減便のせいでかえって混雑を招いた(画像はイメージ)

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ゴールデンウィーク期間中の谷間の平日となった2021年4月30日朝、首都圏ではJR山手線が「密である」との投稿がツイッターなどに投稿された。緊急事態宣言発出に伴い、一部路線では連休期間中の平日に列車本数を減らしている。

ところが各社の対応は分かれており、最も本数を減らした路線ではその影響が目立ってしまった様子である。

都営地下鉄も3路線で通常通り

首都圏の鉄道各社に減便要請が政府と東京都からなされたのは4月23日。4月27日頃にはこれに応じた各社の連休中のダイヤがおおむねまとまったが、内容にはばらつきがみられる。

各社とも大型連休期間中の平日にあたる4月30日・5月6日・7日の減便で対応するが、最も減便数が多かったのがJR東日本で、一部線区で朝ラッシュ時間帯の本数を2割削減し、通常の8割程度の本数で運転する。対象線区は山手線・京浜東北線・中央快速線・中央総武線各駅停車・青梅線・常磐快速線・京葉線である。夕ラッシュ時間帯にも一部運休が決まり、朝に合計88本、夕に合計13本を運休する。

4月30日朝の混雑状況についてJR東日本は、

「運休を行った列車の前後で混雑が発生したことは把握しておりますが、係員の放送や混雑対応により、大きな混乱はありません」

とJ-CASTニュースの取材に答えた。

ところが、同じ東京都内を走る東京メトロで減便が行われるのは銀座線・丸ノ内線・東西線・南北線だけで、運休本数も銀座線で合計10本、東西線で合計2本などと極めて少ない。通常、ラッシュピークの7〜8時台には2〜3分間隔が確保されている同社では減便幅は大きくない。

小池百合子都知事の「お膝元」のはずの都営地下鉄でも減便が行われたのは大江戸線だけで、浅草線・三田線・新宿線は通常通りの運行本数を維持している。

30日朝の混雑については「そりゃ平日に山手線減便したらこうなるだろ」「当たり前」「誰も彼もが大型連休だと思ってないか?」といった反応がツイッターに投稿されている。

政府と東京都から要請があったとはいえ、大手私鉄でも運休本数は各社10本未満にとどまるところが多く、減便要請に最も積極的に応じたJR東日本の路線で混雑が発生するというちぐはぐな現象が生じている。さらに減便を要請した側の東京都の都営地下鉄でも4路線中3路線で通常通りの運行では、減便要請の効果にも疑問の余地が生じるだろう。