マクロン大統領の場合TikTokでワクチンに関する質問を募集し、それに答えていたのだが、FacebookやTwitterではなく、近年、フランスの若者が最も関心のあるツールであるTikTokを使用していた。フランスでは若い世代のワクチン非接種が問題視されているが、TikTokへの投稿で注目度が増し若者らがマクロン大統領の投稿を拡散。ワクチン接種や政府のコロナ対策について意見が交わされることもあった。マクロン大統領は自撮りでTikTokに投稿したのだが、こういった若者が興味を持ちやすいような演出も功を奏しているといえよう。

 日本でも政治家のSNSの投稿がきっかけで議論が広まることもあるが、フランス在住の日本人によると、日本ではやみくもに批判をしたり、政治家という人に対して批判を向けることが多いが、フランスの場合は「人ではなく政策」に対する意見をきちんと持ち、批判をするという。批判をする前に自分で調べてSNSなどでつぶやくそうで、「フランス人の議論好きという気質も詳しく調べて議論するという姿勢を作り上げているのかもしれない」と推測していた。

 スウェーデンでは小学生の頃から政治を身近に感じられる仕組みができている。多くの学校がニュースについて生徒が話し合う機会を毎日設けたり、学校では投票に行くことはもちろん、デモをすることも大切だと教えられる。さらに小さなことでも大人が決めるのではなく、子どもたち自身に決めさせ、一人ひとりが意見を持つことが大切で、それが決定に反映されることを学ばせる。例えば学校の予算で新しい本を買う時にどの本がいいか投票で決めたり、幾らかの予算を新しい遊具に使うのか学校の備品の修復に使うのかまで生徒に聞いて投票で決めるのだ。

 他国から見ると、日本人の政治に対する意識の低さはこっけいに映るのかもしれない。日本人も一人ひとりが自ら政治に関心を持つことも大切だが、国や教育が政治に目を向けさせる仕組みを作ることも必要だろう。

記事内の引用について
「German election: Wahl-O-Mat App pairs voters with political parties」(DW)より
https://www.dw.com/en/german-election-wahl-o-mat-app-pairs-voters-with-political-parties/a-40301081