ソフトバンクが「5GとMEC」で最も注目するNVIDIAの5つの技術 「NVIDIA AI DAYS」AI on 5Gに向けた取り組みを公開
2021年6月16日から17日まで、「NVIDIA AI DAYS」がオンラインで開催されている。セミナーには多くの企業や組織が登壇し、AIやGPUに関連する最新情報やユースケース、今後の展望などが紹介されている。
17日はソフトバンクの先端技術開発本部、堀場氏による「AI on 5G に向けたソフトバンクの取り組み」が行われた。
ソフトバンク株式会社 先端技術開発本部 ネットワーク研究室 室長 堀場 勝広氏による「AI on 5G に向けたソフトバンクの取り組み」講演より
●ソフトバンクが5GとMECで最も注目している5つの技術
ソフトバンクは、NVIDIAとの連携において、最も注目している技術として、下記の5つをあげた。
NVIDIA Aireal
NVIDIA MIG
NVIDIA DPU
NVIDIA Cloud XR
NVIDIA Maxine
「
NVIDIA Aerial:
」は、ベース技術を支えるハードウェア上からネットワーク機能を切り離すことで、柔軟かつダイナミックな「vRAN」環境を実現する技術。NVIDIAは5Gネットワークのための通信ソリューションと位置づけている。
「
NVIDIA MIG:
」はMulti-Instance GPUの略称で、GPUを複数のインスタンスに分割して運用できる技術。それぞれに高帯域幅のメモリ、キャッシュ、コンピューティング コアを割り当てたうえで完全に分離できることが特長。
「
NVIDIA DPU:
」はData Processing Unitの略称。ソフトバンクからみると、ネットワークカードに専用のProcessing Unitを搭載したもの。ネットワークの高品質化のためのリソースをさくことで、コンピューティング全般の性能がおろそかになってはいけないことから、重要なキーテクノロジーだとした。
●5G活用のポイントになる「MEC」
ソフトバンクは以前から5Gネットワークと絡めて「MEC」(Multi-access Edge Computing)導入の重要性を掲げている。つまり、端末からインターネット網を使って行う通信には、さまざまなオーバーヘッドやボトルネックが発生して低遅延や高速性にも限界があることから、応答性(レスポンス)が求められる処理はできるだけインターネット網の手前、基地局にある「MEC」で5G通信とデータの処理を行うことで、応答性を向上するとともに回線にかかる負荷も減らせる、という考え方だ。
更に昨今は「仮想化」が進み、ネットワークのコアだけでなく、RANもまた仮想化(vRAN:仮想無線アクセス ネットワーク)する流れが進んでいる。これによりコスト削減効果が期待できる。こうした背景から、MECの利点を支える技術はソフトウェアになってきて、MEC内でその膨大な演算を処理する性能がGPUにかかってきている、というわけだ。
「MEC」は反応性、超低遅延性能が求められる「ゲーム」や「VR(xR)」に特に重要だとした。5Gになって無線通信が低遅延になったとしてもインターネットを経由していては実質的に低遅延の実現非常に難しい。
ソフトバンクはMECサーバを設置し、その処理の領域を増やすことで5G通信区間での超低遅延を活かす考えで、その際にも「
NVIDIA Cloud XR:
」が活きてくる。
●5Gになるとアップリンクに課題も
「
NVIDIA Maxine:
」はAIを活用して映像・音声をマニュピレーションする技術だ。
ソフトバンクによれば、Zoomでのネット会議では5Gになったとしても、高解像度の映像で自身の顔をアップリンク(送信)した場合、帯域には大きな負荷がかかる、ことが課題としている。そこで、自身の顔の映像は端末から基地局への無線通信区間は低解像度(180p)で送信し、MEC内部で低解像度(180p)で受けた映像を「NVIDIA Maxine」で高解像度(720p)にコンバートしてZoomクライアントへ、帯域の広いダウンリンクはそのまま高解像度(720p)で送ることで通信帯域を圧迫せず、画質もきれいなものを維持したままZoom映像のやりとりが行える。
関連記事「ソフトバンクが「NVIDIA Maxine」とMECで5G通信の映像を「超解像」化する実験に成功 ウェブ会議の画質を向上する技術」
