壁の角といえ角ばっているのが一般的。でも丸みをもたせることで、ぶつかっても危険の少ない安全な家になります。4年前に妊娠を機に、実家を二世帯住宅にリフォームした日刊住まいライターは、角に丸みをもたせる「R加工」を採用。小さな子どもがいても安心して暮らせています。また、老後の生活にも役立つことを発見。住み始めてわかったメリットの数々をレポートします。

妊娠を機にリフォーム!子どもの安全を考え壁はR加工に

わが家は、筆者夫婦と3歳の娘、筆者の両親との5人暮らし。結婚後、実家である2階建て戸建て住宅で両親と同居を始めました。1階にダイニングリビングと和室、2階に個室が4つといった間取りです。そして妊娠をきっかけに、家をリフォームすることに。

リフォームの参考になればと、大手ハウスメーカーのモデルハウスへ見学に行った際に、壁角が丸くなっている箇所を発見。丸みの触り心地がよかったのが印象的で珍しいなと気になりました。そこで、リフォームの打ち合わせの際に聞いてみました。

丸くなった壁角は「R加工」という施工方法で、子どもの安全対策などで取り入れることがあるそう。また壁角に丸みをもたせることで、部屋がやさしくやわらかい印象にもなるとのことでした。

角ばった部分の安全対策といえば家具などをイメージしていましたが、小さい子どもにとっては壁角も意外と危ないようです。家族と検討した結果、子どもが産まれる予定であること、つくりたい部屋のイメージにも合っていたことから、各所にR加工を取り入れることにしました。

 

壁紙も切らずにきれいに貼れ、めくれにくい!

リフォームをした当時、ほかのメーカーのモデルハウスにも見学へ行きましたが、R加工を施していたのは、筆者が依頼していたメーカーのみでした。R加工についてはこちらから聞かないと、知ることができないケースもあるようです。

また着工後の話になりますが、どのように施工するのか興味があったため、施工現場へ見学にも行きました。ここで知ったのが、R加工の部分は壁紙を切らずにそのまま貼っていくため、線が入らずきれいに仕上がるということ。年数が経過したときも、壁紙がめくれにくいとのことでした。たまたま施工していた方に聞いたのですが、見学へ行ってよかったなと思いました。

 

R加工を採用してやさしい雰囲気に仕上がり満足!

R加工は、玄関回りやユーティリティといった共用部分を重点的に、家全体で10か所ほど取り入れています。

子どもが生まれて歩くようになってから、壁に手をついてつたったり、ときには頭をぶつけたりもするため、角ばっているよりも安心して過ごせます。

5歳と4歳の甥っ子と姪っ子が遊びに来たときも、家じゅうを走り回って遊んでいましたが、壁角を気にしてハラハラすることもありませんでした。子どもの安全対策という点では、とても満足しています。

壁角に直接貼りつけるクッション材も売られていますが、はずすときに壁紙がはがれてしまう可能性があることや、検討や購入の時間と手間も省けたため、今回R加工を取り入れてよかったと思っています。家の雰囲気もイメージどおりで、やさしくやわらかい雰囲気に仕上がりとても気に入っています。

また、当初は想定していなかったメリットもありました。50代の親が廊下やユーティリティで買ってきた物を片づけるときに、壁を頼りに立ち上がることが増えたのです。

その際、角ばっている壁よりも、角の丸みがある方がつかみやすく、力を入れたときに手も痛くないとのこと。考えてみれば、高齢者が使う安全バーには角ばっているものはありませんし、納得の理由でした。

デメリットもある?実際に住んでみて気になったこと

デメリットをあげるとすれば、家具を角に合わせようとすると真っすぐにならないことでしょうか。この点については、家具を角に沿わせずに少し離して置くことで解決しています。

 

また、天井との壁紙の間にある廻り縁(まわりぶち)は角ばったまま。床と壁紙の間の巾木(はばぎ)の部分も同様です。じつは、壁角のことばかり考えていたため、細かいところまで気が回りませんでした。

しかし、リフォーム後に廻り縁や巾木も丸く加工できることを知り、ちょっと後悔。可能であれば、巾木の部分も丸みをつけてもらった方が、より子どもの安全対策になるかもしれません。

なお、R加工は、一般的には追加費用がかかる施工のようです。筆者のケースでは、縁があったハウスメーカーでリフォームを頼んだ経緯もあり、追加費用なしで施工してもらえました。しかし、本来であれば1か所約8000円プラスになるとのこと。検討する場合は、費用の面も確認してみる必要がありそうです。

最初は子どもの安全対策として取り入れたR加工。やってみて、部屋の雰囲気づくりや老後の対策にも、おおいにメリットがあるなと感じました。