プレミアムJIS構想に賛同いたします!/野町 直弘
先週火曜に発行された、岩城真さんのメルマガ「グローバル調達とものづくりのリアル」の776号で、『提言:日の丸製造業を復活させる「プレミアムJIS」構想』という投稿がありました。
執筆者のZhenさんは、岩城真さんという方で、長い間バイヤーをご経験され、特に中国調達については、多くのご経験や成功例を持たれていらっしゃる方です。
私は、購買ネットワーク会でお会いさせていただき、歳が近いこともあり、今でも懇意にさせていただいてます。
以下、岩城さんのメルマガから、抜粋要約しましょう。
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世界の中での日本製造業のポジションは、近年低下しているが、技術力そのものが低下している訳ではない。
日本製造業は、「日本品質」といった高品質を武器にしているが、「日本品質」そのものが、曖昧なイメージにすぎず、品質の高さがB2Bの購買行動にはつながっていない。
しかし、今ある日本の技術力の価値を最大にすることはできる。
それが「プレミアムJIS」構想である。
現在、JISは最低限のラインであって、JISを満たしているなど、あたりまえで、JIS規格外品は、粗悪品を意味する。
しかし、実際の日本製造業の技術では、例えば、鋼材に含まれる有害元素の含有量をJISでは1%以下と定めていても、0.3%程度に抑制できる。
それであれば、「0.3%以下」といったプレミアム規格を追加すべきではないだろうか。
実際、バイヤー企業にとって「0.3%以下」の高品質が必要であれば、独自の取り決めで発注している。この種の細部のすり合わせの蓄積が、「日本品質」に繋がっているのだか、最終顧客には可視化されず、イメージにしかすぎない。
「プレミアムJIS」はこのような日本品質を明確化、標準化するものであり、曖昧なイメージであった「高品質」を証明する規格となり得る。
日本のサプライヤは、カスタム対応を売りにして、高付加価値化してきた。今までは、その戦略が、発注側の日本企業のニーズともマッチしたのかもしれない。
また、発注者優位の日本市場では、サプライヤが主導して規格を定める環境ではなかったのだろう。
一方、相対的にサプライヤの立場の強い欧米市場では、サプライヤが、自社の技術水準とマーケッティングの最大公約数から設定したサプライヤ規格品の販売に注力するケースが多い。
結果的に欧米サプライヤの標準を受け容れると、効率的に生産された部品は安価で、かつ昨今の調達難時代でも、同一規格部品が複数拠点で生産されているため納入安定度も高いメリットを享受できる。
こういった環境下、「プレミアムJIS」といった規格で「日本連合」を束ねることで、結果として、日本製造業を復活させることは十分に可能だ。
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と言った内容です。
私も大学を卒業して以来、日本の製造業を中心に、特に調達購買部門のご支援を約35年ほど続けてきました。
JISというと当たり前の規格であり、戦後の復興期に粗悪品を排除するための規格であったと記憶しています。その後米国から導入したQC活動や、業務全体に範囲を広げたTQC活動などに拡大していきました。
このように日本の製造業の品質に対するプライオリティや、品質の維持に対してかけてきた労力やコストは多大なものだったでしょう。
近年、少なくない企業で、検査や品質に関する不祥事が取り沙汰されていますが、そのような
企業は一部であり、大手から中小企業に至るまで、日本製造業のQCDのQ(品質)重視の姿勢は、変わることがありません。
一方で、一般的なこの高品質を差別化する手立てが今まではなかったのです。もしくは、それを作ろうとしてこなかった、ことも事実でしょう。
日本企業は従来ブランディングが下手、とよく言われます。その典型的な事例が、この日本企業の高品質を可視化できておらず、明確な差別化ができていないことが、上げられます。
「日本の製品は長持ちする」「やはりXXはMade in Japanに限る」なんていう発言をよく聞きますが、これらは、過去においては神話にしか過ぎず、現代にいたっては都市伝説とか、迷信レベルの話でしか過ぎません。
「プレミアムJIS」構想は、日本製品や日本企業の高品質のブランド化、そのものと言えるでしょう。
昨今、SDG's、ESG投資、カーボンニュートラル、などのキーワードが当たり前のように企業活動の目的になりつつあります。日本では大手企業を中心に、これらの取組みについては、周りを見つつ、対競合で、先んじて取組み、各企業毎のブランディングにつなげようとしています。
このような取組みも、必要不可欠ではありますが、従来の日本の製造業の強みであり、唯一の
(といってもよいのでは)競争優位である、高品質をブランディングしない手はありません。
そして、それを可能とする「プレミアムJIS構想」に私は賛同致します。
読者の皆さんにも「プレミアムJIS構想」に賛同いただくと共に、ムーブメントにつなげていくための発信、共有を、積極的にしていただければ幸いです。