こうした技術的なことを踏まえ、堀場氏は「ソフトバンクはNVIDIA「AI on 5G」に賛同する」として「通信技術とGPUはとても相性がよい」と語った。
(神崎 洋治)
17日はソフトバンクの先端技術開発本部、堀場氏による「AI on 5G に向けたソフトバンクの取り組み」が行われた。
ソフトバンク株式会社 先端技術開発本部 ネットワーク研究室 室長 堀場 勝広氏による「AI on 5G に向けたソフトバンクの取り組み」講演より
ソフトバンクは、NVIDIAとの連携において、最も注目している技術として、下記の5つをあげた。
NVIDIA Aireal
NVIDIA MIG
NVIDIA DPU
NVIDIA Cloud XR
NVIDIA Maxine
「
NVIDIA Aerial:
」は、ベース技術を支えるハードウェア上からネットワーク機能を切り離すことで、柔軟かつダイナミックな「vRAN」環境を実現する技術。NVIDIAは5Gネットワークのための通信ソリューションと位置づけている。
「
NVIDIA MIG:
」はMulti-Instance GPUの略称で、GPUを複数のインスタンスに分割して運用できる技術。それぞれに高帯域幅のメモリ、キャッシュ、コンピューティング コアを割り当てたうえで完全に分離できることが特長。
「
NVIDIA DPU:
」はData Processing Unitの略称。ソフトバンクからみると、ネットワークカードに専用のProcessing Unitを搭載したもの。ネットワークの高品質化のためのリソースをさくことで、コンピューティング全般の性能がおろそかになってはいけないことから、重要なキーテクノロジーだとした。
●5G活用のポイントになる「MEC」
ソフトバンクは以前から5Gネットワークと絡めて「MEC」(Multi-access Edge Computing)導入の重要性を掲げている。つまり、端末からインターネット網を使って行う通信には、さまざまなオーバーヘッドやボトルネックが発生して低遅延や高速性にも限界があることから、応答性(レスポンス)が求められる処理はできるだけインターネット網の手前、基地局にある「MEC」で5G通信とデータの処理を行うことで、応答性を向上するとともに回線にかかる負荷も減らせる、という考え方だ。
更に昨今は「仮想化」が進み、ネットワークのコアだけでなく、RANもまた仮想化(vRAN:仮想無線アクセス ネットワーク)する流れが進んでいる。これによりコスト削減効果が期待できる。こうした背景から、MECの利点を支える技術はソフトウェアになってきて、MEC内でその膨大な演算を処理する性能がGPUにかかってきている、というわけだ。
「MEC」は反応性、超低遅延性能が求められる「ゲーム」や「VR(xR)」に特に重要だとした。5Gになって無線通信が低遅延になったとしてもインターネットを経由していては実質的に低遅延の実現非常に難しい。
ソフトバンクはMECサーバを設置し、その処理の領域を増やすことで5G通信区間での超低遅延を活かす考えで、その際にも「
NVIDIA Cloud XR:
」が活きてくる。
●5Gになるとアップリンクに課題も
「
NVIDIA Maxine:
」はAIを活用して映像・音声をマニュピレーションする技術だ。
ソフトバンクによれば、Zoomでのネット会議では5Gになったとしても、高解像度の映像で自身の顔をアップリンク(送信)した場合、帯域には大きな負荷がかかる、ことが課題としている。そこで、自身の顔の映像は端末から基地局への無線通信区間は低解像度(180p)で送信し、MEC内部で低解像度(180p)で受けた映像を「NVIDIA Maxine」で高解像度(720p)にコンバートしてZoomクライアントへ、帯域の広いダウンリンクはそのまま高解像度(720p)で送ることで通信帯域を圧迫せず、画質もきれいなものを維持したままZoom映像のやりとりが行える。
関連記事「ソフトバンクが「NVIDIA Maxine」とMECで5G通信の映像を「超解像」化する実験に成功 ウェブ会議の画質を向上する技術」
こうした技術的なことを踏まえ、堀場氏は「ソフトバンクはNVIDIA「AI on 5G」に賛同する」として「通信技術とGPUはとても相性がよい」と語った。
(神崎 洋治)