まだ体力がある50代こそ、ものの持ち方、手放し方を見直すチャンス。白で統一され、平面にものがないためシンプルかつ、すっきりしたリビングダイニングを見せてくれたライフオーガナイザーの下村志保美さん。キープする秘訣は、片づけやすく、捨てやすい仕組みにありました。下村さんが今の生活をするようになった心の変化を、時系列順に見ていきましょう!

50代のうちにものを減らし、身軽にしておくとラクに

「50代にとってものを減らしていくことは、“ゆるやかな終活”だと思っています」と下村志保美さん。終活はもう少し年齢を重ねてからでも遅くはないと思っていましたが、気持ちが変わったと言います。

【写真】リフォームの際、大量にものを処分

●ものを減らすことは家族への思いやり

「ものを捨てたり、譲り先を探したりするのは、気力と体力、お金も必要。定年後のセカンドライフを身軽にスタートできるよう、50代のうちにものを減らした方がいいと思い直しました。体力が落ちた10年後は、もっとおっくうになるはず。とくに書類は、たまると厄介。返送や提出が必要なものは、受け取ったその日に書いて出しています。今すぐやるのが、いちばん面倒ではないから」
現在、娘夫婦と同居している下村さん。ものを減らすことは「家族への思いやり」でもあります。
「ものを残したまま私が亡くなったら、家族に負担をかけることになり、申し訳ない。それに、すっきりした空間の方が、体が不自由になっても移動しやすいし、もしも将来、介護の人に来てもらっても、なにかとスムーズに進められると思うんです」

 

●「まだ使える」より「まだ使いたい」を大切に

すっきり空間をキープするために、自分自身はもちろん、家族全員が片づけやすい仕組みを考えています。
「散らかってしまうときって、ついいろんな場所にものを置きっぱなしにしがちでした。その原因は定位置が決まっていなかったから。だから今は、家族がわかるように定位置を決め、片づけやすく、捨てやすいルールを設けるようにしました」

また、ものをすんなり手放せるようになるには、「まだ使える」より、「まだ使いたい」という感覚を大切にしているそう。
「使いたいという気持ちがなければ、まだ使えたとしても出番はなく、タンスの肥やしになるだけ。潔く処分するようにしています。タオルや下着などの消耗品も期限を決めて定期的に買い替えるようにすれば、持つ量も少なくてすむし、収納にも余白が生まれます。なにより気持ちに余裕ができるんです」

●下村さんの捨てヒストリー

36歳:都内に一戸建てを購入。ファミリークローゼットを導入するも、家族が自分の持ち物の量を把握できない事態が続出。個々の持ち物は、それぞれの部屋で管理するように

46歳:片づけられない夫のためにライフオーガナイザーの資格を取得。捨てて解決することに罪悪感があったため、収納術を勉強する

51歳:コロナ禍での家族のテレワークにより、個々の生活空間も心地よくする必要性に気づく

52歳:暮らしを快適にするためにリフォームを決断

多用していたカラーボックスなどの収納用品は、ものを増やすだけと悟り、手放すことに。

54歳:夫が単身赴任し、娘夫婦との同居を開始。ライフスタイルが変わっても柔軟に対応できるよう、ものの定量を減らす大切さを実感

 

『これからの暮らし by ESSE vol.3』では今回紹介した以外に、暮らしの達人のみなさんの「持ちすぎない暮らし」や、50代からのユニクロおしゃれ術、老後のお金の不安解消Q&A、腸活レシピ、B-life Marikoさんの「1日1分寝落ちヨガ」など50代以上の暮らしに沿った情報が満載。ぜひチェックしてみてください。