急病人や火災が発生したときの119番通報。焦っていると頭が回らなくなり必要な情報が伝えられないということは実際にあるといいます。

宇都宮市ではこうした状況でも的確に情報を伝えられるようになるシステムが導入され、試験的な運用が始まっています。

毎日、ひっきりなしにかかってくる通報の電話。

宇都宮市消防局の通信指令室には24時間、常に6人が配置され、市民からの通報に応じます。

宇都宮市消防局 林大悟消防士長:「年間およそ2万8千件、一日当たり80件の通報があります」

いざというときの119番。

しかし、実際に消防に通報したという経験はほとんどの人がないのではないでしょうか。

宇都宮市消防局によりますと、通報のときに気が動転しまう人もいて出動に必要な情報が把握できないこともあるといいます。

通報の再現:「火事です!」ガチャ

場所や状況を言わずに電話を切ってしまう人、電話を切らないと救急車が来られないと思い込み早く電話を切りたがる人…。

その都度、通信指令室では落ち着くように促しながら対応に当たっているといいます。

そこで、こうした状況の改善を図って通報の内容を的確に把握し、現場にいち早く到着できるよう宇都宮市では新たな設備を導入しました。

宇都宮市消防局 林大悟消防士長:「Live119というものです。簡単にいうと、通報者のスマートフォンのカメラを用いて現場の映像をこちらに送ってもらうというシステムになります」

通報した人のスマートフォンから映像を送ってもらうことで客観的な事実を把握することができます。

一方、通報した人は指示に従って画面を操作するだけで映像を送れるようになります。

言葉ではうまく伝えられない状況も映像なら一目瞭然。

さらに、同時に位置情報も送ることができるため、正確な現場を特定することも可能になります。

Live119は全国でも採用事例が少なく栃木県内の消防では初めての導入となりました。

宇都宮市消防局は3月まで試験的に使い、検証や改善を経て、4月から本格的な運用を始めるとしています。

宇都宮市消防局 林大悟消防士長:「課題はまだ認知度が低いということ。引き続き啓発に努め、また市民の安全安心のために取り組みを続ける」

利便性が高まった一方、利用者のモラルも問われます。

総務省消防庁によりますと「鼻血が止まらない」「指先を切った」など、緊急性が低いにもかかわらず救急車を呼んだ事例があるといいます。

緊急性の判断に迷ったときには、県が設けている電話相談窓口や消防庁が提供するスマートフォンアプリ「Q助(きゅーすけ)」を利用し、判断材料にしてほしいとしています。

救える命を確実に救うために。私たちも救急車の適正利用について考えなければなりません。

宇都宮市消防局によりますと、去年の救急出動件数は2万1,264件で過去3番目に多かったということです。

高齢化が進んだことや、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が考えられるとしています。

これは25分に1回の割合で出動している計算になります。

救急車は限りある資源。利用については一人一人が考える必要がありますね。そして一方、このところ県内各地で火災も相次いでいますよね。こちらも119番の際のポイントや火災予防について話を伺いました。

宇都宮市消防局 予防課 吉新託也消防士長:「」

火災予防については住宅用の火災警報器の点検を呼びかけるほか寝たばこを絶対にしないことやストーブ周りに燃えやすいものを置かないことなど四つの習慣を確認してほしいとしています。