決勝トーナメント1回戦8試合、準々決勝4試合、計12試合中、延長PKに至ったのは4試合で、発生率は3割3分3厘だった。この12試合中、筆者が実際に観戦したのは6試合。クロアチア対ブラジル戦の延長PKは、別会場のメディアセンターでのテレビ観戦となったが、他の3試合(日本対クロアチア、オランダ対アルゼンチン、モロッコ対スペイン)はナマだった。遭遇率は6試合中3試合。5割に達した。

 PK戦を見るのは身体に悪いと、イビチャ・オシムは自ら指揮を執った2007年アジアカップで起きたPK戦さえ、実際に見なかった。開始前にロッカールームに引き上げてしまったその姿勢を非難する人は多くいたが、筆者はオシムのような人がいても不思議はないと半分以上、納得する。

 PK戦を積極的に見たいとは思わないクチなのだ。サッカーのプレーそのものに比べると、全く興味を覚えない。ドラマ性は確かにあるし、感激、感動もするが、本題とは別モノだ。サッカー的ではない。サッカーの香りがしないのだ。PK戦はあくまでも抽選クジの代用品。評論は可能な限り避けている。だが遭遇率は5割に及ぶ。この現実をどう捉えるか。

 とは言っても、PK戦が発生するのはトーナメント戦に限られる。リーグ戦には存在しない。極論するならば、世の中の試合がすべてリーグ戦形式で行われるならPK戦は要らなくなる。

 今大会、準々決勝まで60試合が行われているが、最も多いのが1点差の試合(2-1、1-0、3-2)だ。23試合を数える。続いて多いのが2点差(2-0、3-1、4-2)の試合で、15試合。3番目が 同点(0-0、1-1、2-2、3-3)に終わった試合で、14試合となる。

 パーセンテージにすれば、1点差が38.3%、2点差が25%、同点が23.3%、3点差となると0.83%に激減し、4点差以上は0.5%となる。

 同点あるいは1点差に終わった接戦は、全体の61.6%を占める。サッカーは基本的に接戦であるという競技性が、この数字から鮮明になる。トーナメントで優劣を競えばPKが多発するのは当然。PKも実力のうちと言い出す人は一定数存在するが、筆者は先述の通り、それはサッカー性から外れたものだと認識する。一番手のキッカーに、試合中全く活躍できていなかった南野拓実が登場すれば、それは心配になるが、そこまで苦言を呈す余裕は筆者にはない。PKのキックの質を高めよという声にも、そうだと素直に乗っかることができずにいる。