今回は、ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaを訪ね、仕事で使うタブレット端末の売れ筋を取材しました。

パソコン専門チームの小林聖也氏は「仕事内容によって売れ筋がくっきり分かれるところがありますね。資料作成ならWindowsタブレット、デザインや医療系ならiPad。営業先のディスプレイ用途では、いまはAndroidタブレットの売れ行きが目立っていますね」と解説します。

ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba 1階にあるパソコン・タブレット売り場。小林聖也氏にナビゲートしてもらった


ただ、同じサブカテゴリーのなかでも指名買いの多いモデルがあります。その理由を探りつつ、売れ筋トップ5を見ていきましょう。「年末にかけてのタブレット購入のポイント3カ条」を下にまとめてみました。

○<タブレット購入のポイント3カ条>

仕事との相性が何より大切。職場で必須のアプリや環境のチェックは欠かせない。

付属品や周辺機器で拡張するイメージも膨らませて選ぼう。ノートPC代わりなら標準キーボードの有無は重要。

現在は、さまざまな事情から在庫の変動が激しい。事前に入荷状況を確認して買い物するのも有効。

※本文と写真で掲載している価格は、取材した2021年10月27日13:30時点のものです。日々変動しているので、参考程度に見てください。

第1位:リモートワークで周辺機器人気も上昇の「Surface Pro」

一番人気に挙げられたのは、日本マイクロソフトの「Surface Pro」シリーズです。取材時は、12.3インチの「Surface Pro 7」を中心に展示していましたが、11月に入って新世代の「Surface Pro 8」も販売しています。

取材時に売れ筋だったのは、Surface Pro 7のCore i5/メモリー8GB/SSD 256GBモデルで、153,780円でした。

「WordやExcelがフルで使えて、1kgを切る重量と背面カメラでタブレットとしても普通に使えるという、マルチな使い方が無理なくできるのが魅力ですね。標準のキーボードとセットで買われる方がほとんどで、モバイルノートにタブレット機能を足したように使えます」

日本マイクロソフト「Surface Pro 7」


日本マイクロソフト「Surface Pro 8」


最近は、液晶ディスプレイやデスクトップ向きのキーボードなどとセットで購入する人も増えているとか。

「Surfaceを本体にして、自宅でリモートワーク環境を整えるニーズは今も伸びていて、その流れですね。持ち運べるメイン端末として、比較的大容量のモデルを選ばれる方が多い印象です」

リモートワークをイメージした拡張環境の展示


同率2位:手帳代わりに求める人が多い「iPad mini」

2位は、2021年9月に第6世代が登場したアップル「iPad mini」です。取材時点で全モデルが品薄な状況でしたが、仕事用では64GB Wi-Fiモデルが売れているとのこと。価格は59,800円です。

「ペンのニュアンスがきめ細かく伝わるディスプレイが8.3インチの手帳サイズで使えるということで、発売日から勢いよく売れています。Aoole IDで共有された資料を手元で確認するという使い方にも向いています」

アップル「iPad mini」


同率2位:コスパの高さでモバイル機として人気の「iPad」

同じタイミングで店頭に並んだ第9世代「iPad」も、同率2位となっています。こちらも全ラインアップが品薄ながら、仕事用では39,800円の64GB Wi-Fiモデルがよく売れているそうです。

「10.2インチの画面で性能が良くて、4万円切りというコストパフォーマンスの高さが高く評価されています。標準オプションのキーボードパッドとセットで使えば、モバイルノートの代わりにもなるので、iPad miniとはまた別の使い方を想定して選ばれていると思います」

アップル「iPad」


同率4位:2万円切りの9.7インチモデル「MatePad T10」

ビジネス用途での売れ行きはSurfaceとiPadが目立つながらも、Android端末を仕事に生かす傾向も見られます。そのなかでも人気がある1モデルが、ファーウェイの「MatePad T10 AGR-W09」とのこと。9.7インチの32GBモデルで、価格は1万9580円でした。

「出先でPDFや商品のプロモーション動画を流す端末として買われることがあります。Google Play非対応ながら、2万円切りで十分なスペックを備えているタブレットとして存在感がありますね」

ファーウェイ「MatePad T10 AGR-W09」


同率4位:リモート会議のモニターとして人気「YOGA Smart Tab10」

同率4位で並ぶのは、レノボ・ジャパンの「YOGA Smart Tab10」です。10.1インチのフルHD液晶を採用したAndroidタブレットで、32GBモデルの価格は27,630円でした。

「背面に穴の空いたキックスタンドを備えていて、壁に引っかけたり、自立させたりできます。リモート会議で自分と少し離した位置に固定するのにちょうど良いんですよね。スピーカーもタブレットとしてはしっかりしているので、発言も聞き取りやすいでしょう」

レノボ・ジャパン「YOGA Smart Tab10」


裏側にあるキックスタンド


はみ出し情報…ホームユースで伸びているのは「YOGA Tab 11」

仕事から離れ、ホームユースで目立って売れているタブレットも紹介してもらいました。小林氏が挙げたのは、レノボ・ジャパンの11インチAndroidモデル「YOGA Tab 11」でした。取材時の価格は、小容量の128GBモデルで42,680円となります。

「YOGA Smart Tab10の上位シリーズともいえるハイスペックタブレットです。スピーカーの質も良く、画面も2000×1200ドットと高解像度です。裏側にスタンドが付いているのはSmart Tab10と同様で、キッチンで立てて料理動画を流したり、壁に引っかけてニュースをチェックしたりできます。家庭内でいろいろな用途で使えるポテンシャルがあります」

レノボ・ジャパン「YOGA Tab 11」


裏側のスタンド


著者 : 古田雄介 ふるたゆうすけ フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年〜)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007〜2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『スマホの中身も「遺品」です』(中公新書ラクレ)、『ここが知りたい!デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。 この著者の記事一覧はこちら