NEXCO東日本東北支社がSNS上で、「工事規制中事故多発!」として、車線規制の場所に設置した規制車両が追突され大破した画像を投稿。なぜこのような事故は多発するのでしょうか。

減らない衝突事故 どう被害を抑える?

「事故多発!」の文字とともに、そこには側面がえぐれて無残な姿になった規制車両が――NEXCO東日本 東北支社が2023年4月14日、SNS上に投稿した画像です。


高速道路で実施される車線規制(画像:写真AC)。

 東北支社によると、2022年に管内で発生した工事中の他責接触事故は9件。うち4件は標識車への接触で、別の4件は工事車両へ、残る1件は車線減少部分に並べられる矢印看板へのものだそうです。

「サイドミラーに当たった」という軽微な案件も含まれますが、過去には標識車が大破する大事故も発生。全損となり、加害者側へ1400万円の損害賠償を請求したこともあるとか。

 一向に減らない工事規制箇所での衝突事故。先ほどのツイートは、まもなく始まるGWを控え、あらためて注意喚起を行ったと話します。

 これまでNEXCO東日本関東支社も同様の注意喚起を行っており、「スマホ・わき見・居眠り 作業員の命を奪います」とのメッセージを発しています。昨今は、前車に追従してアクセル・ブレーキ操作を自動的で行うACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)で走っているクルマも増えています。機能に頼りきり「少しくらいスマホをしても大丈夫だろう」という安心感が、とっさの判断を鈍らせるのかもしれません。

減らない衝突事故 どう被害を抑える?

 ドライバーの不注意とはいえ、道路管理者側も指をくわえて見ているわけではなく、少しでも発生件数や被害を抑えるため、様々な対策が講じられています。

「追突されても被害を抑える」対策としては、アルミ板をハニカム構造のように組んだ衝撃吸収バンパー「バッグガード」を車両後方に設置。NEXCO東日本内の91台に導入されています。

 とはいっても、そもそも追突を防ぐ対策も必要です。前出した全損事故も、このバックガードごと大破したといいますから、車種と衝突速度、当たりどころによっては大きな被害をもたらしかねません。

 まずは、規制車のさらに手前に配置する誘導設備。かつては生身のガードマンが行っていましたが、危険なので、「安全太郎」と呼ばれるガードマンのような姿をした人形が、機械仕掛けで誘導棒を振るものに置き換わっていました。現在は、より遠くから分かりやすいよう、バルーン上で光り、デフォルメ形状になった「i光太郎くん」の導入を進めているといいます。

 さらに、居眠り運転やわき見運転による事故が多いことから、「工事区間に差しかかるまでに意識をハッキリさせる」対策として、リング状のパーツを路面に並べ、それに乗り上げた振動と音でハッと気づかせる取り組みも試行運用されています。

 また、規制箇所と規制箇所のあいだで追い抜きを試みた車両が、追い抜きしきれずに工事現場へ突っ込むというケースもあることから、「最初から工事箇所をひとつに統合する」という施工計画を立てることが多いとのこと。こうすることで「なぜこんなに長い距離で車線を減らしているんだ」というクレームもあるそうですが、「事故防止のため、ご理解とご協力をお願いします」と話します。