見た目はまるでスカウター OPPO Air Glassはどんなもの?ARグラスとの違いを解説(西田宗千佳)

12月14日、OPPOはオンラインイベント「OPPO INNO DAY 2021」を開催し、その中でスマートグラス「OPPO Air Glass」を発表した。

▲OPPOが突如、片眼型のスマートグラス「OPPO Air Glass」を発表

片眼利用で約30g、という製品だが、これがどういう価値を持っているのか、他のARグラスなどとどう違うのか、簡単に解説してみたいと思う。

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見た目はまるでスカウター、片眼につける「情報系グラス」

OPPO Air Glass、デザインを見ればおわかりのように、一般的なVR・AR機器とはかなり異なっている。片目側にしかディスプレイがなく、その代わり非常に軽くなっている。

▲デバイスは片目だけ。専用のフレームにつけて使うイメージだ

▲重量は30gとかなり軽い

これは、いわゆるARグラスとは目的が違うからこうなっているのだ。

この種のものは一般的に「スマートグラス」などと呼ばれる。正確な定義があるわけではないが、ディスプレイとしての性質が違うもの、と考えればわかりやすい。

ARなどでは、視界の一部にCGを重ねたり、CGで覆い隠すことで「目に見えている現実を置き換える」ような考え方をする。

それに対し、OPPO Air Glassのようなスマートグラスは「一部の情報だけを目の前に表示する」ようなものになる。空間にピン留めするのでも、何かに重ねるのでもない。

スマートウォッチで見ているスマホの通知が、目の前にポップアップしてくるような感じをイメージするのがいいだろう。

というか、見た目的にも色的にも、みんなもうこういう機器はよく知っているはず。そう、ドラゴンボールの「スカウター」だ。あれはARではないが、情報を重ねて表示する機器だった。あんなイメージだ。

▲つけている姿は確かにスカウター

筆者はこの種のものを、スマートグラスではなく「情報系グラス」と最近は呼ぶようになった。その方がイメージが湧きやすいだろう。

見やすさとコスト重視でグリーン一色、情報系グラスとしては「アリ」な選択

情報系グラスはなにも最近出てきたものではない。すでに多数登場しているうえ、業務用では導入の実績もある。そもそも、2013年に発表された「Google Glass」も情報系グラスだったし、たとえば2015年にはソニーも「SmartEyeglass」を開発、2018年にはカナダのハードウエアスタートアップ・North(2020年7月に、Googleが買収)が「North Focals」を北米で発売している。これら以外にも多数、ハードウェアスタートアップが同じようなものを開発していた。

▲2015年1月開催のCESで、ソニーブースに展示されていた「SmartEyeglass」(当時の次世代モデル)のモックアップ。開発機材は2016年に発売され、映画館の字幕対応などで使われたことも

▲2019年1月開催のCESにて、アマゾンブースで展示されていた「North Focals」。ツルの太い普通のメガネに見えるがディスプレイ内蔵。アマゾンブースに展示されていたのはAlexa連動デバイスだから

とはいえ、ここまで小さく・軽くしてきたのはOPPOくらいのもので、彼らの努力を素直に賞賛したいところだ。

初期のGoogle Glassや一部の業務向けスマートグラスはカラーを採用しているが、今の情報系グラスは、OPPO Air Glassも含め、グリーン1色のディスプレイを使っている。

▲使っているのはグリーンのマイクロLEDプロジェクター技術

▲グリーン一色の情報がメガネ内に投射されるイメージだ

これは一見、退化のように見えるがそうではない。消費電力と屋外での見えやすさを考慮すると、人間の眼が敏感に反応するグリーンを使うのがよく、マイクロLEDプロジェクターを採用するのもコスト面や生産性を高める事情があってのことだ。

いわゆるARグラスならグリーン一色では不足だが、情報系ならこれでも価値が生まれる。OPPO Air Glassの場合、グリーンの256段階濃淡で、最大平均輝度は1400cd/平方mとなっている。

使うSoCはスマートウォッチ向け、主な処理はスマホ側

これら情報系グラスに共通するのは「スマートフォンと連携する」ということだ。前出のように、スマホの通知やアプリ連携が基本なので、それはまああたりまえではあるのだが。軽くするためにも、グラス側にはあまり大掛かりな処理系を搭載しない。

OPPO Air Glassの場合にも、使っているSoCは「Snapdragon Wear 4100」。これは主にスマートウォッチで使われているものだから、「スマートウォッチにされていた通知がメガネ内のディスプレイにポップアップする」というイメージはあながち間違いではない。

▲OPPO Air Glassが使っているのは、スマートウォッチ向けのSoCであるSnapdragon Wear 4100

OPPO Air Glassでできることも、情報通知にナビ、翻訳と、スマートフォンでできることが基本になる。

ただスマートウォッチと違うのは、通知が出るタイミングなどを自分でコントロールできないとめんどくさいこと、そして自分が向いている方向に合わせて表示を変えて欲しい時があるということだ。人と話しているとき、無制限にバンバン通知が出続けるとうっとうしいし、ナビに使うなら「向かう方向に合わせて矢印を出してくれる」機能が欲しくなる。

そのため、OPPO Air Glassにはモーションセンサーが備わっている。首の動きで表示のオンオフをはじめとしたコントロールができ、さらに自分の向いている方向を判断できる。いわゆる「3DoF」で、動いた方向しか把握できないわけだが、用途としては十分だろう。

▲OPPO Air Glassのスペックなど

こうしたことから当然利用にはOPPO Air Glassに合わせたアプリ開発が必須となる。そのためOPPOはSDKの公開も予定している。これもまた順当なところと言える。

「情報系グラス」はARグラスと棲み分けられるのか

製品は2022年第1四半期、まずは中国で展開される。日本など他国での展開はまだ見えていない。

課題は、こうした製品が本当に売れるのか、という点だろう。

確かに面白いが、一方で、数年後には「フル機能のARグラス」がやってくるのも見えている。「すぐに安くなる」「すぐに小さくなる」と言われつつなかなか実現しない状況にあるが、登場まであと10年……ということはなく、数年以内だろう。そうなるとこの種の情報系グラスはARグラスに代替される可能性もある。価格や重さなどで棲み分けはできるかもしれないが、情報系に特化した製品が「中間世代」的に終わってしまうのでは……という想定もできる。

情報系グラスにしろARグラスにしろ、市場構成はまだこれから。価格なども含め、本当に差別化してちゃんと市場を作れるか、その点が課題である。