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そろそろ古巣からのアプローチも考えていい頃!

2日に行なわれたプロ野球中日ドラゴンズVS阪神タイガースの一戦で、胸にグッと来るような場面を見ました。あの清原和博さんが11年ぶりとなる始球式に登場し、バンテリンドームのグラウンドにユニフォーム姿で立ったのです。清原和博がプロ野球公式戦のグラウンドに立つ。果てしなく長い千里の道の途中に過ぎない一場面ですが、何里目かを示す塚を通り過ぎた……そんな思いで胸が熱くなりました。

↓中日のユニフォームも着ればそれなりに似合う!


2016年に覚せい剤取締法違反で逮捕され、懲役2年6ヶ月執行猶予4年の有罪判決を受けた清原さん。2020年6月にはその執行猶予も満了し、新たなスタートラインに立ちました。2020年12月に自身のYouTubeチャンネルを開設すると、日々の投稿と野球に関する論評を重ねる日々。やがて、周囲の視線も「清原はやっとる」から「清原はようやっとる」へと少しずつ軟化していきました。

2021年7月に約11年ぶりにプロ野球公式戦の解説に復帰すると、そこからはポツリポツリと、ただし途切れることなく野球解説の仕事もいただくようになりました。テレビ地上波でのスポーツニュース生放送への登場、そしてPL学園時代の後輩・立浪和義さんが中日ドラゴンズの監督に就任したことをきっかけとした中日キャンプへの訪問。中日のキャンプでは、現役選手に「打撃指導」を行なうなどじょじょに野球人としての復帰へ近づいてきた清原さん。それが、ついに公式戦の舞台に立ち入る日を迎えたこと、小さくて大きな一歩だなと思います。

↓中日キャンプに向かう途中では人命救助にあたるなど大わらわの一日でした!


「キャンプ行かなアカンねん」「大事なキャンプやねん」「すまんの」とはならないのが男・清原!

何十年経っても慕ってくれる後輩がたくさんいる、そんな人物です!

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2日の始球式で清原さんが登場したとき、場内は大きなどよめきに包まれていました。それは決してネガティブなものではなく、前向きな喜びを感じさせるものでした。「例の清原が来た」ではなく「あの清原和博さんが来た」という反応に見えました。それは本来そうあるべきだった、偉大なプロ野球選手を迎えるときの反応でした。

仕切りのラインをしっかりと見据えてグラウンド内へと入っていく清原さん。マウンドに敬意を示して、あえてマウンドには登らず、マウンドの下に位置取るような配慮も見せています。そして、ユニフォームには「KIYOHARA」ではなく「AKRACING」のネームと「2022」の背番号。

このネームは、この日の試合の冠スポンサーをつとめるテックウィンド社が販売するゲーミングチェアのブランド名です(※AKは清原亜希のイニシャルではない)。中日の立浪監督がこちらの会社のブランドアンバサダーに就任することと同時に、提供試合の開催と清原さんの始球式登場などが一気に発表された今回の動きの背景には「人の想い」があったんだろうなと感じます。誰かが、誰かを助けたいと強く思い、人と人とのつながりをたどって、その実現への道を切り開いたのだろうと。

その意味ではネームが「KIYOHARA」ではないことも、その道を進みやすくする配慮のようにも思えてきます。別の日の提供試合でもネームにはやはりブランド名が入っていたりはするので、いつもと同じと言えば同じなのですが、KIYOHARAと入れる選択肢も思い浮かべつつ、あえて選ばなかったのかななどと思うわけです。中日さんや立浪さんが清原さんを呼んだわけではないんですよ、冠スポンサーの私どものほうで指名して選んだ私どもの代表なんですよという建付けとして。

この建付けであれば球団側としては少々のためらいがあったとしても、スポンサー側の代表ということですので拒む筋合いもないでしょう。現在の清原さんは社会復帰を果たした野球解説者・人気YouTuberですので、もとより拒否するような筋合いはないわけですが、刺激はなるべく少なく、一歩ずつ前に進むのがよいだろうと思います。一度に何歩もではなく、一歩だけをしっかりと進める、そんな配慮のように感じました。

↓野球界で椅子と言えばAKRacing!里崎チャンネルなどでもおなじみのあの椅子です!

