自然を題材にした風景画、山水画をテーマにした企画展が日光市の小杉放菴記念日光美術館で開かれています。

中国から伝わった山水画は画家にとって理想的な風景を描いた作品と定義付けられています。

日本でも古くから描かれ、企画展では明治から大正、そして現代の画家の作品、およそ70点が展示されています。

中でも明治から昭和にかけて活躍した日光市出身の画家・小杉放菴はそれまで使われていた絹ではなく現在の福井県ですかれた麻でできた紙「麻紙(まし)」にこだわり、墨のにじみを生かした独自の山水画を作りあげました。

また一見、作品を読み解くのが難しい山水画ですが、こちらの作品には野を駆け回る豚とそれを追う人が描かれていて、戦乱や厳しい生活が強いられる中で当時の中国人が憧れた俗世を離れて山里に隠れ住む「隠逸(いんいつ)」の意味が込められています。

一方、こちらは日光市出身の洋画家、入江観さんの作品です。

実際にある日光連山を描いていて、理想の風景を描く山水画というよりも タイトルに具体的な地名を入れないことで普遍的、抽象的なものとする「山水の思想」に通じています。

この企画展は4月3日まで開かれています。