●『卒業タイムリミット』1週目を鑑賞し手応え

特撮ドラマ『ウルトラマンタイガ』(19)で注目された新進若手俳優の井上祐貴が、NHKで新設された15分ドラマ枠「夜ドラ」(月〜木曜22:45〜)の第1弾『卒業タイムリミット』(4月4日より放送開始)の主演に抜てきされた。原作は辻堂ゆめの氏による青春ミステリー小説で、予断を許さないジェットコースター的展開が話題を呼びそうだ。井上を直撃し、本作に懸けた思いを聞いた。



卒業式を3日後に控えた欅台高校で、生徒に人気の美人英語教師・水口里紗子(滝沢カレン)が誘拐される。黒川良樹(井上祐貴)ら4人の生徒の下に届いた差出人不明の挑戦状には「誘拐の謎を解け。真相は君たちにしかわからない」とあった。72時間以内に救い出さなければ、水口の命はないとのことで、黒川と他3人の生徒たち(桜田ひより、西山潤、紺野彩夏)は、その謎を解いていこうとする。

夜ドラ1本目の主演決定を受けて井上は「とても嬉しい気持ちと同時に身の引き締まる思いでいっぱいになりました」とオフィシャルコメントを出していたが、そのプレッシャーを切り替えられたのは、クランクイン当日だったと言う。

「今まで台本でしか見たことのないキャラクターたちと実際にお芝居することで、ようやく役が少しつかめた気がしました。よしやってやる! というスイッチが入ったんじゃないかなと思います」

1話からいきなり教師の誘拐事件が起き、学校にも不穏な空気が流れるなか、犯人から黒川たちの下へ、次から次へと挑戦状が届く。かなり濃厚な15分という印象で、一度観始めたらノンストップで観続けたくなりそうだが、井上も脚本を読んだ時に「面白いのはもちろんですが、とにかく次が気になり、どんどん読み進めたくなりました」と夢中になったとか。

そして完成した1週目の4話分を観たあとは「映像が繋がり、そこに音楽が加わったことで、テンポ感良く物語が進んでいきます。そのなかに大事な要素がたくさん散りばめられているので、あっという間の15分でした。完成したものを観た時も、間違いなく面白いと思いました」と手応えを口にする。

黒川役を演じる上で監督からどんなリクエストが入ったのかと尋ねると「たくさんあります」と言い、「常に言われていることは、命がかかっているという物語で、黒川は先頭を切って真犯人に近づこうとするから、芯の強さというか目の強さを出せるように、ということでしょうか。ここはやるぞ! と決めるシーンなどでは、今からこいつは絶対に何かしようとしているなという緊迫感が緩まないようにしてほしいと、1週目の撮影で言っていただいたので、そこはずっと意識して演じてきました」と明かした。

●体力と気力を使うドラマ「だからこそ面白い」



挑戦状を受け取ったのは黒川を含め、サッカー部でスポーツ万能の荻生田隼平(西山潤)、校内ミスコングランプリの美少女・小松澪(紺野彩夏)、黒川の幼なじみで学年一の秀才・高畑あやね(桜田ひより)の4人だ。なぜ彼らが選ばれたのかは、誰もわかっていないようだ。

4人のチームワークについて聞くと「荻生田役の西山潤くんが完全なるムードメーカーとして立ってくれていますので、僕はそこに井上というよりは黒川として、いい意味で身を任せている感じはあります。荻生田も潤くんも共にはっちゃけていて、キャラクターがすごく似ているので、そこに女の子2人も一緒になってつっこんで笑いが起きたりしているような現場です」と、同世代の若手陣との共演を楽しんでいる。

黒川は元不良で友だちが1人もいないという設定だが、そのバックグラウンドは回を追っていくと少しずつ明かされていくそうで「黒川の過去はもちろん期待していただきたいですが、2週目からは、黒川たち4人だけではなく、先生たちも含めて、それぞれのキャラクターがだんだん深掘りされていきます」とのこと。

15分枠のドラマならではの魅力については「展開が早いこと」を挙げる。「卒業式前の3日間のお話なので、本当に分刻みで物語が動いていきますが、そのなかでいろんな情報が出され、変動が激しいです。2話以降、真犯人かもしれないと思える人が何人も出てくるので、そこを見逃してほしくないです」

また、このドラマならではの大変さについて聞くと「先生が誘拐され、そこからお話が始まっていくので、やはり命がかかっているということが一番、大きいです」と述懐。

「たった3日間の話ですが、どのシーンでも常に緊迫感があり、それなりの体力と気力を使うという点でしょうか。でも、そういうドラマだからこそ面白い。また、ちょっとしたところで、クスッと笑えるところもあります。特に萩生田というキャラクターはそこを担っているのではないかと。また、2週目以降、豪華なゲストの方たちが登場するのも見どころとなっているので、そこもぜひ楽しみにしていただきたいです」

まだ、豪華ゲストの名前は明かせないとのことだが、かなりのビッグネームとのことで大いにそそられる。1週目を試写で観ただけでも、存分に引き込まれるミステリーになっていたので、観始めたら離脱することなく楽しめそうな予感。NHKの気合十分の夜ドラに注目だ。

■井上祐貴(いのうえ ゆうき)

1996年6月6日生まれ、広島県出身。2017年に、第42回ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞し、同年にホリプロに所属。2018年、ミュージカル『ピーターパン』で海賊マリンズ役として俳優デビュー。2019年7月、特撮ドラマ『ウルトラマンタイガ』で工藤ヒロユキ役としてテレビドラマ初主演を果たす。映画は『劇場版 ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(20)、『NO CALL NO LIFE』(21)、『Bittersand』(21)で主演を務めた。

衣装:パンツ・ジャケット=JOYEUX/CONFIANCE Tシャツ=JOYEUX/Ohal