紙の書類をPDFやJPEGに変換するためのドキュメントスキャナは、さまざまな製品が発売されていますが、置き場所を取るのが欠点です。スマホを使って撮影する方法もありますが、コントラストの調整や変形補正を行うことで、クオリティはどうしても下がってしまいます。限られたスペースに設置しても邪魔にならず、なおかつ高精度のスキャンが行える、そんなニーズにぴったりのドキュメントスキャナが、今回紹介する「ScanSnap iX100」です。2014年発売ということで決して新しい製品ではありませんが、今回は追ってラインナップに追加されたスノーホワイトモデルを例に、本製品の特徴を紹介します。今回のスノーホワイトのほかブラックもあります500mlペッtボトルとの比較。スリムさが分かります本製品は、複数枚の原稿をまとめてセットすることはできず、1枚ずつ手で挿さなくてはいけません。そのため会議資料など、一定の枚数がある原稿をデータ化したい場合は、それらを一括でセットできるオートシードフィーダがついた上位モデルのほうが便利です。では本製品の利点は何かというと、それは圧倒的なコンパクトさです。スティック状のボディは、ふだんはディスプレイの下などに置いておき、実際に利用する場合は、キーボードの手前に移動させて原稿を挿入するといった、機動力のある使い方が可能になります。重量も約400gと軽く、外出先への持ち出しも容易です。また本製品は、USB接続はもちろんWi-Fiでの接続にも対応します。ケーブルを抜き差ししなくて済むため、未使用時は引き出しの中に片付けておくのも容易です。内蔵バッテリーが少なくなってきた時のみ、有線接続して充電を行えば済むというわけです。片手で握れるサイズで持ち歩きも容易読み取った原稿は本体背面から排出されます給電はUSBで行います。ポートはmicroBWi-Fi接続でも利用できます。WPSにも対応読み取り性能も優秀です。さまざまな補正機能を搭載するのはもちろんのこと、他社のスキャナだと詰まってグチャグチャになりがちな感熱紙や半紙など薄手の原稿も、本製品ならば事故の起こる確率は明らかに低めです。事実、筆者が過去に使い比べた複数のドキュメントスキャナの中でも、古く傷んでいて修復が難しい書類や、確定申告の領収書のように再発行が難しい書類をスキャンするにあたっての安心感は、本製品はトップクラスです。体のすぐ近くに置いて操作するため、万一の場合もすぐに上部カバーを開いてスキャンを止められるのもプラスです。また通帳やカード類のような厚みがある原稿も、そのままスキャンできます。原稿は本体背面から排出されますので、スキャン中に曲がってしまうなどして痛めることもありません。前面のパネルを開くと電源が自動的にオンになります原稿をセットしボタンを押すとスキャン開始スキャン完了後の挙動は細かく指定しておけます解像度やカラーの指定が可能。読み取りは片面ずつです一方、ユーザーの好みが分かれるかもしれないのが、両面同時のスキャンに対応せず、片面ずつしかスキャンできないことです。筆者も使い始めてすぐの頃は、この点はマイナスに感じていました。ただ本製品はもともと複数枚の原稿を一括でセットできず、1枚ずつ手差ししていく仕様ゆえ、そうした特性に合った原稿、具体的にはレシートや領収書を扱う機会がどうしても多くなります。これらは裏写りしているせいで裏面を自動削除するオプションが機能しないことも多く、たとえ両面スキャンに対応していても、結局はユーティリティ側で片面スキャンに固定して使うことになります。なので実際には、それほど支障はないというのが正直なところです。ただし、これは本製品以外に両面スキャンに対応したスキャナを所有していて、原稿の種類に応じて併用できる環境にあることが大前提です。最初に購入する一台を探している人、スキャン対象の原稿が両面印刷ばかりという人は、本製品ではなく両面スキャンに対応した別のモデルを調達したほうが、満足度は高いかもしれません。ちなみに本製品は、手前から挿入した原稿を背面に排出する構造ですが、上部のカバーを開いた状態でスキャンすることで、原稿を手前に排出することもできます。これならば、表裏を連続してスキャンする場合も、わざわざ背面まで手を伸ばす必要がなく、効率的にスキャンできます。こうした使い方は抑えておきたいところです。上面のカバーをあらかじめ開いてスキャンすると…原稿が奥にではなく手前に排出されますフォーマットはPDFとJPGのみ。他社と比べて少なめです裏写り軽減や傾き補正など各種補正機能に対応ブラックの発売後に新たにスノーホワイトモデルが追加されるなど、幅広いユーザーに人気の本製品ですが、発売からすでに8年が経過しており、近い将来のモデルチェンジがあってもおかしくありません。というのも本製品のUSBポートはいまだに旧来のmicroBで、今後USB Type-Cを搭載した後継モデルが登場する可能性は、大いに考えられるからです。製品自体は完成度が高く、評価が高いのも当然という印象ですが、いま新たに購入するならば、そうした点も頭に入れた上で、値引きやキャンペーンといった機会を狙うことも考慮した方が良いかもしれません。DATA製品名:ScanSnap iX100 White
実売価格:22,500円
発売元:PFU
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B09R96NXWK/