※この記事は2019年04月26日にBLOGOSで公開されたものです

例年、GWや夏休みになると遊園地や商業施設の盛り上げ役として引っ張りだことなるヒーローショー。今年は史上最大の10連休で、ヒーローショー業界に仕事の依頼が殺到し、悪役不足が起きたりしないのだろうか。

子ども達の笑顔が守られるか心配になった我々はヒーローショーの悪役を専門に事業展開する「株式会社 悪の秘密結社」の新オフィスに潜入し、代表・笹井浩生氏に話を聞いた。【BLOGOS福岡編集部 中田凌子】

去年のGWと比べて仕事の依頼が3倍以上に

ーー今年のGWは10連休となりましたが、去年のGWと比較して仕事の依頼は増えましたか。

去年のGWの依頼は全体で7件でした。今年は現時点でヒーローショーは11件、多い日は1日で3件ショーが入っています。キャラクターのグリーティングや、ヒット住宅展示場さんでのゴーカートイベントなどを含めると22件依頼をいただいているのですが、まだまだ増える見込みです。

予算が追加で入って急遽ご依頼をいただくパターンと、10連休に向けてギリギリで予算を調整していただけるパターン、この2種類の企業・施設さんが多いからです。

ーー1日3本は大変ですね。。。

日数に比例してヒーロー達の出動数も増えたことで、現場を支えるスタッフの人手不足を懸念する声を業界内で多く聞きますし、私達もそれを肌で感じています。毎年GWは繁忙期ではありますが、今年は世間が10連休なのでスタッフも休みをとりたい人が多いからです。

また、「悪の秘密結社」は戦うヒーローによって毎回台本が変わるので、昨日の台本は忘れないといけないという大変さもあります。

悪役不足の対策は手厚い「福利厚生」

ーー悪の秘密結社さんも悪役不足になる可能性はありますか。

給与面や保障内容を手厚くするなどの対策を講じているので、現状では悪役の確保ができています。それでも、GWだけで20体以上いる悪役がフル出動するので、死ぬほど忙しくなると思います(笑)

ーー傾向としてはどういった仕事の依頼が多いでしょうか。

近年、ヒーローショーをすることで、お客さんや施設さんに何を与えることができるのか?というのが我々の業界に問われている気がします。ショーで集客をしても、再来場や購買に繋がらずに悩まれている施設さんが多いからです。昔と比べて喋れる怪人が減ってきているのも理由の一つだと思います。しかし、「悪の秘密結社」には喋れる怪人が数体いるので、そこで施設のPRや、キャラクター達によるグリーティング、アクション練習会、ヒーローのお面を作るワークショップなどができます。

ですので、このGWはそういったステージとお客さんの境目をなくすようなイベントが多い傾向にあります。保護者の方と子どもさんが思い出をつくる機会になれば良いなと思います。

怪人を殴れば1880万円の損害賠償

ーーTwitterでキャラクターを殴った場合の通告書がバズっていましたね。

ゆるキャラが殴られたり、いたずらをされたりして悲しんでいるツイートを度々見かけるので、本物の弁護士に「悪の秘密結社」社長のヤバイ仮面を殴った場合の損害賠償請求書を作成してもらいました。

ーー1880万円!

あくまでもヤバイ仮面の場合なので、有名なヒーローやキャラクターだともっと高額になります。

子どもが悪役を殴るようにけしかける保護者

ーー怪人がヒーロー以外に殴られることはよくあるのでしょうか。

悲しいことに、保護者がお子さんをけしかけている場面をよく見ます。私達は悪役なので「次は法廷で会おう!」などと冗談交じりで注意することができるのですが、ヒーロー達は絶対に言えない。ヒーローやかわいいキャラクター達が言いにくいことを代弁することも我々、悪の秘密結社の仕事の一つと考えております。GWは多くの方がキャラクターと触れ合う機会ですので、優しく接してほしいです。

ーーもし悪役に10連休があったら何をしたいですか。

これまでの悪事を振り返り、社員教育をしたいです。働き方改革に伴って事業編成を行い、業務の効率化を図っていきたいと思います。

--最後に、GWのヒーローショーを楽しみにしている子ども達に一言お願いします!

「昨今の日本のGWは暑い、帽子を持ってくるのだ!!」By ヤバイ仮面社長