「夜間低血糖」を知ってますか? 飲酒時に気を付けたいあの症状とは

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 年が明けました。お正月は久々に会った家族や仲間と飲み交わしたという方も多いかもしれませんね。また飲んだ翌朝、起きようと思っても体が重だるくて起き上がれない。這うようにしてなんとか仕事に行っても、体がだるい。お酒好きの中には、こんな経験をした人も多いのではないでしょうか。

その原因は様々ですが、今回はその中から翌日の仕事に悪影響を与える「夜間低血糖」について「お酒の『困った』を解消する最強の飲み方」(青春出版社=溝口徹氏著)よりお伝えします。

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「お酒を飲むと爆睡できる」は間違い!?


そもそも夜間低血糖とは、飲んだ日の夜、寝ている時に低血糖になること。お酒を飲むと、糖新生という糖質以外の物質からエネルギーを作る流れがうまくいかず、低血糖になりやすくなる。それが寝ている間に起こるのが夜間低血糖というわけです。

夜間低血糖が起こると質の良い睡眠がとれないため、どんなにしっかり睡眠時間をとったつもりでも、疲れが取れないと感じたり、朝起きられないといったことが起きます。それにより、翌日の仕事のパフォーマンスに悪影響を与えるなど仕事に多くの支障が出てくることもあるでしょう。

よく、「お酒を飲むと爆睡できる」「気持ちよく眠れる」と思っている人もいますが、実はまったくの思い違いをしている可能性が高いです。もしかするとそれは、夜間低血糖になっているかもしれません。

酔っぱらって駅のベンチや道端で寝ている人もいますが、それもただ酔っぱらっているのではないかもしれません。

低血糖が起こり得る危険な状況は、体の中でアルコールを分解している間にずっと起っています。大量にお酒を飲んで寝ると、かなり長時間、低血糖のリスクにさらされていることになるのです。

夜間低血糖が起こると、交感神経が優位になります。

寝ているのに力が入ってこわばったり、歯ぎしりをしたりして、全く体は休まらない。中には朝起きると筋肉痛があるという人もいるほどです。

飲んだ翌日に疲れが取れない、体がだるい原因の一つが夜間低血糖なのです。

精神的にも影響が

2011年9月にヨーロッパの糖尿病学会で、重篤ではない夜間低血糖がある場合の個人の生活、健康などに及ぼす影響についてネット調査した報告がありました。

その結果は、大部分の人の睡眠の質に影響があり、13%の人は睡眠の途中で目覚めてしまう(中途覚醒)と、眠れなくなってしまった。

さらにその翌日には、22.7%の人が遅刻や終日勤務ができない状況になり、31.8%の人が会議や作業を休むなど、仕事への悪影響が出たといいます。

それだけではなく、低血糖そのものへの恐れや、「二度と目覚めることができないのではないか」といった恐れ、不安、罪悪感を覚えた人もいました。

体のみならず、精神的な影響も大きいのです。

以前お伝えしたようにお酒は体質的に合わない方もいます。

飲み過ぎには十分に気をつけながら、楽しい時間を過ごせるといいですね。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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『お酒の「困った」を解消する最強の飲み方』(青春出版社刊)

【著者】
溝口 徹(みぞぐち・とおる)

福島県立医科大学卒業後、横浜市立大学病院、国立循環器病センターを経て1996年辻堂クリニックを開設。

2003年には日本初の栄養療法専門クリニック・新宿溝口クリニック(現・みぞぐちクリニック)を開設。

精神疾患ほか多くの患者治療にあたるとともに、患者や医師向けの講演会も行っている。