「里崎がいつも座っているあの椅子」というのが宣伝になるのかはよくわからないですが!

そのうちスタンドの椅子もこれにしてほしいですね!



清原さんが投じたボールは、マウンド下からなので距離は短く球速も59キロと遅いものの、ストライクゾーンにしっかりと向かっていく、さすが元・名選手というナイスピッチングでした。記念のボールは、立浪監督がサインを入れてから清原さんに戻すという粋な計らいも行なわれており、高校時代からの長い絆と友情を感じさせます。

さらに、始球式後に清原さんが語ったところでは、ウォームアップのキャッチボールは中日スタッフの平沼定晴さんと行なっていたと言います。平沼さんと言えば、清原さんが試合中の死球に激高し、ヒップアタックを繰り出した相手投手です。きっかけは乱闘であったかもしれないけれど、そこから始まった交流が30年後の今も「頑張れ」という思いとなってつながっている。いい話じゃぁないですか。

↓今見るとここから「いい話」にはなりそうもないバトルだが…!


意外に正確にマウンドに向かうバット!

両者が互いにダッシュする好戦的姿勢!

ヒップアタックで空中に浮く平沼投手!

一目散に逃げる清原とタックルするディアス!

最近の選手からは想像できない昭和の野球観!



中日球団としては清原さんへの思い入れは取り立ててないだろうと思いますが、何人かの人の想いが集まれば、こうしたことも起きるのだなと思いました。そして、こうやって誰かが少しずつ前進させていくことで、一番及び腰になっている古巣にも清原さんへの向き合い方を変える機会が生まれればいいなと思います。

埼玉西武ライオンズが球団の歴史を振り返るとき、清原さんの名前は基本的に外されています。過去の名選手を振り返ったり、名選手で電車を装飾したりするときも清原さんはそこにはいません。当時の報道写真を飾るときでさえも、清原さんがなるべく目立たないカットを選んでいます。西武ドームにあるラウンジには栄光の選手たちのユニフォームも飾られているのですが、僕が見た際にはそこに清原さんのユニフォームはありませんでしたし、きっと今もないでしょう。有り体に言えば清原さんは「なかったこと」にされています。

中日のユニフォームを着た清原さんが始球式に登板した日も、西武の歴史から清原さんは「なかったこと」にされている。なかったことにしてしまえるような小さい存在ではないはずなのに、そうすることができてしまう。巨人やオリックスにとっては、言うてもヨソから移籍してきた選手に過ぎないわけですが、西武が「なかったこと」にできてしまうのは冷たい話だなと思います。「選手が何故か出ていってしまう」ことと「かつての選手をなかったことにできてしまう」こととは、深ーいところでつながっているのではないかと僕は思っています。

いいときだけ発揮されるものは愛ではない。

愛がなければ人の心は動かない。

ふたつはつながっているものだろうと。

立浪監督が特別に強い個人的な思い入れを持っているから起こったこの出来事。立浪監督の思い入れだけで、はたしてどこまでの道が切り開けるものかはわかりませんが、一度切り開いた道でも放置すれば草が茂ってまた通りづらくなります。せっかく誰かが切り開いた道です。その後ろを誰かが通ってこそ切り開いた甲斐もあるというもの。

「中日さんでやってたんで大丈夫だと思いました」「中日さんがしっかり確かめたんだと思いました」「中日さんが呼んでるんだから問題ないだろうヨシ!」くらいの気持ちで責任を押しつけてもいいんじゃないでしょうか。立浪監督としても大いに望むところでしょう。中日と立浪監督がやってくれていることをありがたく思って、西武にもぜひ後ろから美味しくつづいてほしいものだなと思います!

↓KIYOHARAを着てグラウンドに立つ日を、西武が迎えさせるチャンスはまだある!

「西武球場に背番号3、KIYOHARAが帰ってまいりました…」から始まる始球式!

「中日がやったからヨシ!」と言い張れる間にご検討ください!


始球式、イベントゲスト、巡回コーチあたりはイケると思います!