家族から大金を騙し取った女(画像は『Liverpool Echo 2021年10月11日付「Carer stole £325k from family including nan to fund gambling addiction」(Image: Merseyside Police)』のスクリーンショット)

写真拡大

「お金の心配をせずに暮らしたい」「ゆとりのある生活をしたい」―それを叶えるため計画的に老後の資金を準備している人も多いだろう。このほど貯めていた老後の資金が、実の娘に全て使われてしまったというニュースがイギリスより届いた。両親が絶対的な信頼を置いていた元銀行員の娘は、実はギャンブル依存症だったという。『Liverpool Echo』『The Mirror』などが伝えた。

英マージーサイドのセント・ヘレンズに暮らす介護士のクレア・ラフレイ(Clare Roughley、39)は、6年間にわたり家族から約32万5000ポンド(約5050万円)を盗み、ギャンブルにつぎ込んだ。

元銀行員だったクレアは2014年から両親の銀行口座を管理しており、いつでも現金を引き出せるようになっていたという。そして個人的なローンやクレジットカードもその口座から支払われるようにし、彼女は6年かけて両親の蓄えをすべて使い果たしたのだ。

リバプール裁判所のピーター・ハッセー検察官(Peter Hussey)は、盗まれた財産についてこう明かした。

「クレアは父親から9万1437ポンド(約1420万円)、母親から15万8735ポンド(約2470万円)、祖母の遺産5万8221ポンド(約900万円)を盗みました。彼女の犯罪が明らかになったのは2020年3月、両親が自分たちの口座が空になっているのを発見した時でした。彼らは口座の残高がゼロになっているのを見て、愕然としたそうです。」

また2019年に95歳で亡くなった祖母テレサ・レイランドさん(Theresa Leyland)はクレアに6000ポンド(約93万円)の遺産を残していたにもかかわらず、彼女は他の財産にも手をつけて全て使ってしまった。

そのためテレサさんの葬儀費用は10か月間未払いのままだったが、家族や友人の前に立ち弔辞を述べているクレアを見て、彼女に騙されているとは誰一人思わなかったそうだ。

クレアの父親レイモンドさん(Raymond)は、陳述書の中でこのように明かしている。

「生命保険と年金制度によりこの先の人生は経済的な心配をすることなく快適に過ごせると信じていました。しかし完全に信頼していた娘が自分の財産をゼロにしたことを知り、世界がひっくり返ったのです。」

「娘の犯罪が明らかになった時、私と妻は『何をしたらこんなことになったのだろう』と思いながらお互いの腕の中で泣きました。私の人生がどのようなものであったか、誰も想像できないでしょう。将来がとても不安で、借りてもいない借金を払わなければならないのが怖いのです。自分の娘にこんなことをされたなんて信じられません。クレアがこんなことをするなんて、想像できませんでした。」

また母親のデルウィンさん(Delwyn)も「2020年3月11日、娘の罪を知ってどれだけ無力感に苛まれたことか…言葉では言い表せません。自分の身に起こっていることが信じられませんでした。クレアは完璧な娘のように振舞っていました。まさか私を騙すなんて…」と吐露した。

夫妻は現在、娘の犯罪を受け入れるために抗うつ剤と不安神経症の錠剤を服用しているそうだ。

しかもクレアは、家族からだけではなく7年間介護をしているジーン・アーモンドさん(Jean Almond)の口座のアクセス権を利用してジーンさんと夫ジェフリーさん(Geoffrey)から1万7220ポンド(約270万円)を着服した。さらにジーンさんの名前でクレジットカードを作り、そこから8698ポンド(約135万円)を引き出したことも認めている。

ジーンさんの介護チームの中で唯一口座にアクセスすることを任されていたクレアは、実在しないジェマという名前の銀行員を装って口座の利用状況を定期的に知らせることで安心させていたという。

ジェフリーさんは「クレアは妻ジーンのケアチームの重要なメンバーであり、ジーンとは特別な関係にあると信じていました。クレアがジーンのような弱い立場の人から盗みを働いていたことを知り、大きなショックを受けました」とのちに語っている。