ビジネス・パーソンのための時間管理 「スケジューリング」のポイント管理/フランクリン・ プランナー
「目標を達成したい」「何かにチャレンジしたい」など、これまでにない結果を出したいと考えるならば、実際に実行する必要があります。また、変化の激しいこの時代に、成果を出し続けていくためには、絶えず成長を続けなければならず、成長のための活動(行動)も必要です。
そして、その「実行」や「活動」を現実にするには、あらかじめ計画するという「スケジューリング」が必要となります。
「時間があったらやってみたい」「余裕があれば勉強したい「一段落したら取り組もう」という考え方では絶対に実現しないことは、誰にでも経験のあることでしょう。
吉田松陰も語るように、「計画なくして実行なし」なのです。
準備、備えを徹底する
ではどうすれば、効果的なスケジューリングをすることができるのでしょうか。
スケジューリングを行う上でポイントのひとつは、「準備、備えを徹底する」ことです。
日々緊急事態やアクシデントは日常茶飯事のように起こっている人も少なくないと思いますが、そうした突発的な事故やトラブルは実は事前の準備で防げたものが多いはずです。
具体的には、1週間の計画を立てる際、前後4週間程度の活動や予定、クロージングを控えている案件、進行中のプロジェクト、日時の決まっているルーティンワークを確認し、それぞれの活動に対するフォローや準備として必要なことはないか、前後の活動の流れのなかで考えることがとても重要です。
先週、企画案やプレゼンテーションを行ったならば、当然その修正案の指示や次のステップに向けたミーティングが行われる可能性は高いでしょうし、来週、上司とのミーティングが控えているならば、そろそろ準備にかかる時期でしょう。
営業職の人であれば、特に、2〜3ヶ月先を見据えた提案の準備や信頼関係のための活動が必要となるはずです。
また、家族とどこかに出かける予定があるならば、時間や準備物の確認も必要でしょう。
先週のあなたのスケジュールを振り返ってみましょう。おそらくほとんどの人の予定は、「営業会議」「生産会議」「A社田中さんミーティング」「B社来社」「東京駅発」など、あらかじめ決まっていた予定が単発で書かれている(入力された)のみのはずです。それぞれの活動の結びつきや、準備のために自ら時間を割いた計画が入っている人は、あまり多くないでしょう。
スケジューリングを行う際には、前後の活動との関係のなかで、活動を計画するようにしましょう。
このときに注意したいのが、私たちの仕事の結果の大半は、人間関係のなか、コミュニケーションにおいて生み出されます。ですから、仕事上、大切な人が自分に対して求めていることに応えられているか、不足していることはないかを念頭におきながら、行動計画を立てることが重要です。
成果を追う活動だけではなく、能力開発の時間もスケジューリングする
スケジューリングでもうひとつ重要なことがあります。目標を達成するということは、これまでにできなかったことを成し遂げるということですから、あなた自身の能力を伸ばす活動が目標達成には必要だということです。
「7つの習慣」では、「P/PCバランス」(PはProduction、PCはProduction Capability、目標達成と目標達成能力)として、目標の達成ばかりを追い求めるのではなく、能力を伸ばす活動とのバランスが必要だとしています。
(能力開発ばかりして、アウトプットがないのも問題ですが)
普通に考えれば、同じスキルと知識からは、同じ結果しか生まれません。
スポーツ選手が日々鍛錬を積むのは、違った結果を出すために、自分の能力を磨いているわけです。
ところが、ビジネスの世界では、なぜか能力開発の活動は激減します。比較的時間のあった若いころは、定期的に通っている英会話スクールや、セミナーなどがあったかもしれませんが、こうした活動は徐々に少なくなっていくものです。
もう一度、先週のあなたのスケジュールを振り返ってみましょう。
あなたが意識的に、自分の能力開発のために計画した活動がどれだけあるでしょうか。
会社から与えられた研修時間や、指示された業務をこなすための知識やスキルの修得の活動はあるかもしれませんが、自ら計画した活動が入っている人は多くないでしょう。
会社から与えられた研修だけではなく、できれば、自分の将来の目標や、これを身に付ければ現状の仕事が大きく変わると思えるような活動を、せめて1週間に1〜2時間は意識的に入れるようにしましょう。
すぐに結果が出るものではありませんが、1年、2年の積み重ねで、あなたの能力は飛躍的に高まっているはずです。