Kindle Paper White

11月10日に発売された電子書籍専用端末、第11世代Kindle Paper Whiteを自腹で買ったのでレビューをお届けします。本製品には3つモデルがありますが、そのうち「一番高いやつ」ことPaper White シグニチャーエディションです。

とはいえ6月のAmazonプライムデーで、第10世代の前モデルを買ったばかりです。その時はKindleはスマホ版アプリがあるのに、なぜ専用端末を買う必要があるのか?さんざん迷ったあげくTwitter等でご意見ご感想を募り、背中を押されてポチっていました。

それから半年も経たず、なぜか新型を購入。コストパフォーマンスを考えれば不合理なこと甚だしいのですが、理由の1つはすでにKindle専用端末の使いやすさを知ったから。「知らないもの」には財布のヒモも固くなりますが、「知っているもの」には緩むことは毎年iPhoneを買い換えている方々にも頷いてもらえるはず。

もう1つは、ちょうど新型Kindle発表と近い時期に、新型14インチおよび16インチMacBook Proが発表されたからです。約24万円〜の製品を買おうかどうしようか何日も考えているうち、新型Kindle Paper Whiteの最上位モデルで2万円?安い!と金銭感覚に狂いが生じてしまったようです。全体的にお求めやすいAmazonハードウェア製品を検討するとき、アップル製品の情報は遠ざけた方がいいですね。

【NEWモデル】Kindle Paperwhite シグニチャー エディション

期待の新ハードというよりリニューアルされた日用品

直前に買っていたiPad mini(第6世代)との比較。やはり「電子ペーパーであること」に価値を見出す人向けの製品です

さて新モデルのアップデート点として強調されているのは、まず充電周りの便利さやタフさでしょう。充電端子が(ようやく)USB-Cとなって高速充電できるようになり、1回フル充電すればPaper Whiteシリーズ最長の最大10時間も使えるといったぐあい。

が、前モデルの第10世代でもバッテリーの持ちに不満を感じたことはありません。これまで「数週間」と表記されていたスタミナに嘘はなく、1週間も使っていれば数割減ったかな?という程度。

なのでレガシーなmicroUSB端子がどれほど気に食わなくとも1〜2週間に1回の付き合いなら気にもならず、USB-C化も有り難いにしろ生命線というほどではないのです。あ、裏か表かを意識しなくて済むのは感謝ですが。

microUSBからUSB-Cへの変更はうれしいものの、バッテリー持ちのいいKindle端末では充電する回数も多くはなく…

そして本体サイズはほぼそのままに、ベゼルを狭くして画面は6.8インチへと大型化。この世でKindle製品しか知らなければ感動できたかもですが、8.9インチ画面になったiPad mini(第6世代)が到着した直後のために「で?」ということに。価格を考えればそこまで全身を雷に打たれたような衝撃を期待する方がおかしいわけで、「リニューアルされた日用品がやって来た」という枠に収まるものですね。

「副作用のない睡眠導入剤」としては最高のチョイス

このためだけに買ってもいい、ダークモードのありがたさ。第11世代はページ切り替えも早く、目によぶんな負担をかけません

しかし電子書籍専用端末は、電子書籍を読めればいい端末のこと。別にキーボードが光ったりパネルが光ったり冷却ファンが光る必要はなく、読書を快適にしてくれれば十分。逆に他の機能をそぎ落とし「読書しかできない」ことに価値があります。Webブラウジングやゲームが出来ず、読書に向き合う他ないからいいのです。

その点で言えば、新型モデルは大満足。パッと見た目から良さが伝わってくるわけではありませんが、使い込む内にじわじわと「読みやすさ」が染み渡ってきます。

まず、目に本当に優しい。もともと電子ペーパーは屋内でも屋外でも読みやすい特性がありますが、新型モデルは外でもクッキリ、部屋でもハッキリ。「フロントライト用のLEDが前モデルの5個から17個に増えた」というのは輝度が増したことよりも、自動調整機能とあいまって細やかに光の加減を制御に役だってるという実感があります。部屋の中でも照明の当たりぐあいが違う場所に持って行くと「あ、明るさが変わった!」が分かるほど。

さらに画面表示のオプションに「色の暖かさ」も加わり、目に対する思いやりもいっそう染みることに。紙の本は数年ほど触ったことがありませんが(過去の週刊少年ジャンプ漫画が再録されたコンビニ本を除く)雑誌にしろコミックにしろ小説本にしろ紙質は出版社ごと、経年劣化ごとに違うもので、昔読んだハヤカワSF文庫はこんなんだったかなあ……とスライダーで調整することにも趣があります。

「画面上からスワイプ」で素早くメニューも表示されストレスなし。リニューアルされたUIは本当に使いやすいです

なにより、真価を発揮するのは「寝る前の読書」です。スマホ画面のブルーライトが寝付きを悪くするとの見解は間違っているとの調査結果もありましたが、輝度が高いほど体内時計に影響を与えるのは事実の可能性が高いようです。

そこで使いたいのがダークモード。スマホアプリ版のKindleでも使えますが(iOSなどの設定をダークモードにするとアプリも準拠)やはりスマホではそのままでは白いフォントが明るすぎ、設定で輝度を落としてやる必要があります。部屋の明かりを落とした後は、明るさを過敏に感じてしまうのですね。

落下防止のハンドストラップは外への持ち歩きにはマスト。寝床で読むときもも安心して寝落ちできます

かたやKindle Paper Whiteでは「画面上からスワイプ」ですぐにダークモードを呼び出すことができ、デフォルト設定のままでも目に刺さるような明るさはありません。しかもページ切り替えがスムーズになっているため、めくってもチラチラすることもなく、脳への刺激を最小限に抑えられます。前モデル(第10世代)でも十分に滑らかだと思ってましたが、わずかな光もとらえる暗い寝床では新モデルとの差はありありと実感できます。

おかげで、寝付きがバツグンによくなりました。ここ数年は不眠気味だったのですが、第10世代を買って「寝る前にKindle読書」を習慣にしてからら5〜10分ほどで寝られるように。それが第11世代では3〜4ページも読めばまぶたが重く閉じていき、寝不足だったことは1日もありません。

よく考えたらすぐ寝てしまうため全く読書が進んでない気もしますが、そちらは昼間にiPhoneやiPadのKindleアプリでカバーしています。外にはスマホやタブレットを持って行くでしょうし、たいていの人はカバン内に「もう1つデバイス」の枠は残っていないはず。第11世代Kindle Paper Whiteはベッドサイドか枕元に置いておき、副作用のない睡眠導入剤として使い倒すには最高のチョイスだと思います。

【NEWモデル】Kindle Paperwhite シグニチャー エディション