オール電化の家の給湯器「エコキュート」。割安だった深夜割引プランのメリットも薄れつつあり、慎重に導入を検討したいところですが、ほかにも注意したい点が。災害時に貯湯タンクのお湯が生活水として利用できるエコキュートは、設置場所も意外に大事です。置き方によっては、メンテナンスや防災対策で後悔することも。5年前にハウスメーカーで建てた日刊住まいライターがレポートします。

家づくりでは太陽光発電&エコキュートを導入することに

筆者は5年前に大手ハウスメーカーで家を建てました。そのとき、まず検討したことはオール電化の家にするか、ガス併用の家にするかということでした。そして選択したのがオール電化の家です。

オール電化住宅にするにあたっては、太陽光発電システムも導入し、給湯器はエコキュートを採用することにしました。

 

採用した三菱電機のエコキュートは、深夜にわき上げ(タンクにためるお湯を毎日自動でつくること)をします。このわき上げは、深夜電力に頼る必要があります。

ですから筆者の家も日中に発電した電力は売電し、深夜時間帯の料金が安く設定された電気料金プランで契約しました。実際、燃料費調整額が高騰するまでは、このプランを利用することで、光熱費を大幅に節約することができました(※)。

この光熱費節約に関しては、当時もうひとつ魅力に感じたことがあります。それは長期旅行や出張で家をあけるときは、操作パネルで簡単にわき上げを中止できること。このことで、さらに電気代のムダを省くことが可能です。

※現在、電力会社によっては、日中の電力量料金と深夜帯の電力量料金との差が縮小、もしくは差額プランが廃止になっています。オール電化住宅を検討される方は、地元電力会社に確認してください

 

エコキュートの給湯タンクは災害時に本領発揮

エコキュートは給湯タンクがあるため、ガス給湯器よりも場所をとります。しかし、この給湯タンクが災害時に本領を発揮します。常時、貯水しているからです。

災害時(とくに断水時)、貯水タンクにホースをつなげると、吐水できる仕組みに。生活用水として利用できます。ですからホースをすぐ近くに置いて災害対策をしています。

 

ホースと貯湯タンクをつなぐパーツは、エコキュートのフタの裏に収納しています。これなら、いざ必要というときにスムーズ。

 

エコキュートを設置する場所のスペースが狭く後悔

エコキュートは配管をコンパクトにする関係で、お湯を使用する近い場所に設置します。ということでわが家でも、お風呂と隣り合わせに設置しました。そして配管のことを考え、水回りはお風呂の近くにまとめた間取りにしています。

水回りを集約し、お風呂の近くにエコキュートを設置することはよかったのですが、それ以外に関してはあまり考えず、これが後悔ポイントに。

エコキュートのヒートポンプと貯湯タンクのうち、災害時やメンテナンス時に操作をするのは貯湯タンクの方です。

 

わが家の場合、エコキュートを設置するスペースがギリギリ。通路手前にヒートポンプ、奥側に貯湯タンクという順に設置してしまったため、貯湯タンクから水を確保するのは、狭いスペースで作業しなければなりません。通路手前が貯湯タンクになればよかったと、後悔しています。

ヒートポンプと貯湯タンクの置き方でメンテナンスが大変

貯湯タンクを奥に設置してしまったことで、メンテナンスでも問題が。取扱説明書には、エコキュートは年1回掃除をする必要があると書かれています。業者に聞いたところ、掃除を定期的にすることでエコキュート本体の寿命も長くなるそうです。

掃除自体は簡単。でも、貯湯タンクを奥にしてしまったことで、この掃除もかなりのストレスに。それでなくても、1年に1回ということで掃除前後の手順(停止や再稼働)を覚えておらず、毎回説明書を読みながら掃除しています。

エコキュート自体、設置場所が狭かったため、薄型のものを採用しています。薄型は通常タイプに比べ割高。将来の買い替えを考えると、標準タイプが収まるようスペースを確保して、建物を配置すればよかったと、これも後悔!

エコキュートを有効活用するには、配置する場所や置き方がとても大事。エコキュートの導入を検討している方の参考なれば幸いです。