スペースXは日本時間2022年8月31日、同社の「ファルコン9」ロケットの打ち上げに成功しました。ファルコン9には「スターリンク衛星」46機が搭載されており、無事に所定の軌道へ投入されました。このミッションにより、スターリンク衛星は合計で3208機(2022年8月31日時点、プロトタイプを含む)打ち上げられたことになります。


【▲ 米国カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられたファルコン9ロケット(Credit: SpaceX)】


46機のスターリンク衛星を搭載したファルコン9ロケットは、日本時間2022年8月31日14時40分(米国太平洋夏時間2022年8月30日22時40分)、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられました。打ち上げから約2分半後、第1段は予定通りエンジンを停止して第2段と分離。打ち上げから約1時間後、スターリンク衛星はロケットから無事に分離されました。


また、打ち上げから約8分後、ロケットの第1段機体はドローン船「Of Cource I Still Love You」への着陸に成功しました。ファルコン9の第1段機体は今回で65回目の連続着陸成功を記録し、着陸回数は合計で139回となりました。


今回使用されたファルコン9の第1段機体は、今回で7回目の打ち上げと着陸に成功しています。最初の飛行は2020年11月に実施された地球観測衛星「Sentinel-6」の打ち上げで、その後は2021年11月に実施された小惑星探査機「DART」の打ち上げ、4回のスターリンク衛星打ち上げに使用されてきました。この機体が最後に使用されたのは2022年7月11日のスターリンク衛星打ち上げミッションで、今回の打ち上げまでに51日しか経っていません。


【▲ ファルコン9ロケットの軌跡(Credit: SpaceX)】


スペースXが開発するスターリンク衛星は、同社の衛星インターネットサービス「スターリンク(Starlink)」で用いられる通信衛星です。スターリンクでは小型衛星を大量に打ち上げる「コンステレーション」方式が用いられており、衛星を運用する軌道は高度や傾斜角の違いによって「シェル1〜8」の名称が付けられています。


今回のミッションで打ち上げられたスターリンク衛星が投入される軌道は、「シェル3」と呼ばれています。衛星群は軌道傾斜角97度・高度321km×307kmの初期軌道に投入されたのちに、数か月かけて軌道傾斜角97度・高度560kmの軌道へ上昇し、運用を行います。シェル3には合計348機のスターリンク衛星が投入される予定で、2022年度末までに打ち上げが完了すると予測されています。


そして、スターリンクについての最新情報が伝えられています。現地時間2022年8月25日、スペースXのイーロン・マスクCEOと大手通信会社T-Mobileのマイク・シーバートCEOは、次世代のスターリンク衛星は最新の携帯端末と直接通信できるようになると発表しました。今後の情報に注目です。


 


参考記事:スペースX、スターリンク衛星を「シェル3」軌道へ46機投入 総数は3208機に(2022年8月31日)


Source


Image Credit: SpaceXSpaceflight Now - SpaceX closes out quartet of Starlink launches from VandenbergNASASpaceFlight.com - SpaceX nails 150th Falcon recovery attempt on Starlink Group 3-4

文/出口隼詩