特集です。

LRT開業まで1年という話題です。宇都宮市と芳賀町が整備を進める次世代型路面電車・LRT。開業はもともと今頃でしたが地盤の改良工事やコロナの影響があって1年開業が伸びてしまいました。

JR宇都宮駅東口を起点に芳賀・高根沢工業団地までの14.6キロ。19の停留場が設けられています。気になるのは運行間隔ですがピークには6分間隔、日中などのオフピークでも10分間隔とそれほど待たずに乗れます。

全線の所要時間は普通で44分、運賃は150円から400円。

現地の整備状況を取材してきました。

車両は全部で17導入されますが現在は11編成あります。黒と黄色のスタイリッシュなデザインでライトラインの愛称がついています。

今週、車両基地では車両の修理を行う検修庫が完成しました。さらに中には22日納入されたばかりのピカピカの車両が。

車両に入ります。広い、明るい、窓が大きい。床のデザインは大谷石。椅子は固めでフィットします。

車両の導入を担当する宇都宮市LRT整備課の北岡勇介さんに聞きました。

宇都宮市LRT整備課 北岡勇介さん:「低床車両の最大級の広さ。ICカードですべての扉から降りられる。担当者としてもわくわく感はある。皆さんに早く乗ってもらいたい」

ICカードがあれば全てのドアから乗り降りできます。もちろん現金での運賃箱も先頭車両についています。

車両現地説明会を開くと皆さん「早く乗りたい」と話すそうです。

では地元の人の思いはどうか。LRT構想は1993年に「勉強を進める」と始まって以来さまざまな道のりを経てきました

工事は地盤の改良などもあって1年伸びているのですがすべての区間で整備が進んでいます。

宇都宮駅東口ではホーム設置工事の真っ最中でした。驚いたのは周辺の再開発事業。ホテルやオフィス、病院などつい最近まで空き地であったのがうそのような光景で、さらに周辺に新しいマンションがたくさんできていました。

出来上がりが楽しみなのが道路に線路が敷かれること。実際に線路が敷かれるのは4月に入ってからになります。

最も重要なのがLRTとほかの交通との乗りかえが便利かどうかです。

トランジットセンターが5カ所設けられてバス、地域内交通、自転車の駐輪場も置かれます。すでに完成間近のところも。

LRTによって、整備の過程でも街が激変しています。市の最も東、芳賀町に接する「ゆいの杜」地区はLRT開業を見越して人口が急激に伸び3万人を超えました。

この地域の皆さんは清原地域振興協議会を立ち上げて交通渋滞の問題にも早くから取り組んでいました。

この中でLRT特別委員会の委員長も務めた82歳の石川裕夫さんに話を聞きました。

石川裕夫さん:「ゆいの杜のこの辺りに駅が。かなり便利になった。工事が進んで楽しみ。20年振り返ると夢の話が現実になった。」

ゆいの杜地区はつい最近まで畑、山林が広がり石川さんも栗畑を持っていました。

ゆいの杜小学校は市内で26年ぶりの新しい学校で700人近い児童がいます。ゆいの杜地区は子どもが多いと石川さんは話します。

清原地区の住民は地域振興協議会を中心に自分たちで街の課題解決に取り組んできたといいます。

福祉の基礎は「移動手段・足の確保」と話す石川さん。

様々な意見がある中で、ここまで街を変えてくれたLRT事業を住民から成功に導かないといけないと話しています。

  

石川裕夫さん:「1年後はゴールではなくスタート。ただ便利だけでなく足としてうれしいが起爆剤にしないといけない。できたよ、よかったね、終わりだねではいけない」