青海「今までの大きな存在に勝つというのはプロレスと同じですね。それは、SKE48に染まりきっていない世代の私たちだからできることだと思います」

 青海はSKE48のことをほとんど知らずに加入した。ときは2018年。48グループへの合格を夢見る若者は、熱烈なファンがほとんどだった。そんななか、青海はSKE48を人生の進路として選択した。「ひな乃が踊っている姿を見せたら、お父さんが喜ぶんじゃないか」と兄に背中を押された。その時、父は脳梗塞で倒れていた。今年5月、青海は家族をSKE48劇場に招待し、晴れ姿を見せた。涙が止まらない父に娘はステージからレスを送った。娘ができる最高の親孝行だった。

 14周年コンサートでは、ある発表があった。12月18日に東京・中野サンプラザで「新世代コンサート」を開催するという。これは1年前にも行われたもので、今年は8期生が不参加。青海率いる9期生以降のメンバーが出演する。先輩の手を借りず、若手だけでやってみろ。運営からそう通告されたに等しい。

青海「去年までの私たちは、コンサートの準備は先輩方に任せきりで、『はい』以外に言うことはありませんでした。初めて若手だけに任せていただくことに不安があったけど、『新世代だからってなめんなよ』という気持ちで挑みました。SKE48の未来は明るいと思ってもらわないと意味がないですから」

 去年のコンサートで中心に立っていたのは、8期生の野村実代、9期生の青海、10期生の林美澪だった。今年は8期生がいない。リーダーシップをとるのは立場的にも性格的にも青海になる。

青海「私がグループを引っ張りたい気持ちになったのは、去年の新世代コンサートからでした。前に立たせてもらったし、その後、カップリング曲のセンターにもなったし、Team S新公演のセンターも任せていただけました。あれから私は積極的に発言するようになりました。人任せじゃダメなんです」

 言いたくないことも言わなくてはならない。中心に立つ者の宿命だ。青海にはそれができる。今年5月、Team Sの新公演が始まる前のレッスンで、青海はチーム全体に喝を入れた。

青海「その日は『今日は大きな声で歌おう』ってみんなで決めてからレッスンに入りました。みんなで決めたことだから、私は大声を出していた。なのに、後ろから聞こえてくる声は小さい。ムカつきながら踊っていました。レッスン後、我慢できなくてみんなに言っちゃいました。『なんで大きな声出さないの? 話し合った意味ないやん』って。私がそう発言したことでメンバーはぶつかりました。みんな、それまで遠慮して言わなかったことを口にしました。その結果、Team Sの雰囲気は変わりました。遠慮がなくなったんです。誰かが動けば、みんな動いてくれるんだっていうことを知れました」

 シングルでも、チームでも、若手というくくりでも、青海はメンバーに背中を見せる存在になった。SKE48に関する知識は何もなかったが、今ではどっぷりグループに首まで浸かっている。

青海「自分が売れたいとかじゃなくて、私はSKE48をもっと知ってほしいんです。モデルになれる子もいるし、めっちゃ面白い子もいます。逸材だらけなんです。それを広めるきっかけをみんなで作っていきたいです」

 青海は時代の旗手となれるのか。“超世代”宣言をしたその日から連続ドラマは始まっている。

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