1928年10月1日の誕生以来、ウォルト・ディズニー・カンパニーの看板として活躍してきたキャラクターであるミッキーマウスが、95年を経て、著作権切れの時期が2024年に近づいています。

Mickey Mouse could soon leave Disney as 95-year copyright expiry nears | Walt Disney Company | The Guardian

https://www.theguardian.com/film/2022/jul/03/mickey-mouse-disney-copyright-expiry



In 2024, Mickey Mouse will enter public domain - will this actually happen, and how will it affect Disney? - Quora

https://www.quora.com/In-2024-Mickey-Mouse-will-enter-public-domain-will-this-actually-happen-and-how-will-it-affect-Disney

直近で著作権が切れた有名キャラクターといえば、2022年1月の「くまのプーさん」の事例があります。格安SIMで知られるミント・モバイルは早々にプーさんの好きなハチミツ(honey)をお金(money)に読み替え、3カ月無料で使えるSIMを宣伝するCMを制作しました。



また、リース・フレーク・ウォーターフィールド氏が監督・脚本を務める「Winnie the Pooh: Blood and Honey」というホラー映画も作られています。この作品は、クリストファー・ロビンに捨てられたプーとピグレットが血まみれの殺人に走るという内容だとのこと。

'Winnie the Pooh' Horror Movie 'Blood and Honey' Explained by Director - Variety

https://variety.com/2022/film/news/winnie-the-pooh-blood-and-honey-director-1235278405/



しかし、「著作権が失効したからといって、一切の制限がなくなるわけではありません」と注意を呼びかけるのは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校ロースクールのドキュメンタリー映画リーガルクリニックのアソシエイトディレクター、ダニエル・メイダ氏。

ウォーターフィールド氏のようなアーティストが昔のキャラクターのベースに作品を作るとき「一線を越えないことが大事」で、ディズニーの一部と認識されているキャラクターの場合、部分的にはアーティストが手が出せない部分があり、たとえば、まるでディズニーと関係があるかのように思わせてしまうと、法的な影響を受ける可能性があると指摘しています。

このことはウォーターフィールド氏も認識しているとのことで、ディズニー著作権はどうなっているか、線引きはどのあたりにあるのかをしっかり調べ、あくまで「Winnie the Pooh: Blood and Honey」が著作権の切れた1926年版の絵本にしか基づかないことことを確認するためできる限りのことをしたとのこと。このため、1929年発表の「プー横丁にたった家」から登場し、まだディズニー著作権のあるティガーは登場しません。ウォーターフィールド氏は「誰もこの映画をディズニーのものと勘違いすることはないはずだし、予告編や場面写真を見て、子ども向け作品と思う人もいないだろう」と述べています。

ディズニーとアメリカの著作権法の関係は深く、著作権局のトップであるスザンヌ・ウィルソン氏は、かつてウォルト・ディズニー・カンパニーの副顧問を10年近く務めた人物です。しかし、これまでに「ミッキーを守るため」とウワサされる著作権法の改正が何度も行われてきたものの、さすがにもう行われることはないとメイダ氏は指摘しました。

Q&Aサイト・QuoraではSF作家のローレンス・ワット=エヴァンズ氏が、ミッキーマウスの初出作品である「蒸気船ウィリー」はこのままいけば2024年1月1日をもって著作権切れとなるため、「蒸気船ウィリー」版のミッキーマウスの姿は使えるようになるものの、「ミッキーマウス」という名前はディズニーが商標登録しているため、その名前で呼ぶことはできず、また、まだ著作権の残る他作品を利用することもできないと言及。すでにディズニーにとってミッキーマウスは「船首像」のようなもので、すでに大金をもたらす存在ではなくなっているため、今後は著作権ではなく、商標で対応していくつもりなのではないかという見方を示しました。