白さ際立つHHKB Professional HYBRID Type-S雪|ベストバイ2021
2021年の買い物は、コロナ禍ということもあり、業務効率を向上させるためのデバイスが多く、あまりワクワクするものが多くありませんでした。とはいえ、その中でもイヤホンやキーボードなど、常に体と触れているものに関しては普段より接する時間が長いこともあり、良いものを選んだ結果、満足感が得られることが多かった印象です。
実は昨年、2020年のベストバイに「Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S」を挙げたかったのですが、他の人とかぶるということで取り上げませんでした。
今年になって「Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S雪」が登場し、まさに自分の求めていたHHKBはこれだった! ということで、満を持してベストバイとしてご紹介します。
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Happy Hacking Keyboard(以下HHKB)は、言わずと知れたPFUの高級キーボード。東プレのREALFORCEと双璧をなす存在です。静電容量無接点方式によるキースイッチの寿命は3000万回以上で、先日開催された「HHKBユーザーミートアップ Vol.5」では、HHKBの提唱者でもある東京大学の和田英一名誉教授によって「多くの場合で人間の寿命を上回る耐久性」であると紹介されました。
筆者のHHKBシリーズのレビュー:
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そんなわけで一生使い続けられるHHKBですが、ここのところ頻繁に新機種が出ており、その都度入手することになってしまっています。特に、2020年に発売されたHHKB HYBRIDは、それまであったHHKB BTの不満点が解消され、待望のType-Sがラインナップに加わったことで、「全部入りの決定版」。当然のように昨年、HHKB HYBRID Type-Sをゲットしたわけです。
これで一生安泰かと考えていたのですが、なんと、2021年11月になってHappy Hacking Keyboard生誕25周年特別記念モデルとして「HHKB Professional HYBRID Type-S 雪」が発表、発売されたのです。
個人的には完璧になったと思っていたHHKB HYBRID Type-Sですが、あえて欲を言えば白モデルの色合いがもう少し現代的なものであればというものでした。ベージュとグレーのキートップは悪くないですし、ワークステーションの端末をイメージさせる配色も気に入ってはいましたが、真っ白い配色があればそっちを選んでいたかも……というのはありました。
一方で、伝統的なHHKBの白は「ベージュとグレーのコンビネーションだろうJK」というのがあり、通常の白モデルが真っ白になるのは望んでいませんでしたので、今回の「雪」モデルの発表を見て「やられた!」と思ったのです。
そんなHHKB Professional HYBRID Type-S 雪ですが、HHKB Professional HYBRID Type-S 白と比較するとその真っ白さが際立ちます。どちらも優劣つけがたいですが、MacBook Proにバード電子のキーボードブリッジを組み合わせて「尊師スタイル」で使用する際には「雪」がマッチするでしょう。もちろんキーボードルーフも「雪(白)」です。
キーボードが付属(内蔵)するノートパソコン(MacBook Pro)なのになぜ外付けのキーボードをわざわざ使うの? という疑問もあると思います。
一つはHHKBそのものの魅力です。HHKBは、登場以来デザインもキー配列も変わらず、シンプルな使い心地を提供してくれています。特に、HHKB Professional(Type-S)になってからは静電容量無接点方式になって、キーを最後まで押し切らなくても(底打ちさせなくても)入力が可能になり、タイピングの負担がさらに軽減しました。
その使い心地のまま、HHKB Professional BTではワイヤレス化を果たし、HHKB Professional HYBRIDではType-Sモデルの追加および有線/ワイヤレス両方対応という進化を遂げ、いまでは手放せないアイテムとなっています。
そしてもう一つの理由は、MacBook Pro付属(内蔵)キーボードの品質の悪さです。ある時期まではとてもよかったのですが、バタフライキーボードとなって以降は故障、誤タイピングなどが頻発し、まともな入力が不可能に。大きなトラックパッドも誤操作の要因となり、トラックパッドを無効化してマウスを使わないとダメな状況も生じました。
ノートパソコンのキーボードにそこまで効率を求めても……と思う人がいるかもしれません。しかし、かつてのPowerBook、MacBook Proのキーボードは、外出先(やオフィス)なら内蔵キーボードでもいいかな(むしろ外付けキーボード接続するのが面倒だな)と思えるクオリティだったのです。それがわざわざ外付けキーボードを使わないとならないレベルに落ちたのは大変残念なところです。
人によってはMacBook Proのバタフライキーボードに慣れてしまったという方もいて、それはそれで良いのかもしれませんが、個人的にはリモートワークが多く、HHKBと長く過ごしたこともあって、いまではどこでもHHKBを持っていく(そこにある)状態になっています。今後もHHKBを使い続けますし、PC環境が変わったとしてもタイピングの環境は変わりません。
タイピングがしやすく、快適なHHKBですが、質実剛健ゆえに慣れない人にとっては不便に感じる点がないわけではありません。そういうちょっと足りない部分を補ってくれるのが様々な周辺機器です。特に、バード電子製のパームレストやキーボードブリッジなどは、他社からコピー品が出るほどの使い勝手の良さです。
先日行われたHHKB25周年イベントで発表された新アイテム「キーボードブリッジ(グレー)25th」は、剛性が上がってタイピングしやすくなり、25周年記念のプリントもあるスペシャルな仕様。最近こちらを入手して試したところ、HHKBの使い心地がさらに向上しました。白(雪)モデルも出して欲しいものです。
キーボードブリッジ(グレー)25th(Amazon.co.jp)HHKBキーボードルーフ スモーク(Amazon.co.jp)iPodもそうでしたが、魅力的なポテンシャルを秘めていながら、割り切った使い勝手ゆえに不便さを感じる製品は数多くあります。そういった製品が爆発的な人気を得るきっかけとなるのが、ちょっと便利に使えるようにするサポートアイテムなのです。
メーカーが製品に組み込んでしまったり、自社で周辺機器を開発したりすると、元々の製品の良さを減衰させ、妥協や葛藤がみられるものになりがち。その点、バード電子製の周辺機器は、「自分が使いやすくするために欲しいと思ったサポートアイテムを作る」という目的で設計されており、オリジナルの良さと相まって、使いやすさが向上します。いわばHHKBと共に成長、盛りがってゆくものだと感じています。
日本でのiPodのブレイクもバード電子やパワーサポートなど周辺機器メーカーのサポートアイテムがなければもう少し遅れていた可能性もありますし、HHKBに関しても素のHHKBで満足できる人だけのものだった可能性があります。
一方で、割り切って魅力的な製品に仕上げたからこそ、使いこなすためのサポートアイテムを作る人たちが現れたということでもあり、iPodやHHKBそのものが魅力的だったということでもあります。
人気が出てくると後発メーカーが商機をみて参入してきますが、最近ではHHKBにもその傾向がありますので、より一層の盛り上がりが期待できるでしょう。
HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/白(Amazon.co.jp)HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨(Amazon.co.jp)そんなわけで今年もベストバイな製品がいくつかありましたが、いずれのアイテムも、ゲットした瞬間、使った瞬間にワクワクするような良さがありました。来年も、またワクワクするような新製品に出会いたいと思います。
エンガジェット日本版 ベストバイ2021 特設ページ