンプルな内容。あるいは、《督促状で指定した期限までに未納の自動車税が納付されない場合、財産の差押えを行います》などと書かれています。

 国土交通省大臣官房は「自動車税の督促状や納付のお知らせなどを、国交省から知らせることはない」(同総務課)と、内容にだまされてリンクをたどらないように警告しています。

 自動車税の納付義務の通知や督促は、地方税法で《書類は、郵便若しくは信書便による送達又は交付送達により、その送達を受けるべき者の住所、居所、事務所又は事業所に送達する》と定められています。偽滞納が事実であれば、まずは都道府県の担当課から督促状は文書で送られます。納付をオンラインで完結させることはできません。

巧妙! “それっぽい”架空演出の数々

 しかし、国交省を語る詐欺メッセージでは、架空の「自動車税等お支払いサイト」に誘導。そこで架空の未納金額を示して、電子マネー(Vプリカ)で支払うことを求めています。偽サイトでは、Vプリカの発行コード番号の入力や、Vプリカ購入時にレジで発行されるチケットの写真を撮影して送ることで支払いが完了するように装います。

 さらに、この架空の納税サイトでは、セキュリティアプリをダウンロードすることを求められることもあり、国交省は応じることのないように注意喚起しています。

 不信な詐欺メッセージが届いた場合は、都道府県警察の「フィッシング110番」の窓口に通報することで、メッセージに応じないことが必要です。


フィッシング対策協議会のウェブサイトでも、「国土交通省をかたるフィッシング」として注意を呼び掛けている(フィッシング対策協議会ウェブサイトより)。

 フィッシングに関する情報の収集や提供活動を行う「一般社団フィッシング対策協議会」でも、国交省を語るフィッシングについて、入力やアップロードをしないように呼び掛けています。「個人情報やクレジットカード情報、プリペイド番号等の入力を要求された場合は、入力する前に一度立ち止まり、似たようなフィッシングや詐欺事例がないかを確認する」ことを、日頃から心がけることを奨めています。

 自動車税は4月1日現在の所有者を課税対象に、5月1日以降に順次発送されます。課税に対する関心が高まる時期を狙ったフィッシング詐欺にだまされないようにしましょう。